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『天使のナイフ』 薬丸岳 (講談社文庫)
第51回江戸川乱歩賞受賞作『刑事のまなざし』以来2冊目の薬丸作品を手にしたが、さすが代表作と言える前評判通り素晴らしい作品だと感じ、正直なところもっと早く手に取るべきだったと思っている。
コーヒーショップを営む主人公桧山の妻祥子が4年前に殺されましたが、犯人は中学生の3人組ということで少年法が適用、逮捕ではなく補導ということです。

少年法という難しい題材にチャレンジした社会派ミステリーということですが、内容自体若干重苦しいけれど歯切れの良い文章と練り込まれたプロットに捲るページが止まりません
主人公桧山のシングルファーザーぶり、言い換えれば亡き妻と彼女の生き写しである愛娘への愛情が全編を通して貫き通されているところが感動的で一気に読めます。

どうして妻が殺されたのかという妻の過去を中心として、ミステリー的に楽しめるという要素以外にこの作品の成功した点のひとつの要因として、加害者側にも被害者側にもどちらにもつかないというか、裏返せばどちらの擁護も平等に読者に納得のいくレベルでなされている点があげられると思います。

それは物語の核心にも触れることなのであまる深く触れると興趣をそぐことにもなるので割愛したいけれど、人間にとっていかに辛い過去を断ち切ることが難しいことか、そして正義感を持ってい生きることが理不尽であることの社会への訴えを作者から感じ取りました。誰しも心にナイフを携えているのかもしれません。

本作を読むきっかけとなったWOWOWでの連ドラ化に感謝したい、読んでから観るか、観てから読むか。まるで映画の宣伝文句のようですね(笑)
作者の作品、評判の良い『友罪』や『神の子』あたり早速押さえたいなと思っています。

評価9点。
posted by: トラキチ | 薬丸岳 | 20:29 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『刑事のまなざし』  薬丸岳 (講談社文庫)
TBS系で連続ドラマ放映中。主演の椎名桔平が原作の夏目に凄く似合っていると思いました。7編からなる連作短編集の形態をとっていますが、それぞれのミステリー仕立てで胸に沁みる話はもちろんのこと、主人公で元法務技官の夏目がなぜ刑事に転職したのかを念頭に置いて読むとグッと深みがありヒューマンドラマの世界に浸れることでしょう。

最後の表題作の落とし所はもちろんのこと一編一編丁寧に書かれている筆さばきが読者に伝わってきます。そしてまるであたかも読者自身が夏目の立場というか心境にすり変われるような気持ちにさせられるのですね。そこは作者の鋭いながらも“温かいまなざし”が作品内に十分に浸透されているが所以であると考えます。
本作の魅力は夏目のキャラというか人格に尽きると思われます。被害者家族として犯人に対する怒りがあるにもかかわらず、人生を達観したような物腰の柔らかい振る舞いに終始し読者を唸らせます。

もし自分が夏目の立場(娘の笑顔を盗まれた立場ですね)だったらこんなに冷静にいられるかどうか、無理だと思います。本作を読むきっかけとなったのはTBS系での連ドラを観てなかなか面白いなと思ったからです。とりわけ1話目の「オムライス」衝撃的でした。江戸川乱歩賞作家の薬丸さん、今回初めて読みましたが奥の深い作品を書きはると思います。事件があってその背後に潜む人間ドラマを堪能したい方には格好の作品だと思います。

評価8点。
posted by: トラキチ | 薬丸岳 | 23:05 | comments(0) | trackbacks(0) |-