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『模倣犯』(一) 宮部みゆき (新潮文庫)
今年作家生活30周年を迎えた作者の代表作を読み返す。公園のゴミ箱から若い女性の右腕が発見されたところから物語が幕を開ける。発見者は?高校生の塚田真一、彼は過去に両親と妹を殺害された被害者でもある。次に書き留めておきたいのは豆腐店経営の有馬義男、孫の鞠子が失踪して3ヶ月。ゴミ箱から右腕と一緒に発見されたバッグが鞠子の物と確認される。彼と犯人とのボイスチェンジャーでの格闘がいつまでも記憶に残る。
そしてルポライターの前畑滋子、女性の失踪を取材したとき、鞠子もリストアップしていた。塚田真一と接触して彼を匿う。あとは特捜本部の武上悦郎で事件全体を見渡す役割を演じているように思える。
第一巻の最後にはあたかも犯人がわかったかのように終わるのであるが、これからが深い物語の始まりであることは宮部ファンの誰もがわかっていることである。しかしながらHBSでの田川と犯人とのやりとりが印象的な第一巻であった。

posted by: トラキチ | 宮部みゆき | 19:50 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『小暮写真館(上・下)』 宮部みゆき (講談社文庫)
単行本刊行時の一冊を二冊に分冊して文庫化された。宮部氏を形容するにあたり、“稀代のストーリーテラー”という言葉が似つかわしいと思われている人も多いのではないだろうか。本作を読んでも安心して身を委ねることが出来、やはり独自の高いレベルの世界を構築していることは認めざるを得ないと思っている。
現代ものと時代ものをほぼ交互に書き分ける技量はお馴染みのものであるが、やはり現代ものにおいては少年の描き方がとっても卓越していて読者を唸らされてしまう。以前写真館だった古家に引っ越してきた花菱家でおこる心霊写真の謎解きものとして物語は進められていきますが、本作も他の宮部作品の例外ではなく、主人公である高校生の花ちゃんがとっても高感度の高い少年であり読者を物語の中に誘います。もちろん彼を取り巻く家族(特に弟)や友人たち(テンコにコゲパン)、そして不動産屋の面々も十分に個性的であり、社会派現代ものでは味わえないほっこり感がいいのでしょうか。
二つの事件の真相に現代社会の裏側を抉ったりあるいは人間の奥底に潜む本能というか個人事情と言った方がいいのかな、そういうものも読み取れますが、基本的には花ちゃんをとりまく青春物語として読み進めていった方が楽しめるのだろうかなと思ったりします。推測ですが下巻で亡くなった妹風子の話が語られ、泣かせてくれるのを期待したいなと思っている。

下巻にも二つの物語が語られている。上巻がいわば心霊写真についての謎解き要素が強かったのであるが、下巻は花ちゃん含めて登場人物たちの過去を語り、それぞれの成長を含めた人となりが描かれます。
前半の小暮おじさんの満州での体験談、現実にもあったことで目を背けてはいけません。そして脇役ですけれどコゲパンの恋の行方も楽しかったです。
そして風子の死の件のエピソード、やはり盛り込まれてました。本作の奥の深さの一番の要因となっています。

特筆すべきは陰の主人公だと言える垣本順子、上巻の登場時はどちらかと言えば鬱陶しい変わった女の子だという認識しかなかったのですが、そこはさすが宮部みゆきですよね。ページを進めるに連れて花ちゃんだけでなく読者にとってもとっても気になる存在となっていきます。いろんな読解の仕方がありそれが読書の楽しみでもあるのですが、個人的には本作は“英一の成長と順子の再生の物語”だと捉えている。小暮おじいさんが満州で体験したシーンが凄く読者に響き、決して会えないんだけれど英一や光を中心として彼らの心の礎となり光を照らす効果覿面です。
人間誰しも抱え持っている辛い過去や現在のこと、それを未来を見据えて生きていくことの大切さを教えてくれている本作は、登場人物たちは一見個性的にも見えますが、実は現代社会においては結構ステレオタイプなんじゃないかと思います。作者が主人公である英一を優しい少年から素敵な一人の男として成長させたのは、順子に対する恋心だけでなく弟や亡き妹に対する愛情を常に携えているからだと考えます。決して楽しいことばかりではないけれど、彼らの行く末をずっと見守っていきたいと感じました。たかがフィクション、されどフィクション、さすが宮部みゆきですよね。
読み終えた後に表紙写真を見ましたが、やはり胸が一杯で良い読書体験をしたということなのでしょうね。

評価9点。
posted by: トラキチ | 宮部みゆき | 19:54 | comments(0) | trackbacks(0) |-