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『カイシャデイズ』 山本幸久 (文芸春秋)2009.02.19 Thursday
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別冊文芸春秋に連載されたものを改稿し単行本化。
物語の舞台は内装会社ココ・ファーム。
そこで働く人々(社長も含め)の日々の出来事を綴った8編からなる連作短編集。
奥田英朗さんの『ガール』や『マドンナ』系の小説と思いきやちょっと違う。
ちょっと辛辣に書けるのは奥田さんに軍配を上げざるをえないが、山本さんはひとりひとり登場人物のキャラを立てて読者に親近感を持たせるのに成功している。
一方荻原さんが描くとキャラがおとぼけすぎてしまう。
山本さんの描く人物はちょうどいい匙加減。
その分、ちょっと主題がぼやけてどうなんだろう、『カイシャデイズ』という名のような仕事としての厳しさに欠けている嫌いはあるのであろうが。
そこはコメディとして割り切って読んでくれと作者に押し切られそうだ(笑)
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『男は敵、女はもっと敵』 山本幸久 (マガジンハウス)2009.02.19 Thursday
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マガジンハウスの月刊文芸雑誌“ウフ”に連載していたものをベースに単行本化した連作短編集。
正直言って、傑作と言って良いであろう『凸凹デイズ』を読んだあとすぐに手にしたので読み終えるのが辛かったのは事実。
こういった少し男女間のドロドロな部分をコメディタッチ兼ユーモラスに書けるのは吉田修一さんか平安寿子さんに任せておいたほうがよかったかもしれないなと思う。
山本さんが描くと吉田さんほどサラッとお洒落に書けないし、平さんほど毒がない。
平凡な作品に終始してしまう。
他作と比べるとどうしても全体的なまとまりにも欠け、読後感もすっきりしないのである。
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『凸凹デイズ』 山本幸久 (文藝春秋)2009.02.19 Thursday
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<自分自身の輝ける居場所探しに恰好の1冊>(2006/09/08)
個人的な意見であるが、これから次世代の直木賞を狙える男性作家として本作の山本幸久さんと三羽省吾さんのお2人に注目している。
お2人とも今後のエンタメ小説界を背負って立つに相応しい逸材だと信じて疑わない。
本作は山本さんのいいところがギュッと詰まった傑作だと言えそうだ。
作者のいいところは次の2点あたりがあげれるだろう。
まず作風がとってもハートウォーミングな点。
次に登場人物が皆個性的でキャラが立っている点。
本作は上記2点が巧みにミックスされ、“山本ワールド”を見事に構築させた作品である。
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『笑う招き猫』 山本幸久 (集英社文庫)2009.02.19 Thursday
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“人生において夢を持つこと”はとっても貴重なことである。
この作品を読めばそれが実感できる。
第16回小説すばる新人賞受賞作。
とってもテンポが良く爽快な小説。
すべてにおいて目新しさが目立つ作品である。
特に、“女性の友情”を取り上げてる点が印象的だ。
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