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『風の向こうへ駆け抜けろ』 古内一絵 (小学館)
書下ろし作品。映画会社に勤務の経験がある作者が精魂を込めて書かれた作品で映像を目に浮かべながら読むことが出来る感動的な作品であると言える。
舞台は寂れた地方競馬で、新人女性ジョッキーの瑞穂が潰れそうな厩舎に配属され、風変わりな面々と出会い最初は戸惑いながらも成長してゆく姿を描いています。
彼女の成長=厩舎の成長ということが読者にとって心地よさこの上ないのであるけれど、一頭の馬との出会いが物語に彩りを添えます。
その馬の名はフレッシュアイという名で、中央競馬をはじき出されたその馬が救世主的存在として厩舎の人達と心を通わせます。

地方競馬の現状や女性ジョッキーの扱われ方など、いろいろと勉強となることもあったのですが、壁に立ち向かって行く姿が清々しいと言えるのでしょう。
途中で厩務員や調教師の視点に代わるところから物語は一層深みが増したような気がします。そして読者は瑞穂はいい馬だけでなく、いい人達と出会ったのだと感じずにはいられませんでした。桜花賞まで出場できたので一応夢は叶ったのかもしれませんが、続編でその夢がどうなったのか楽しみでなりません。新たな試練を乗り越えてゆく瑞樹の姿が目に浮かびます。

評価9点。
posted by: トラキチ | 古内一絵 | 20:22 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『フラダン』 古内一絵 (小峰書店)
評価:
古内 一絵
小峰書店
¥ 1,620
(2016-09-24)

作者の作品は新刊を中心に何冊か読ませていただいていますが、変幻自在に物語を紡いでいて楽しませてくれます。本作は半ば児童書のジャンルに入るのでしょうか、文字が通常よりも大きく読みやすいのですが、中身はいい意味で一筋縄では行きません。
爽やかさと身に沁みる厳しさを併せ持った作品内容で、作者も含めて中高生にこのような作品を読ませればやはり悩んでいるのは俺(私)だけじゃないということ請け合いの内容です。

物語は震災から5年後の福島の工業高校が舞台でタイトルからも想像がつくように女子ばかりのフラダンス同好会に男子が誘われるところから始まります。
強引に男子を誘う詩織が実は繊細な心の持ち主であるところがチャーミングに感じます。あとはやはり震災の当事者としての微妙な気持ちが滲み出ているところが締め付けられます。当事者にしかわからないことがありますよね、特に原発で働いている人の描写にはハッとさせられます。地元の人たちは簡単に過去のことに片付けられません。

ただ青春真っ只中の彼らにはエネルギーがあります、そうフラダン甲子園目指して彼らは頑張ります。キャラ立ちもしっかりとしていて主人公の穣とイケメンの宙彦との名コンビの掛け合いも楽しく、フラダンスを通して成長してゆく姿が微笑ましくいつもでも読者の脳裡に焼き付いて本を閉じることを余儀なくされます。映像化希望。「

評価8点。
posted by: トラキチ | 古内一絵 | 22:55 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『花舞う里』 古内一絵 (講談社)
評価:
古内 一絵
講談社
¥ 1,620
(2016-05-18)

初出「小説現代」。本作も含めて3作作者の新刊を読ませていただいているが、再生をモチーフとした良質の作品を立て続けに上梓されていると感じる。本作は前2作と比べてキャラ立ちは控えめであり、地味目な作品であるとも言えるが裏を返せば奥の深い小説好きの読者にも受け入れられる作品であると感じる。
それだけ作者の情景描写が素晴らしく、まるで映像を浮かべながらページを捲っている自分にハッとさせられたのである。

主人公である潤が母親の実家の愛知県の奥三河に帰るところから物語が始まるのであるが、辛い過去を背負って帰ってきたということを読者は自分も同じように背負ってしまうのであるが、ある種の期待感、それは作者がどのように誘ってくれるのかというものですがこれは読書の醍醐味だと言えます。

都会の学校では体験できない周りの環境に最初は驚かされる日々でしたが、次第に辛いのは自分だけではないのだということ、つまり他の子供たちもいろんなことを背負っているということを知ってゆく過程が瑞々しく描かれています。いわば潤の成長というものを私たち読者が体感できるところが本書の一番の魅力だと感じます。

花祭りのシーンは本当に圧巻で他の本では味わえないような感動が待っていますし、女性読者ならば母親の息子への愛情が滲み出ている描写に遭遇する楽しみもあり、違った感動が待ち受けていると思えます。なかなか踏み出すことは大人になっても難しいのですが、前向きに考えることの大切さを想い起させてくれる良書だと感じます。

評価9点。
posted by: トラキチ | 古内一絵 | 20:44 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『マカン・マラン - 二十三時の夜食カフェ』 古内一絵 (中央公論新社)
書下ろし作品。タイトル名はインドネシア語で夜食の意味であり店主である女装した大男のシャールが魅力的で物語に引き込まれた。全4編からなるのだけれどやはり構成が良い。一つ一つのストーリーが中編ぐらいの長さであり、それぞれの登場人物も読者層の人間が陥りそうになる悩みを抱えている点が身近に感じずにいられない。そして私たち読者にとっても異次元の世界と言って過言ではないドラァグクイーン(オカマではないみたいです)のお店で供される体に優しい食べ物。読んでいくうちに、読者の方も心地よさに浸ってしまいます。

そして作者の演出の素晴らしさは一編一編の背中を押してくれるストーリーだけではすみません。店主の過去の人となりと人間性に魅せられ、彼の現在進行形で侵されている病気が露わになりそして迫りくる立ち退きの話。果たしてマカンマランはどうなるのでしょうか、一気に読ませてくれますし、最早お店の常連客となったみたいな気分。最初は少し馴染まなかったお店の面々だけれど、途中からは個性的な彼らの魅力に負けてしまいます。あとは読んでのお楽しみということですが、是非続編が読めることを期待したいと思います。それにしても書下ろしでこのクオリティは高いと感心しました。最近疲れていてほっこり系の作品が好きな方には格好の一冊。

作者は映画会社勤務歴があって、活字を通してですがかなり映像的に読者に訴えかける文章が特長だと感じます。そして前作である『痛みの墓標』がインドネシアが舞台であったのがリンクしていると想像するのですが、綿密な取材を通して丁寧に一冊ずつ書かれているスタンスも好感が持てます。

評価9点。
posted by: トラキチ | 古内一絵 | 23:42 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『痛みの道標』 古内一絵 (小学館)
評価:
古内 一絵
小学館
¥ 1,620
(2015-07-23)

書下ろし作品。作者の作品は初めて手に取りましたがなかなか読み応えのある作品でした。今年は戦後七十年ということで多くの戦争を題材とした作品が上梓されていて、何作か読んでみたがどれもが読みごたえがあって読書の奥の深さを再認識したんだけれど、本作も戦争と現代を照らし合わせることの出来るところが素晴らしく、作者の題材選びの巧さというところが際立った作品と言えそうである。
冒頭から主人公でブラック企業に勤め苦しむ達希がビルの屋上から飛び降りるところから始まる。そこに亡き祖父でありもう一人の主人公とも言える勉が孫を助け出し、祖父が戦時中に出征していたボルネオ島にある女の人を訪ねることによって物語は進んで行くのだけれど、プロローグに登場した2人の男女と彼らを追い詰める兵隊がどう繋がるか緊迫感のある読書となった。

途中に出てくるユニークキャラとも言える特殊能力を持った高校生の雪音やバックパッカーの真一郎も物語に彩を添えており、どういう着地点に収まるかハラハラドキドキの読書が余儀なくされます。
戦時中の軍人の理不尽さはブラック企業の上司のそれに通じるものがありますが、やはり戦時中とは辛さの質が違います。
最終的にはほぼ読者の期待通りに終わったと言えそうですが、途中で現代と戦時中を交互に描くことによりいろんな真実があからさまとなり、作者がいろんなメッセージをプレゼントしてくれたので満腹感のあるエンディングと言えそうです。

個人的には戦時中の狂気が平和となった現代にも通じる部分があって、戦争に関しては勝った方も負けた方もどちらも正義ではないという強い訴えが心に残っているけれど、たとえ戦争時に憎悪をも含めたわだかまりがあったとしても、赦すことによって前向きに生きることの大切さを語っているように思えた。それが達希のラストでの行動として顕著に出てきたように感じた。
彼は過去の日本を知ることにより祖父の十分な愛を受け取り、今後人生を上手く渡っていけると思います。
本作は語り継がれている実話を下にして書かれたものであろうが、下調べを十分にこなした作者の筆力の高さが顕著に表れた作品だと言える。今後他の作品も是非手に取りたい。

評価9点。
posted by: トラキチ | 古内一絵 | 20:56 | comments(0) | trackbacks(0) |-