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2月読了本
2017年2月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2424ページ
ナイス数:933ナイス

サロメサロメ感想
初出オール讀物。作者得意のアート系ミステリーであるが従来の作品群よりも読者との距離感が近いように感じる。というのはアート作品に対するリスペクトよりも、小説の内容が表紙ともなっているサロメの挿絵にどのように肉薄しているかということに主眼を置いて読んだら楽しめるのかもしれない。やはり知名度では一番高いオスカー・ワイルドの変わっているのだけれどやはり時代の寵児であったということを見事にあぶり出しているところが読み応えのあるところであろう。

読了日:2月28日 著者:原田マハ
蜜蜂と遠雷蜜蜂と遠雷感想
直木賞受賞作品。作者の良い部分が堪能できる渾身の青春群像劇であり、作者の代表作として永年語り継がれるべく作品であると感じる。 キャリアの長い作者は独自の恩田ワールドと呼ぶべく作品群を展開しているが、敢えて悪く書かせていただければ風呂敷を広げ過ぎて上手く伏線が回収されていなかったり、幕切れが中途半端であったりとした作品もあったのだけれどそれらを払拭するべく本作は満を持して発売されたと思われる(→続く)
読了日:2月23日 著者:恩田陸
ロゴスの市 (文芸書)ロゴスの市 (文芸書)感想
再読。ビブリアバトル発表用に再読したのであるが、タイムリーなことに島清恋愛文学賞を受賞されたことはファンの一人として喜びこの上ないことである。 ちょうど一年ぶりの再読であったので、おおまかな内容は覚えているものの、初読み時と変わらないぐらいの新鮮な読書に酔いしれることが出来たのは、作品の持つ奥の深さ所以かと感じる。 今回は悠子の心の動きにスポットを当てて読んだけれど、読めば読むほど魅力的に感じた。主人公の弘之が惚れるのも無理のないところであろうか。
読了日:2月14日 著者:乙川優三郎
松田さんの181日松田さんの181日感想
オール讀物新人賞を受賞した表題作を含む6編からなる短編集で初読み作家です。人間というものの奥深さをよく観察し丹念に描いているといった印象で文章も読みやすい作家さんです。 表題作とラストが登場人物も繋がっていて(脚本家の寺ちゃんが出ます)どちらも余命短い人と周囲の人との暖かい繋がりを描いていて感動的な作品となっています。この作家の只者ではないところはそれ以外の4編も読ませるところだと感じます。夢を見ることと現実を見ることの大切さを謳っています。
読了日:2月13日 著者:平岡陽明
サラバ! 下サラバ! 下感想
下巻においては今まで我関せずを貫いていた歩に大きな変化が襲ってきます。阪神大震災やサリン事件、そして東北大震災などの実在にあった出来事を織り込んでいるところがタイトル名の意味合いも含めてメッセージ性の強いものとなっています。 圷家の崩壊と再生の話が展開されるのですが何といっても姉の再生が読者にとってはサプライズで、そう来たかと思われた読者も多かったのではないでしょうか。そして歩の外見の劣化をも含めた脱落してゆく姿が読者にとっても痛々しいのですが姉弟のいわば逆転現象がとりようによっては爽快ともとれます。
読了日:2月10日 著者:西加奈子
サラバ! 上サラバ! 上感想
上巻では主人公である圷歩の誕生から高校生時代までが描かれる。舞台はイラン→日本→エジプト→日本と変ってゆくのであるが歩を取り巻く個性的な家族が圧巻である。とりわけ娘のまま母親になったような母とわがままこの上ない妹との関係が控えめで謙虚な歩にとっては大変であっても読者にとっては歯がゆくも面白くもあります。 作者の特徴でもある繊細さと力強さを併せ持った作品であるところは間違いのないところであろうが、読み進めていくうちに読者は歩ほど波乱万丈ではないにしても、自分自身の過去を振り返ることを余儀なくされます。
読了日:2月8日 著者:西加奈子
テミスの求刑テミスの求刑感想
WOWOWでドラマ化された作品で作者初読みです。警官であった父親が殺害された過去を持つ検察事務官の星利菜が主人公で彼女の目線が多少ふら付いたところがあるのが気になる読書となった。但し重厚感のある話ではないのでスラスラと読めるのも間違いのないところ。彼女に対する読者の感じ方が大きく読後感に関わってくるとも言えるのであるが、逆に脇を固める個性的な検事や弁護士たちに対して振り回されているようでにも感じられる。というのも主人公にはどうしても父親の死という辛い過去があるにも関わらずその悲壮感が漂ってこないのだ。
読了日:2月2日 著者:大門剛明

読書メーター
posted by: トラキチ | 月刊読了本&予定本 | 07:14 | comments(0) | trackbacks(0) |-
2015年2月読了本。
2015年2月の読書メーター読んだ本の数:8冊読んだページ数:2612ページナイス数:990ナイス異邦人(いりびと)異邦人(いりびと)感想帯の“新境地の衝撃作”という言葉が印象的である。というのはアートを題材とした作品は代表作とされている『楽園のカンヴァス』を筆頭に作者の最も得意とするところであることは、読者の大半は理解しているつもりであると思われる。いつもの作者の作品と毛色が違うところは、通常の原田作品のお決まりの感動的かつ爽快感をもたらせてくれるタイプの作品ではないというところでしょう。どちらかと言えばドロドロした作品で、主人公である菜穂を筆頭に誰にも共感できず、逆に人間誰しもが持ち合わせている弱い部分が目につく読書となった。 読了日:2月28日 著者:原田マハ
サヴァイヴ (新潮文庫)サヴァイヴ (新潮文庫)感想シリーズ第3弾で初の短編集。全6編からなるのであるが、時系列が少しややこしいが逆に構成が圧巻である。最初と最後はお馴染みの主人公である白石の語りで始まり締め括られる。最初はフランス、最後はポルトガルでの話なのであるが、どちらもドーピング問題を扱っており自転車ロードレースの世界最高レベルでの戦いの過酷さを描写していると言って良いのであろう。これを読むと日本人でそこで活躍できるのはアシスト役が精一杯なのも頷けてくるのは少し切ない。 読了日:2月27日 著者:近藤史恵
火星に住むつもりかい?火星に住むつもりかい?感想書下ろし作品。タイトル名がいささかシニカルにも取れるのであるが、作者の理不尽な社会に対しての挑戦の言葉のように感じられるのであるがどうであろうか。 初期の頃のようなエンターテイメント性には欠けるが、読者に訴えかける部分はずっと増しているように感じられる。 時代は近未来になるのでしょう、強大な国家における暴走する平和警察という正に伊坂作品らしい舞台が用意させられていて読者は引きずり込まれ一喜一憂を余儀なくされますが、ユーモア度よりも重苦しさが漂っているようにも感じられる。 読了日:2月24日 著者:伊坂幸太郎
エデン (新潮文庫)エデン (新潮文庫)感想再読。『サクリファイス』の続編であり本作は主人公である白石の夢が叶い、彼のヨーロッパでの活躍が描かれます。 自転車ロードレースの本場であるヨーロッパ、ほとんど興味のない人でもその最高峰のレース“ツール・ド・フランス”という言葉は知っている方は多いと思われます。 白石は前作同様、脇役ながらもツール・ド・フランスに挑戦するのですが、主人公の夢が叶う=読者の夢が叶うということだと思います。 ただ描かれている現実は主人公にとって決して楽な状況ではありませんよね。作者は敢えて試練を与えてくれます(→続く)読了日:2月20日 著者:近藤史恵
精霊の守り人 (新潮文庫)精霊の守り人 (新潮文庫)感想児童文学やファンタジーというジャンルに疎いために帯の“児童文学のノーベル文学賞であるアンデルセン賞作家賞受賞!”という言葉の重みが認識出来なかったのは恥ずかしい限りであるが、読み終えてその賞の権威というものが理解できたつもりでいる。 もちろん登場人物のキャラや痛快な展開などは子供が読むことを念頭に置かれて創作されていることは認めるとしても、本シリーズに“大人も楽しめるファンタジー”という形容よりも“子供も手に取れるファンタジー”という形容の方が却って相応しいような気がする。読了日:2月16日 著者:上橋菜穂子
サクリファイス (新潮文庫)サクリファイス (新潮文庫)感想サイクルロードレースを舞台としたスポーツ小説と言えば、単に爽やかさが売りの作品だと思うけれど、本作は人間の心の中に潜む思惑をたっぷりと描写したミステリー仕立ての作品と言える。 まず、主人公であり語り手である白石の人柄というかキャラが読者受けする点が本作の最も成功した所以だと考えます。決してチームのエースを目指すわけじゃなく、とは言えヨーロッパで活躍したい意向も持っている、一見優柔不断のように見れないこともないけれど、読み進めていくうちに彼の心の中の葛藤に酔いしれ、思わず背中を押している自分を感じます。 読了日:2月11日 著者:近藤史恵
かつては岸 (エクス・リブリス)かつては岸 (エクス・リブリス)感想原題“ONCE THE SHORE"、藤井光訳。1980年生まれの韓国系アメリカ人作家による8編からなる済州島をモデルとした架空の島“ソラ”を舞台としている。 架空の島としたのは、本作には歴史的事実には基づくものの幻想的な要素がかなり盛り込まれているからだと思います。 おおまかに第二次世界大戦から朝鮮戦争の頃の言わば日本占領下における過去のソラ島と、観光産業を軸としている現代とがほぼ交互に描かれていて、読者サイドとしては少し忙しいけれどそこが良いアクセントとなって入り込んでくるのですね(→続く) 読了日:2月8日 著者:ポールユーン
メモリー・ウォール (新潮クレスト・ブックス)メモリー・ウォール (新潮クレスト・ブックス)感想各編の舞台はアメリカだけでなく、南アフリカ、韓国、中国、ドイツ、ウクライナなど多岐にわたるのであるが、たとえ記憶がおぼろげになろうとも、どこの街も風景は美しく登場人物の心に根差しています。時代も過去から未来までと柔軟性のある作品の中にも一貫して読者に生きることの尊さを知らしめてくれるところが素晴らしいと感じますし、作者のポテンシャルの高さと引き出しの多さを感じるのですが、簡単に言えば作者の魅力とは“リアルではあるのだけど夢見心地にさせてくれるところ”だと感じます。 読了日:2月4日 著者:アンソニードーア
読書メーター
posted by: トラキチ | 月刊読了本&予定本 | 21:29 | comments(0) | trackbacks(0) |-
2015年1月読了本。
2015年1月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1941ページ
ナイス数:924ナイス

シャイロックの子供たち (文春文庫)シャイロックの子供たち (文春文庫)感想
東京の下町にある都市銀行を舞台にした10編からなる連作短編の体裁をとったミステリー長編であり、半沢作品のような爽快感を望めば肩透かしを食らうかもしれませんが作者の魅力のエッセンスが十二分に詰まった作品。 初めの数編は異なった立場にいる行員たちを通して、銀行内部のディテールを描いていますが途中で100万円の紛失事件が勃発しミステリー度が増します。 どこの会社に勤めても多かれ少なかれ出世争いや家族とのあり方などが取りだたされますが、銀行は何といっても人の命の次に大事だと言って過言ではないお金を扱っています。
読了日:1月31日 著者:池井戸潤
新訳 ヴェニスの商人 (角川文庫)新訳 ヴェニスの商人 (角川文庫)感想
河合祥一郎訳。氏の訳されたものは舞台を念頭に置いて書かれているので、生き生きとした言葉が使われていて、頗る快適な読み応えを約束してくれるのが嬉しい限りである。 以前読んだ原書も訳本(新潮文庫版)を片手だったけど、良くも悪くももっと重厚で悲劇はともかく喜劇は馴染みにくかった記憶がある。 四大悲劇が有名なシェイクスピアであるが、個人的には本作も含めた喜劇(といっても4〜5作品しか読んだことがないけれど)群の方が楽しく読めると感じる。 舞台はイタリアのヴェニス、ラブストーリーを交えた法廷劇が繰り広げられます。
読了日:1月27日 著者:シェイクスピア
あるキング (徳間文庫)あるキング (徳間文庫)感想
文庫化による再読であるが、どの程度改稿されているかは単行本を読んでからかなり年月が経っているので把握出来なかった。文庫の解説は名翻訳家として名高い柴田元幸氏が書かれていて、その洞察力の高さに舌を巻いたのであるが、この作品あたりから伊坂作品の第二期というのですか、エンターテイメント度を敢えて薄くして、実験的作品と言えば失礼かもしれないが、少なくとも作家としての自分の好きな方向性を試している部分が多く感じられる。 本作はシェイクスピアの「マクベス」との伊坂さん自身の現代版として書かれているところがあり(続く)
読了日:1月24日 著者:伊坂幸太郎
あなたは、誰かの大切な人あなたは、誰かの大切な人感想
初出「小説現代」。40〜50代の女性を主人公に据えた人生のターニングポイントを語る6編からなる短編集。作者に関してはやはり胸がすく長編作家というイメージが付きまとい、私も決してそれを否定はしないのだけど、本短編集を読んで洗練された素敵な物語が心に沁みた読者が大半であると感じるのである。 タイトル名の通り、各編の主人公、人生の半ばを過ぎ夢はあるけど残りの人生もそう多くはないということは共通している。 もっとも共通しているのは配偶者に恵まれず、決して世間一般でいう女性としての幸せを掴み取っていない点である。
読了日:1月19日 著者:原田マハ
首折り男のための協奏曲首折り男のための協奏曲感想
7編の短編からなる作品集で、連作短編集ということで作者も出版社も売り出しているんだけど、繋がりが緩くてあんまり帯の贅沢すぎるという形容には同意できないことをまず語っておきたい。 もちろん、一編一編は独自の語り口というかいつもの伊坂さんというか、粒ぞろいの作品のオンパレードでやはり楽しめることは間違いのないところであって単独の短編集として売った方が良かったように感じずにはいられません。 もしくは作中の何編かで登場する伊坂作品ではお馴染みの泥棒かつ探偵である黒澤ををすべてのお話で登場させることによって(続く)
読了日:1月14日 著者:伊坂幸太郎
トオリヌケ キンシトオリヌケ キンシ感想
初出「別冊文藝春秋」他。普通の人とは違う、何らかの特徴を持っているを描いた6編からなる短編集。加納作品の特長は読んでいてとっても好奇心をそそられるところだと感じていました。本作はかつてのほんわかモードの作品だけでなく身につまされる虐待なども含まれ、成長かつ変化した作者の現在を確認することが出来ます。 なんといっても闘病生活を経て復帰されて書かれた本作、厳密にいえば表題作のみ闘病前に書かれたと思われますが、一冊の本として上梓することに関しては期するところが大きかったと容易に想像されます。
読了日:1月11日 著者:加納朋子
新訳 マクベス (角川文庫)新訳 マクベス (角川文庫)感想
学生時代原書も含めて10作品近く読んだ記憶があるのだが内容はおぼろげであり恥ずかしい限りである。シェイクスピアがイギリス国内だけでなく長く広く愛されているのは、その倫理観が時代を超えて受け入れれるということであると感じる。 それは本作を読んでも十二分に掴み取ることが出来、400年以上も前に書かれた作品であるということは信じられない。 冒頭に登場し、本作を支配していると言って過言ではない魔女の"きれいは汚い、汚いはきれい。”という言葉が読者である私も支配してしまうのが印象的である。
読了日:1月8日 著者:シェイクスピア
水やりはいつも深夜だけど水やりはいつも深夜だけど感想
初出「野生時代」。5編からなる育児や価値観をテーマとした短編集で各タイトルに植物名がモチーフとして使われている。窪作品の特長でもある露骨な性描写が影を潜め、逆にしっとりとかつじっくりと読ませる作品集となっていて作者の成長ぶりが認識できる。 他の作品と比べて派手さでは欠けるものの、共感度はもっとも高いと思われます。それは読者との距離を縮めて書かれた作品でるからであって、幼稚園児童をお子さんに持っている話が大半なだけに似たような不安な事情を抱えた人が読者本人や読者の周りに多く存在すると思います。
読了日:1月5日 著者:窪美澄

読書メーター
posted by: トラキチ | 月刊読了本&予定本 | 09:54 | comments(0) | trackbacks(0) |-
2013年2月に読んだ本。
2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2628ページ
ナイス数:772ナイス

窓の向こうのガーシュウィン窓の向こうのガーシュウィン感想
初出 小説すばる。 主人公の19歳の佐古は未熟児として生まれるも保育器に入れられずに育ってしまいます。高校を出て就職するもその会社が倒産し、訪問ヘルパーとして働き始めます。 世の中は後出しじゃんけんに満ちている。真面目にかつ誠実に生きる人に救いをもたらす物語。 いつもの宮下作品とはちょっと違って、胸のすく思いを求めてはいけないんだけど、また違った方向性を示してくれた作品である。 グッとくるところは少ないんだけど、他の作品と一線を画するという意味合いにおいてはとっても印象的なターニングポイントとなる作品。
読了日:2月28日 著者:宮下 奈都
旅屋おかえり旅屋おかえり感想
初出 レンザブロー。 主人公であり元アイドルの“おかえり”こと岡林恵理子、今はスポンサーから契約を切られ“旅屋”にと成り下がってしまうのですが、彼女には旅が好きであるという信念があるのですね。 これは故郷にも戻らないほどの強い信念であって、彼女の崖っぷちの人生を助けます。 原田さんの作品って読者に“気持ちよく本を閉じさせること”を念頭に置いて書かれていると思ったりします。 よく“極上のエンターテイメント”という褒め言葉がありますが、ちょうどその言葉が作者の作品、とりわけ本作には似つかわしいと思う。
読了日:2月27日 著者:原田 マハ
ワーキング・ホリデー (文春文庫)ワーキング・ホリデー (文春文庫)感想
坂木さんらしいハートウォーミングなひと夏の父と息子の物語。 父と息子とはいえ、本作では急に子供であると宣言されます。 元ヤンキーでホストの大和と、とっても出来た11歳の息子の進。 ホストから宅配便へと転職することによって物語は動き始めます。 最初違和感のあった2人ですが、徐々に絆が深くなっていくのはまあ予定通りと言えばそうなのですが、心地良いですよね。 テンポの良い文章と、脇を支えるサブキャラの充実ぶりが楽しい読書を約束してくれます。 映画化もされたみたいでこれは面白いかも。
読了日:2月25日 著者:坂木 司
ブラックボックスブラックボックス感想
初出 週刊朝日、加筆訂正あり。 久々の篠田さんですが、やはり読者にとってリアリティのある話を書かせたら上手いです。 テーマが食べるものということがとっても身近で、なおかつ恐ろしくなってきますが、とりわけスーパーのカット野菜やコンビニのサラダなどを普段から手に取っている読者なら今後躊躇われる方が多いんじゃないでしょうか。 主な登場人物は中学の同級生3人で工場で働く栄美をはじめ魅力的な人物はなく、どちらかと言えば巻き込まれてもがいていく人物ということで割り切って読むことが必要です。
読了日:2月22日 著者:篠田節子
四十九日のレシピ (ポプラ文庫)四十九日のレシピ (ポプラ文庫)感想
ひとことでいえば読後ほっこりと温かい気持ちに浸れる作品。 現実的ではない話なんだけど、百合子が亡継母である乙美を慕っているのはやはり百合子も子宝に恵まれなかったということが影響しているのだろうか。 良平と百合子の父娘が交互に語って物語が進行して行き、男性読者が読めば主人公は良平、女性読者が読めば百合子が主人公として読めることだと思います。 四十九日という葬式のあとの節目の儀式を通して人と人との繋がりの大切さをくっきりと描いています。 現在の自分の居場所が不安な読者には必ず背中を押してくれる作品であります。
読了日:2月18日 著者:伊吹 有喜
嘆きの美女嘆きの美女感想
初出 AERA-net、「耶居子のごはん日記」は書き下ろし。 ドラマ化の影響で柚木さん初挑戦しました。 男性読者からしたら傍観者的な立場で読めるので決して共感できる作品ではありませんが、まるで劇画の世界のようなストーリーの展開が楽しいです。 一言で言えば世の女性たちへの応援歌的作品と言えばいいのでしょう。 誰もがもっている“耶居子的”及び“ユリエ的”要素を見事にカタルシス一杯に描き物語が進行します。 知らず知らずのうちに耶居子が凄く成長してるのが圧巻です。美女だからといって良いことばかりではないですよね。
読了日:2月15日 著者:柚木 麻子
生きるぼくら生きるぼくら感想
初出 日本農業新聞。 読者にとって今度はどのような物語に浸れるのであろうという期待感がとっても大きい原田さんの作品。 それはクセのない流れるような文体と読者の心を満たせてくれる内容が伴っているからでしょう。 本作は典型的な自己再生の物語ですが、私たちが日頃当たり前のように食べている主食である“米”の大切さも謳っています。 特筆すべき点は現代日本の抱える両極の問題を描いている点ですよね。 主人公である人生の“いじめ→ひきこもり”問題と、マーサに息子と間違われる大学生純平の就職難の問題ですよね。 (続く)
読了日:2月10日 著者:原田マハ
螢草螢草感想
初出 小説推理。 何作品か葉室作品を読ませてもらってますが、本作は最も読みやすくて爽やかな物語に仕上がっています。 武家の出でありながらわけあって女中として奉公する主人公である菜々の健気な性格が印象的。 父の仇を討つために、そして奉公先の主人を助けるために困難に立ち向かって行きます。 奉公先の妻である佐知とは本当の姉妹のように仲が良く、残された二人の子供にとってベストの収束のように思えます。 一番幸せなのは市之進であると確信しています。なぜなら天国の佐知も喜んでくれているからです。
読了日:2月5日 著者:葉室 麟

読書メーター


遅ればせながらアップします。感想いつものように途切れていますがご容赦を。

各作品の10段階評価は以下の通りです。
『螢草』 葉室麟 8点
『生きるぼくら』 原田マハ 9点
『嘆きの美女』 柚木麻子 7点
『四十九日のレシピ』 伊吹有喜 9点 <MONTHLY BEST>
『ブラックボックス』 篠田節子 8点
『ワーキング・ホリデー』 坂木司 8点
『旅屋おかえり』 原田マハ 9点
『窓の向こうのガーシュウィン』 宮下奈都 7点

MONTHLY BESTは『生きるぼくら』『旅屋おかえり』『四十九日のレシピ』の三つ巴でしたが僅差で『四十九日のレシピ』とします。
伊吹さんはまだ3作しか上梓してないので早くコンプリートしたいですね。
葉室さんは毎月1冊弱新刊が出てるのでコンプリートするには月に2冊ぐらい読む必要があります(汗)
四月は時代小説を中心に読もうと思っています。
posted by: トラキチ | 月刊読了本&予定本 | 19:57 | comments(0) | trackbacks(0) |-
2013年1月に読んだ本。
2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2568ページ
ナイス数:664ナイス

ふくわらいふくわらい感想
初出「小説トリッパー」。 この作品は新たな西さんの代表作と言える作品だと思う。 それは奇想天外な設定であるにもかかわらず、読者に作家としての言いたいことをしっかりと伝えているから。読者は他の西さんのどの作品よりも、もっと言えば他の作家のどの作品よりも心に留めておくこととなるでしょう。私的には作者は本作を通して“自分の殻に閉じこもっては行けない”ということを伝えたいんだなと思っています。 様々な愛の形を読者に提供してくれています、このあたりもう少しじっくり読み込めたらもっとグッとくるのかもしれません。
読了日:1月31日 著者:西 加奈子
神去なあなあ夜話神去なあなあ夜話感想
初出「読楽」加筆修正あり。『神去なあなあ日常』の続編。続編というより後日談というか番外編ですね。 神去村の起源や秘密が明かされて行きます。 前作では臨時雇いだった主人公勇気は、本作では正社員として働いています。 当初、神去村や林業に対して反抗的だった勇気、本作ではそう言った態度や姿は微塵もなく、既に神去村にしっかりと溶け込んでいて、ある意味安心して読めます。 その反面、前作で描かれたお仕事小説的な要素はかなり影を潜めています。 前作では“林業”に、本作では“神去村”にスポットをあてて書かれています。
読了日:1月28日 著者:三浦 しをん
神去なあなあ日常 (徳間文庫)神去なあなあ日常 (徳間文庫)感想
三浦しをんさんお得意のお仕事小説で温かい気持ちに浸れる作品である。 物語の主人公は高校を出たてのフリーター志願の勇気という名のいわば現代っ子。その彼がなんと神去という名の三重県の山奥の村にて就職する、職業はなんと“林業”。 本作の成功の大きな要因は主人公勇気の語り口であろう。一年過ぎてから過去を振り返るように語られているのであるが、読み進めていくに連れて、彼の成長ぶりを否応なしに実感することが出来る。 そこが読者にとっても圧巻であり捲るページを止めることが出来ない。
読了日:1月26日 著者:三浦しをん
終わらない歌終わらない歌感想
『よろこびの歌』の続編で彼女たちの三年後が描かれている。 高校2年生から大学で言えば2回生の年代へ、前作は少女だった登場人物達が大人へと成長する時期に差し掛かった時期に当たる。 前作においては玲をはじめ皆、どことなくやる気が失せてたり何かを引きずっている状態の女の子たちが合唱を通じて心を開き合って行く過程が見事に描かれていたのであるが、本作では夢を追いかけているのだがその中で壁に打ち当っている状態が描かれている。 メインの話としては、念願かなって音大に進学したがもがき苦しんでいる玲と、彼女の親友で(続く)
読了日:1月24日 著者:宮下 奈都
よろこびの歌 (実業之日本社文庫)よろこびの歌 (実業之日本社文庫)感想
『終わらない歌』を読む前に再読。宮下さんの作品はほぼすべて読んでいるけどこの作品が一番好きです。 初読の時よりも玲の母親の気持ちがわかりました。本作は平凡な女子高(私立明泉高等学校)の2年生のクラスメイトたちが描かれています。 全7編からなる連作短編集で最初と最後が御木本玲という、親が著名なヴァイオリニストで、娘である玲が音大の付属高校を不合格になって明泉高校に入学するところから始まります。 夢が途絶えられて、落ち込み気味で入学してきた玲ですが合唱というチームでなし得る行事によって心を開いていくのですね。
読了日:1月21日 著者:宮下 奈都
何者何者感想
書き下ろし作品、直木賞受賞作。ツイッターを題材とした5人の若者達の就活に関わる物語。 主人公拓人のみならず皆個性派ぞろいだけど、意外と相手の心を探り合うのですね。 自分の学生時代はもちろんツイッターもなく就活という言葉もなかった。 時代は変わり価値観も多様化しているのだけど、今も昔も生きてくことだけでなく時代に順応していくことは本当に難しい。 5人が切磋琢磨して苦しい就活を乗り切る青春物語であろうと思われた読者もいるであろう。 だけどタイトル名からしてちょっとは捻りがあるはずだろうと思った方の方が多いかな
読了日:1月18日 著者:朝井 リョウ
のろのろ歩けのろのろ歩け感想
初出 オール讀物。北京、上海、台北を舞台とした三編からなる中編集。 主人公はすべて日本人女性でそれぞれ、雑誌編集者、駐在員の妻、失恋したOLという立場で現地を訪れます。 やはり最初の北京が舞台の「北京の春の白い服」がもっとも印象的ですね。恋人のアメリカ人とのやりとりも含めて北京の都市としての年月を経た移り変わりが見事に描かれています。 二〜三編目はいずれも現地の若い男とめぐり会うのだけど、彼らの実態というか人となりが上海と台北という都市のイメージを表しているといったら深読みしすぎでしょうか。
読了日:1月14日 著者:中島 京子
千鳥舞う千鳥舞う感想
初出 「問題小説」「読楽」、加筆改稿あり。 博多を舞台とした女絵師・里緒の悲恋の物語。 この作品は長編小説というより連作短編集の形態をとっています。 10編からなりますが主人公の里緒が手掛ける“博多八景”のタイトルがずらりとならびます。 本作の特徴は女性が主人公のために他の葉室作品よりもしっとりと繊細に描かれている点でしょうか。 江戸と博多、離れ離れになった外記との行く末が物語全体を支配しているのですが、各編ごとにそれぞれの絵を描くにあたり、物悲しい男女や親子関係が描かれています。
読了日:1月11日 著者:葉室 麟
蜩ノ記蜩ノ記感想
初出 小説NON 加筆訂正あり。直木賞受賞作品。 いつまでも心にずっしりと残る小説というのも数少ないだけに、そう言った作品に新年早々出会えました。 ズバリ本作のポイントは“武士としての矜持”というところになるのでしょうが、私たち読者も自身の“人間としての矜持”についても深く考えざるをえません。 藤沢周平と同様、作者も実に風景描写が上手く読む者を和ませて、そして時にはドラマティックに誘ってくれます。 潔く生きるって本当に難しいですよね、でも秋谷これほど充実した人生はなかったのではないでしょうか。 (続く)
読了日:1月4日 著者:葉室 麟

読書メーター

感想途中で切れていてごめんなさい。

各作品の10段階評価は次の通りです。
『蜩ノ記』 葉室麟 10点
『千鳥舞う』 葉室麟 9点
『のろのろ歩け』 中島京子 8点
『何者』 朝井リョウ 8点
『よろこびの歌』(再読) 宮下奈都 9点
『終わらない歌』 宮下奈都 8点
『神去なあなあ日常』 三浦しをん 8点
『神去なあなあ夜話』 三浦しをん 7点
『ふくわらい』 西加奈子 9点

MONTHLY BESTはベタですが『蜩ノ記』です。
葉室作品は5冊ぐらいしか読んでませんが、いずれ山本周五郎や藤沢周平と並び称される資質を持っていると思います。
あとは西加奈子さんですね、『ふくわらい』読者によっては受け付けられないかもしれませんがそれほど強烈な小説です。
良い意味で奇想天外さが常識の域を超えていてすこぶる心地良い読書を約束してくれます。他の作品も読んでみたいなと思っています。
posted by: トラキチ | 月刊読了本&予定本 | 21:45 | comments(0) | trackbacks(0) |-
2012年12月に読んだ本。
2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2641ページ
ナイス数:674ナイス

暗殺の年輪 (文春文庫)暗殺の年輪 (文春文庫)感想
単行本刊行1973年。全5編中直木賞受賞作1編と直木賞候補作3編を含むなんとも贅沢なデビュー短編集。 内容的には葛飾北斎のことを書いた「溟い海」や海坂藩作品の第一作で直木賞受賞作「暗殺の年輪」など本当に質の高くてバラエティーに富んだ作品集であるが、私がもっとも印象に残ったのは唯一直木賞の候補に上がらなかった「ただ一撃」、この作品は展開もさることながら作中に出てくる“三緒”という嫁が本当に健気で物悲しいのです。 とにかく各編、重苦しくて哀しいけど素敵な女性が描かれています。(続く)
読了日:12月29日 著者:藤沢 周平
海の見える街海の見える街感想
初出esora&書き下ろし。 人気作家を多数輩出している小説すばる新人賞受賞作家の3作目。 個人的に畑野作品はデビュー作に次ぎ2作品目に当たるのですが心地良い青春小説を書く作家だと認識しています。 海が見える市立図書館で働く20代及び30代の男女4人の姿を描いています。 本田さんに松田さんの男性陣、日野さんに春香ちゃんの女性陣、共通点があってこの4人が皆不器用で臆病なのです。 各章それぞれ視点が変わって行く構成が読者を飽きさせず、各自過去を引きずって心に傷を持っているシリアスな面も共感できます。
読了日:12月26日 著者:畑野 智美
路(ルウ)路(ルウ)感想
初出 文学界。 台湾に新幹線が走るというプロジェクトを通してその中に作者特有の優しさと郷愁感に満ちた人間模様が描かれている作品であり、プロジェクトの厳しさのリアルな描写を求めて読まれたら肩透かしを食らいます。 主人公と言って良い春香は大学生の頃台北に旅行し、そこで短時間知り合った男(人豪)が忘れられずにずっと引きずっているのですね。 引きずっていると言えば男性側の人豪も同様。 サイドストーリーも素敵です。 春香の先輩にあたる安西とアキ、高雄に住む威志と幼なじみの美青。 そしてなんといっても勝一郎の存在感。
読了日:12月23日 著者:吉田 修一
紙の月紙の月感想
初出 地方新聞 大幅加筆訂正あり、柴田錬三郎受賞作品。 作者の代表作と言われている『八日目の蝉』と同様、狂った女性を描いた犯罪小説に分類されるのであろうが内容というか読者に対するインパクトは毛色の違ったもの。 前者は誘拐犯で本作は業務上横領、前者はやってはならないことだとは分かっていながらも、多少なりとも主人公の“母性”に対する同情が芽生えるところが作者の筆力の高さを窺わせたのであるが、本作は同情のかけらも生じない。 ただ本作の方が読者に対しては身近に感じられる。転落して行く過程を楽しむべき作品だと言える
読了日:12月18日 著者:角田 光代
ことりことり感想
書き下ろし作品。小川洋子は悲しい物語を哀しくかつ美しく紡ぐ作家である。 本作は生きることの大いなる辛さとちっぽけだけどひたむきな幸せが表現された傑作です。 主人公はことりの小父さん(弟)とその兄で、世間から離れた所で小鳥たちの声だけに耳を澄ます兄弟のつつましい人生。 ポーポー語という鳥との会話しか出来ない兄、そして兄の唯一の理解者である弟。やがて兄は人生の幕を閉じます。 最も印象的だったのは図書館の司書との淡いと言っていいのでしょうね、恋の話です。 切なくてこの物語の哀しさをより深くしています。
読了日:12月14日 著者:小川 洋子
楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス感想
初出 小説新潮。山本周五郎賞受賞作品。 素晴らしい小説に出会った時の喜びは本好きにとっては至福の瞬間ですよね。 事実、この作品を読み終えしばらくは余韻に浸ってしまい次に読む作品にとりかかることが出来なかったのです。 作中で「永遠に生きる」という言葉がモチーフとして使われています。 何回も表紙のルソーの絵(「夢」)を見ながらそこに永遠に生きているヤドヴィガを観てため息をつきました。 読者ひとりひとりにとってもこの物語は作者の息づかい、すなわち作者の情熱がひしひしと伝わって来ます。 最終的には物事を→続く
読了日:12月11日 著者:原田 マハ
下町ロケット下町ロケット感想
初出 週刊ポスト。直木賞受賞作品。他の池井戸作品同様スカッとする小説ですが、仕事に明け暮れる魅力的な男性像だけでなくもっと根本的な男としての“夢とプライド”に焦点を当てているところがポイントなのでしょう。 窮地に追い込まれながらもそれを切り抜けていくシーンは他の作品と同様だと思いますが、登場人物ひとりひとりのキャラ立ちが的確で読者にも伝わってきます。 とりわけ佃社長と対照的な現実的な若手社員の描写と最後に明らかになる社長の取った行動には度肝を抜かれました。
読了日:12月7日 著者:池井戸 潤
茗荷谷の猫 (文春文庫)茗荷谷の猫 (文春文庫)感想
9編からなる東京(江戸)を舞台とした連作短編集。 時代背景が江戸時代末期から東京オリンピック直前までにわたります。 その時代に応じて不器用に生きる人たちを描きながら、実はその人達が精一杯生きていたとわかるのは後の時代になってからです。 その時は本当に小さくて薄っぺらい出来事でも、実は時が流れると他人の目にはとっても奥行きがあるものに映ります。 木内作品、人生は儚いけど素晴らしいものであるということを教えてくれます。 背中に重いものを背負っているのは決して自分だけじゃありません。
読了日:12月3日 著者:木内 昇

読書メーター


感想途中で切れているのあしからず。

各作品の評価は次の通りです。
『茗荷谷の猫』 木内昇 8点
『下町ロケット』 池井戸潤 9点
『楽園のカンヴァス』 原田マハ 10点
『ことり』 小川洋子 9点
『紙の月』 角田光代 8点
『路』 吉田修一 8点
『海の見える街』 畑野智美 8点
『暗殺の年輪』 藤沢周平 8点

MONTHLY BESTは文句なしに『楽園のカンヴァス』です。
この作品は『64』も『ソロモン〜』も読んでないのですが(汗)、新刊では2012年のベスト作品です。
今日本屋大賞のノミネート作品が発表されたので、その中に入ってました。
直木賞を取れなかった憂さ晴らしをしてほしいなと思いますが、強敵が多いですね。

posted by: トラキチ | 月刊読了本&予定本 | 19:45 | comments(0) | trackbacks(0) |-
2012年11月に読んだ本。
2012年11月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2772ページ
ナイス数:561ナイス

この君なくばこの君なくば感想
初出 小説トリッパー。時は激動の幕末から明治、九州の日向にある伍代藩を舞台に蘭学に秀でた楠瀬譲と譲のかつての恩師の娘である栞の恋愛模様を軸とした人間の生き方を問う傑作長編小説。 どちらかと言えば歴史小説よりも時代小説の方が好きな私ですが、葉室作品は一冊読んで二冊分楽しめます。 なぜなら読みやすい文章はもちろんのこと、“史実を踏まえ、とりようによったら歴史小説と呼んでも良い体裁の下にしっとりと時代小説を描いているからです。 この作品でも譲が大久保利通や榎本武揚と話すシーンが盛り込まれています。
読了日:11月26日 著者:葉室 麟
七緒のために七緒のために感想
初出「七緒のために」群像2010年1月号、「水の花火」群像2001年11月号。 表題作を読み終わった後、ため息が出た。美しい文章が特長の島本作品なのだが、14歳の多感で依存心の強い女の子2人の友情の物語と言えば聞こえが良いが、実は虚言癖のある女の子に振り回される女の子の話でかなり重くて辛くかつ共感し辛い話である。 たとえ少数派であろうが、正しくないかどうかにはかかわらず、主人公の気持ちに共感できるというのが島本作品の魅力ではあったのであるが、少なくとも以前は。 この世界を理解できるのは胸がざわつく→続く
読了日:11月23日 著者:島本 理生
夜行観覧車夜行観覧車感想
初出 小説推理 加筆修正あり。 『告白』に続き2冊目の湊作品、連ドラ化決定のために急遽手に取りました。 ラストが予想を裏切るほど平穏だったのが印象に残ります。 高級住宅地で勃発したエリート医師殺人事件(高橋家)を通して、残された家族の事件後のあり方、そして向かいに住む遠藤家親子3人の行く末。悲惨な事件でありながら小説としては身の毛のよだつような内容ではなく、時にコミカルにも読めます。 図式的には高橋家→裕福な家庭、遠藤家→一般的な家庭といった感じでとっても対照的なのがこの作品の大きなポイントとも言えます。
読了日:11月20日 著者:湊 かなえ
あと少し、もう少しあと少し、もう少し感想
書き下ろし作品。 山深い場所にある市野中学校を舞台とした大きな不安を抱える中学生の気持ちと人と人とのつながりの大切さを謳った駅伝を通しての青春小説の傑作。 本作にて作者は中学はいくら失敗しても良い場所という暖かい気持ちをベースにして中学生を描いています。 大半の読者が過去のこととなっている中学時代、思い起こせば言いたいことが言えそうで言えない年頃ですよね。中心的存在と言っていいのでしょう、部長である桝井君のある言葉にはドキッとさせられますが、それに動じない上原先生の見事な教師ぶり、頼りなさげですが→続く
読了日:11月17日 著者:瀬尾 まいこ
最果てアーケード最果てアーケード感想
連載コミック「最果てアーケード」の原作として書き下ろされた連作短編集。 世界で一番小さなアーケードを舞台として大家であった亡き父の娘が少女の頃から配達人となった現在に至るまでを語っていきます。 それぞれの話の店主や登場人物は個性的ですが中には事情があってハッとさせられる物語も含まれています。 小川さんにかかると本当に物語は変幻自在に操られます。 解明されないようなこともあるのでしょうが、それも含めて小川ワールドなのでしょう。 でも一貫しているところはやはり“愛しさ”と“優しさ”が詰め込まれているところ。
読了日:11月14日 著者:小川 洋子
空の拳空の拳感想
角田さんの新境地開拓作品と呼んでよさそうなボクシングを題材とした作品。 百田さんの『ボックス!』は未読ですが(宿題ですね)、想像するにボックス!ほど熱い作品ではないであろうと思っています。 敢えて女性読者の多い角田さんはそのあたりは想定済みですよね。 だから本作は主人公を出版社に勤務する“文科系”のオトコである空也の目を通している点がこの作品のポイントであると思います。 ひたすら一般的な読者レベルに近い視点で語ることによってボクシング自体わかりやすく語られているのです。
読了日:11月13日 著者:角田 光代
ロスジェネの逆襲ロスジェネの逆襲感想
オレバブシリーズの3作目にあたり主人公でありバブル世代の半沢が出向先で活躍します。タイトルがロスジェネなのは相方を演じる森山がロスジェネ世代であるということからだと思われます。 ロスジェネ世代の森山がバブル世代の半沢をリスペクトして行く過程も読ませどころのひとつ。 すべてが予定調和ですっぽりと収まってくれるので日頃の仕事の疲れを取るのには本当にオススメ。 現実はある程度は長いものに巻かれなければ生きていけなくて真似はできませんが、小説内の半沢には男として理想的で大きく共感できます。
読了日:11月9日 著者:池井戸 潤
五辧の椿 (新潮文庫)五辧の椿 (新潮文庫)感想
昭和34年講談社から単行本刊行。他の山本作品とは一線を画するミステリー調のサスペンス作品。 こんな教訓的でない山本作品には驚いたのですが、復讐を実行してゆく主人公のおしのの気持ちに入れ込んでしまうほど熱中して読めることは請け合いです。 人生における罪や罰、そして人生の掟というテーマなので、殺す必要があったのかどうかを深く考えて読むと他のテーマよりは難しいし前向きな答えが出にくいので、娯楽作品として楽しむべきだとも思います。 なぜならどう考えても正しかったという結論は出しにくいですから。
読了日:11月5日 著者:山本 周五郎
ポニーテールポニーテール感想
初出 小説新潮 大幅に改稿。 両親がお互いに再婚して新たに姉妹となった女の子の物語。 父親方が主人公格の小学4年生のフミで母親と死別、母親方が小学6年生のマキで父親と離別。 この年頃の2歳差って大きいですよね。 フミの新しいお母さんでマキの実のお母さんの言葉を借りれば“マキはちょっとヘンクツで無愛想だけど、フミは、とっても素直で、とっても意地らしいっ”と表現しています。 実際二つの家族がひとつの家族になるのは難しいです。 いろんなエピソードを通して、人生に正解はないのかもしれませんが→続く
読了日:11月2日 著者:重松 清

読書メーター


毎月のことですが感想がコメントまで入り込んでいるので途中で切れています。
各本の10点満点評価は次のようになります。
『ポニーテール』 重松清 8点
『五辦の椿』 山本周五郎 8点
『ロスジェネの逆襲』 池井戸潤 9点
『空の拳』 角田光代 8点
『最果てアーケード』 小川洋子 8点
『あと少し、もう少し』 瀬尾まいこ 10点
『夜行観覧車』 湊かなえ 8点
『七緒のために』 島本理生 5点
『この君なくば』 葉室麟 9点

MONTHLY BESTは『あと少し、もう少し』ですが僅差で『ロスジェネの逆襲』と『この君なくば』が続きます。
いよいよ締めくくりの12月ですが『64』と『ソロモンの偽証』まで手がまわるかどうか、山本周五郎の『ながい坂』や『光圀伝』も控えています。
まあ頑張って時間を見つけて読んでいきたいと思います。
posted by: トラキチ | 月刊読了本&予定本 | 20:13 | comments(0) | trackbacks(0) |-
2012年10月に読んだ本。
2012年10月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2591ページ
ナイス数:488ナイス

本日は、お日柄もよく本日は、お日柄もよく感想
初出「本とも」加筆修正あり。 原田さんの作品も久しぶりですが本作は極上のエンターテイメント小説に仕上がっていてタイトルのように心が晴れやかになる作品です。 幼馴染の披露宴での失態から人生が変わった主人公こと葉。その後知り合った人を通じて“スピーチライター”のお手伝いをしていきます。 たかが小説なれど、本作ほど冒頭からラストで心の内面が成長し輝いた主人公は少ないと思います。 本作は選挙小説としてもエッセンスとノウハウが詰まっていて楽しめます。フィクションでありながらかなりリアルに描かれています。
読了日:10月31日 著者:原田 マハ
ある男ある男感想
初出 オール讀物。明治初期の社会が混沌としていた時期に、国家の転機という時代に翻弄されながらもひたむきに生きる7人の男を綴った7編からなる短編集。 この作品が最も成功している点は内容はもちろんのこと、それぞれの話の主人公に名前を与えていなくて“男”と表記している点である。 実在したのか作者の創作なのかは若干わかりづらいのですが、少なくとも具体的な名前を出さないことによって読者である私たちが主人公に成り代わって読み進めることが出来ます。
読了日:10月29日 著者:木内 昇
古手屋喜十 為事覚え古手屋喜十 為事覚え感想
私にとって現役の時代小説作家の中では最も安心して読める作家である宇江佐さん、久々に手に取ってみました。江戸浅草の「日乃出屋」という名の古着屋を舞台とした6編からなる連作短編集。主人公である喜十の人柄が他の宇江佐作品の主人公ほど魅力的に映らないのが少し残念ですが、周りを取り巻く妻のおそめや隠密廻り同心で喜十に為事(仕事)を振ってくる上遠野平蔵が魅力的でカバーしている感じですね。 他の宇江佐作品よりもミステリー仕立てな面や暗い話も多いのであるが、やはり人情話的要素の強い「小春の一件」が秀逸。
読了日:10月26日 著者:宇江佐 真理
すかたんすかたん感想
わけあって大阪の青物問屋・河内屋で女中奉公することとなったかつて武家に嫁いで後家さんとなった江戸出身の知里を主人公とした物語。珍しく大阪を舞台とした時代物で、各章ごとにタイトル名でもある“すかたん”を初め“ぼちぼち”、“かんにん”など大阪言葉を使っていて目新しく感じます。関西人の読者には親近感を覚えずにはいられない一冊だと言える。 しっとり感にはやや欠けますがテンポよく読める作品で、作者である朝井さんは魅力的な女性を描くのに長けていると思います。主人公で江戸ッ娘の知里のみならず、志乃さんや小万さん(続く)
読了日:10月19日 著者:朝井 まかて
極北極北感想
村上春樹訳。極北の秩序なき地で主人公の女性メイクピースが困難や逆境を撥ね退けながらも奮闘する姿は、読者に生きることの素晴らしさを訴える。 時代は近未来なのであろうが、東日本大震災を経験した日本人にとってはフィクションなれどリアルな内容となっていて、“たかが小説”とは思えず小説に入ることを余儀なくされる。 もちろん小説なので無慈悲な世界なれど娯楽性もそこなわれていないのであるが、そのあたりは作者だけでなく村上春樹の名訳がもたらせたものであるとも言えるであろう。 (続く)
読了日:10月15日 著者:マーセル・セロー
ツナグ (新潮文庫)ツナグ (新潮文庫)感想
吉川英治新人文学賞受賞作品。決して辻村さんの良い読者ではない私ですが、本作を通して作者の確かな力量を感じ取ることが出来ました。 抽象的な表現であるが、作家として読者に1.夢を与える、2.現実を知らしめる、3.生きること(命)の尊さを教える・・・以上の3点が伝わって来ました。 5編からなる連作短編集の形をとっていますが1〜4編目にて依頼人4人が登場します。そして最終章で使者の姿(歩美)が明確となり、彼のバックボーンと1〜4話の話をより深く掘り下げることにより読者により一層の感動をもたらせてくれます。
読了日:10月11日 著者:辻村 深月
中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)感想
7編からなる村上氏最初の短編集。発売が1983年5月なので来年でちょうど30年となる。この作品の感想を端的に示してくれる言葉が本文にあるので引用する。“「誰も読まないでしょう。三十年か四十年経っても読む価値のある本なんて百冊に一冊です」”冒頭に敢えて作者より1〜4編目と5〜7編目のあいだには一年近くのブランクがあるいう言葉があり、なんとなくであるが作品としてのバランスと言うか完成度としては差があると感じた。最初の4編はなんとなく作者自身が試行錯誤的というか内容が実験的であるような気がするのである。
読了日:10月8日 著者:村上 春樹
空より高く空より高く感想
久々に手にとった重松新刊作品。重松作品、以前は発売日に買って胸を高鳴らせながら読んでいたのが本当に懐かしく思いました。 廃校が半年後に迫ったニュータウンにある東玉川高校、通称トンタマで学ぶ高校生四人組の半年間を綴った物語。 例えば近年の重松作品の傑作と言われている『とんび』のように圧倒的な感動を求めて本作を手に取ると肩すかしを喰らうかもしれない。 重松さんの他作のようにある問題提起(たとえばリストラやいじめ)を読者に投げかけるとか、そういうスタンスで書かれた作品じゃなく、いろんな問題(続く)
読了日:10月5日 著者:重松 清

読書メーター


感想がコメントまで入り込んでいるので途中で切れています(汗)
各本の評価を記すと次のようになります。
『空より高く』 重松清 7点
『中国行きのスロウ・ボート』 村上春樹 8点
『ツナグ』 辻村深月 9点
『極北』 マーセル・セロー 9点
『すかたん』 朝井まかて 8点
『古手屋喜十 為事覚え』 宇江佐真理 7点
『ある男』 木内登 9点
『本日は、お日柄もよく』 原田マハ 8点

MONTHLY BESTは『ある男』です。

木内さんの作品は他の作家では味わえない完成度を感じます。
10月は山本周五郎一冊も読めなかったので今月は『五辦の椿』からは行っています。
今月こそ10冊以上行きたいです(汗)
posted by: トラキチ | 月刊読了本&予定本 | 19:02 | comments(0) | trackbacks(0) |-
2012年9月に読んだ本。
2012年9月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2173ページ
ナイス数:341ナイス

なくしたものたちの国なくしたものたちの国感想
名作『Presents』に続く松尾たいことのコラボ作品。正直『Presents』のように誰が読んでも感動できるような作品ではないような気がします。それはやはりファンタジー的要素が強いために角田さんお得意の“身につまされつつも読者にちっぽけではあるが、かけがえのない夢を見させてくれる”話ではないからだと思います。一話一話完結した話じゃないのも原因かもしれません。ただ読む人によっては大きな夢を見させてくれる物語であるのかもしれませんし、他作とは違った新たな角田さんの魅力が全開した作品と捉える方がいても(続く)
読了日:9月30日 著者:角田 光代
虚空遍歴 (下巻) (新潮文庫)虚空遍歴 (下巻) (新潮文庫)感想
正直、最後まで読み切るのに辛くって息苦しい作品でした。それがこの作品の完成度の高さを物語っています。 「人間の価値はなにを為したかではなく、何を為そうとしたかだ」 この作品のテーマそして内容を凝縮した言葉であります。 浄瑠璃の世界を語っていますが、現代の私たちにも当てはまる普遍的な内容だと思います。 司馬遼太郎の作品に出てくる実在し何かを成し遂げた立志伝中の人物ではなく、何かを成し遂げようと必死にもがきながら生きた人物を描いた本作は“人生なにもかも上手く行くものじゃない”と言うことを知っている大半の読者
読了日:9月28日 著者:山本 周五郎
虚空遍歴 (上巻) (新潮文庫)虚空遍歴 (上巻) (新潮文庫)感想
山本周五郎の三大長編(樅の木は残った、ながい坂、本作)の中ではもっとも地味ではあるが主人公への共感度ではもっとも高い作品だと言える。武士の身分を捨てて浄瑠璃の世界へと身を投じる沖也。いろんな逆境を撥ね退けて成長していくのですが、なんといっても彼に想いを寄せるおけいの存在が圧巻。彼女の独白シーンは読者もとびきり胸を高まらせて読むことを余儀なくさせられます。本妻のお京が気の毒に思いながらも少しずつ体の具合が悪くなっていく主人公を自分自身に置き換えつつめくるページが止まらない読書となりました。
読了日:9月22日 著者:山本 周五郎
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)感想
飛田茂雄訳。イシグロの2作目にあたる作品でウィットブレッド賞受賞作。 戦後まもない日本が舞台の作品で、戦争を挟んで時代の流れとともに価値観が変わっていく世の中を主人公である元画家の小野が現実とを重ね合わしながら過去を回想する物語。 主人公に対しては家族に対する思いやりという点においては読みとることが出来たのが救いであるが、『日の名残り』の主人公のような人間としての矜持は感じなかったがそれは舞台が日本であるからかもしれないし、確固たる意志のある言葉で綴ってなく曖昧さが漂っているのも要因だろう。
読了日:9月16日 著者:カズオ イシグロ
わがタイプライターの物語わがタイプライターの物語感想
絵 サム・メッサー/訳 柴田元幸。 小説というよりもどちらかと言えば画集と言った方が適切だと言える作品。 1974年以来、長年使っているオースターのタイプライターを見染めたサム・メッサーの絵が素晴らしい。ずっとタイプライターを使っているオースターの人となりと愛着が窺い知れますし、彼の性格をわかった上でメッサーがタイプライターを見染めたのは間違いないでしょう。作者とともにいろんなところ(東京、パリなど)を旅したオリンピア製のタイプライターの何枚もの絵が素晴らしいのですが(続く)
読了日:9月14日 著者:ポール・オースター
ストーリー・セラーストーリー・セラー感想
妻が作家(書く側)で夫がそのパートナー役(読む側)である2組の夫婦の悲しい物語。 悲しいと書きましたが結末が悲しいだけで、それよりも愛に満ち溢れているシチュエーションを楽しむべき話だと思います。 とりわけ、2人の出会いや好きになって付き合うまでに至った過程の描写が印象的で胸に突き刺さります。 このあたりベストセラー作家の有川さん、読者のツボを押さえていますね。 常に読む側の人の意識を念頭に入れて書かれています。 そしてテンポの良い文章は現在この人の右に出る人はいないんじゃないかなと思います。(続く)
読了日:9月11日 著者:有川 浩
つるかめ助産院 (集英社文庫)つるかめ助産院 (集英社文庫)感想
NHKドラマ原作。ドラマほど主人公(仲里畏紗主演)のキャラは立っていませんが、却って読者に訴えかけるところが強いような気がします。 小川さんの作品はすべてを失った人が再生して行くというパターンが多いのですが、本作もそれに近い感じで物語が始まります。 タイトル通り、助産院の話で(南の島での)、主人公まりあがつるかめ先生はじめ過去を引きずっても強く生きている周辺の人に触れ合って再生して行く過程が心なごみます。 愛だけでなく命の尊さも謳ったところが凄いですね。 もっと言えば女性の生き方を問う作品でもあります。
読了日:9月7日 著者:小川 糸
マーティン・ドレスラーの夢 (白水Uブックス)マーティン・ドレスラーの夢 (白水Uブックス)感想
柴田元幸訳。ミルハウザーの作品は3作品目になりますが長編は初めてで、ピュリツアー賞を受賞作品と言えども少し評価が微妙というのが率直な感想。 20世紀初頭のニューヨークにて驚異的なホテルを次々と建て、アメリカンドリームを成し遂げたマーティンのお話なのだが、伝記風に淡々と語っているので心情が薄くて感情移入しにくかった感じですね。もちろんミルハウザー特有の精緻で緻密な面(とりわけホテルに関する具体的な描写)も織り込まれているのですが。
読了日:9月2日 著者:スティーヴン ミルハウザー

読書メーター


あまり読めませんでした、10月は頑張って12冊ぐらい行きたいですね。
MONTHLY BESTは『虚空遍歴』(上・下)です。
改めて感想綴りますね。
posted by: トラキチ | 月刊読了本&予定本 | 23:58 | comments(0) | trackbacks(0) |-
2012年8月に読んだ本。
8月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2417ページ
ナイス数:339ナイス

見えない誰かと (祥伝社文庫)見えない誰かと (祥伝社文庫)
再読。ハートウォーミングで癒しの作家、瀬尾さんの第1エッセイ集。 エッセイを読むとその作家のひととなりがよくわかり、読者との距離感が縮まります。 本作も瀬尾さんの身近なことや過去のことなどが小説と同様、テンポの良い文章で綴られ、読者を幸せな気持ちにいざなってくれます。 代表作『図書館の神様』の原型とも言える「図書室の神様」の話が一番印象的ですが、すべてにおいて小説同様、人と人との繋がりを大事にしているのだと改めて痛感。 最後の採用試験に合格したあとでの話、嬉しくて思わず読者も小躍りしたい衝動に駆られます。
読了日:08月31日 著者:瀬尾 まいこ
見知らぬ場所 (新潮クレスト・ブックス)見知らぬ場所 (新潮クレスト・ブックス)
再読。小川高義訳。今や超寡作と言って過言ではないラヒリの3作目で2008年クレストブックスにて刊行ですが最新作にあたる作品。 ちなみにこの作品で第4回フランク・オコナー国際短篇賞を受賞しています。 2部構成からなり第1部は独立した短編で5編からなり、第2部は3編からなる連作短編といって良い構成。 1部の短編の特徴は『停電の夜』ではインドとアメリカどちらにも視点をおいた作品が多かったのですが、本作は移住した二世の話が主流となっているところが月日の流れを感じさせます。 デビュー作ほど祖国に対する愛情は感じられ
読了日:08月24日 著者:ジュンパ ラヒリ
オラクル・ナイトオラクル・ナイト
柴田元幸訳。『ブルックリン・フォリーズ』のように楽しくは読めないけど物語の緻密さはこちらに軍配があがります。 読者の背中を押してくれると言うより、人生の奥の深さを教えてくれる一冊だと言えそう。 作者得意の物語内物語が展開され、それぞれの人物に作者の人生観が反映されているのでしょう、登場人物をメモしながら読みました(笑) ラストの物悲しさは特筆もの。いつまでも読者の脳裏に焼き付いて離れませんが、主人公であるシドニーを中心として読み進めるとやはり彼の再生の物語だったのだと納得のいく読書に帰結して本を閉じれるの
読了日:08月19日 著者:ポール オースター
天国はまだ遠く (新潮文庫)天国はまだ遠く (新潮文庫)
再読。自殺志願の23歳の女の子・千鶴の再生の物語。本作の田村さん、『図書館の神様』の垣内君とどちらもそれぞれの主人公が癒され再生して行くのに大きな役割を演じるのですが、本作の場合は主人公が田村さんに対して少なからず恋愛感情を抱いているのが違いとなります。 田村さんのこだわりがなく心の広いところは男性読者も見習わなくては(笑) ラストでどうなるか気になりつつ読み進めましたが、瀬尾文学の予定調和ということだと理解しています。 それは適度に距離を置くことによって物事が円滑に進むということなのですね。
読了日:08月15日 著者:瀬尾 まいこ
図書館の神様 (ちくま文庫)図書館の神様 (ちくま文庫)
再読。過去の事件にて心に傷を負い、悩まされつつ海の近くで高校の講師をしている22歳の主人公清(きよ)の再生&成長小説。 瀬尾さんお得意パターンですね。 そしてその心の傷がラスト付近での三通の手紙により主人公の成長と相まって見事に洗い流されます。 その感動的で胸のすく展開が瀬尾文学の真骨頂と言えるのでしょう。 かつてこんなに心が洗われる小説があったでしょうか。清が垣内君に感謝したように読者が作者に感謝したい気分にさせられます。 なにわともあれ、読者の体内にスッと入り込めるテンポの良い文章が心地よいです。
読了日:08月13日 著者:瀬尾 まいこ
アンダスタンド・メイビー〈下〉アンダスタンド・メイビー〈下〉
下巻に入って、過去のいろんなことが露わになり、上巻で感じた黒江に対しての少なからずの不快感は緩和されたけど払拭までには至らなかった。 ただ読者によっては払拭されたことであろうとも思われる。それは読者の性別・年齢・環境、もっと言えば考えや読解力によって違うと思います。 作者の読者層が広がっているのも事実かなと思います。たとえば今までの作品になかった子供の育て方に関して考えることを余儀なくされた作品でもありますし、カルト宗教問題にも触れていますよね。彌生君のような“神様”のような人は別として(笑)
読了日:08月11日 著者:島本 理生
アンダスタンド・メイビー〈上〉アンダスタンド・メイビー〈上〉
島本さんのヒロインは男性読者として、いつもその恋を応援したい気持ちを持ちながら読んでしまうのだけど、本作の主人公黒江はついていけない部分が多く、その家庭環境を斟酌しても同情の余地が少ない。 物語が進むにつれて選ぶ男が悪くなっていく感が強く、第2章ではかなり転落してしまいます。下巻は師匠によって救いがもたらされるのでしょうか、それとも彌生君との復活があるのかな。手紙に入っていた過去の写真の真相も気にはなりますよね。 とにかく胸が締め付けられる展開を希望(笑)。ただし島本作品の文章の美しさは折り紙つき。
読了日:08月06日 著者:島本 理生
樅ノ木は残った (下) (新潮文庫)樅ノ木は残った (下) (新潮文庫)
決して難解ではないが登場人物が多すぎて頭の整理が常に必要となる読書であったことは間違いない。わが身を犠牲にして伊達藩を守り抜いた原田甲斐、その潔さと男らしさの象徴として樅の木(伊達藩)は残ります。 この作品は作者にとってはもっとも長い長編小説であるだけでなく、歴史小説として大きな挑戦を施しています。 歴史的事実を変えずに解釈を変えたのです。それは悪人だと思われていた原田甲斐を敢えて違った描き方への挑戦です。 時には人間らしく時にはストイックに甲斐を描くことにより大きな感動を読者に与えてくれます。
読了日:08月03日 著者:山本 周五郎

2012年8月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター


MONTHLY BESTは予定通り(笑)、『樅の木は残った』(上・中・下全三巻)です。
今月は山本周五郎五冊ぐらい読みたいですね。
posted by: トラキチ | 月刊読了本&予定本 | 17:14 | comments(0) | trackbacks(0) |-