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柴田元幸翻訳本リスト(新潮社&白水社)

 ◎新潮文庫

★『ナショナル・ストーリー・プロジェクト機戞.檗璽襦Εースター編 (2009/01)
★『ナショナル・ストーリー・プロジェクト供戞.檗璽襦Εースター編 (2009/01)
★『私たちがやったこと』 レベッカ・ブラウン (2008/10)
★『トゥルー・ストーリーズ』 ポール・オースター (2008/01)
★『ミスター・ヴァーティゴ』 ポール・オースター (2007/01)
★『体の贈り物』 レベッカ・ブラウン (2004/10)
★『リヴァイアサン』 ポール・オースター (2002/12)
★『偶然の音楽』 ポール・オースター (2001/12)
★『一人の男が飛行機から飛び降りる』 バリー・ユアグロー (1999/09)
★『ムーン・パレス』 ポール・オースター (1997/09)
★『孤独の発明』 ポール・オースター (1996/03)
★『幽霊たち』 ポール・オースター (1995/03)

◎新潮社単行本 (未文庫化)

★『幻影の書』 ポール・オースター (2008/10)
★『たちの悪い話』 バリー・ユアグロー (2007/02)
★『ティンブクトゥ』 ポール・オースター (2006/01)
★『わがタイプライターの物語』 ポール・オースター (2005/06)

◎白水uブックス

★『鍵のかかった部屋』 ポール・オースター (1993/10)
★『イン・ザ・ペニー・アーケード』 スティーヴン・ミルハウザー (1998/08)
★『最後の物たちの国で』 ポール・オースター (1999/07)
★『三つの小さな王国』スティーヴン・ミルハウザー (2001/07)
★『バーナム博物館』スティーヴン・ミルハウザー (2002/08)
★『シカゴ育ち』スチュアート・ダイベック (2003/07)
★『黒い時計の旅』スティーヴ・エリクソン (2005/08)
★『マーティン・ドレスラーの夢』スティーヴン・ミルハウザー (2008/08)
★『セックスの哀しみ』バリー・ユアグロー (2008/10)
★『ダブル/ダブル』 マイケル・リチャードソン編 (1994/09)
★『生半可な學者』 柴田元幸(エッセイ)(1996/03)

◎白水社(単行本)

★『僕はマゼランと旅した』スチュアート・ダイベック (2006/02)
★『それ自身のインクで書かれた街』スチュアート・ダイベック (2008/10)
★『ナイフ投げ師』スティーヴン・ミルハウザー (2008/01)
★『ジーザス・サン』 デニス・ジョンソン(2009/03)<エクス・リブリス> ≪既読≫

主にこの2社の分を読み進めて行こうと思ってます。
新潮文庫とuブックスはコレクションですね(笑)
オススメがあれば教えてください。

posted by: トラキチ | 訳者 | 07:43 | comments(2) | trackbacks(1) |-
『ナインストーリーズ』における新訳の必要性。


サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』が本年3月に柴田元幸さんの手で約35年ぶりに訳された。
翻訳物に疎い私であるが、柴田さんが日本を代表する翻訳家であることぐらいは知っているつもりである。
そして旧訳の野崎孝さん。どちらも東大卒ですね(汗)

好き嫌いは別として、お二人とも翻訳家としての能力が突出していることは誰も否定しないであろう。

そこで『ナイン・ストーリーズ』。柴田訳を読み終えて、昨日新潮文庫版の野崎訳を買って来た。
柴田訳を買った時に講談社英語文庫で原書を買ったので1時間ぐらいかけて読んで比べてみた。
いい機会なので最初の1節を比較したいと思う。


原文
"A Perfect Day for Bananafish"

There were ninety-seven New York advertising men in the hotel, and, the way they were monopolizing the long-distance lines,the girl in 507 had to wait from noon till almost two-thirty to get her call through. She used the time though. She read an article in a women's pocket-size magazine,called "Sex Is Fun--or Hell." She washed her comb and brush. She took the spot out of the skirt of her beige suit. She moved the button on her Saks blouse. She tweezed out two freshly surfaced hairs in her mole. When the operator finally rang her room,she was sitting on the window seat and had almost finished putting lacquer on the nails of her left hand.
(講談社英語文庫版より引用)


野崎孝訳(1974年)
“バナナフィッシュにうってつけの日”
ホテルにはニューヨークの広告マンが九十七人も泊まり込んでいて、長距離電話は彼らが独占したような格好、五〇七号室のご婦人は、昼ごろに申し込んだ電話が繋がるのに二時半までも待たされた。でも彼女はその間を無為に過したわけじゃない。ポケット判の婦人雑誌の「セックスは楽しーーもしくは苦し」と題する記事を読んだ。櫛とブラシを洗った。ベージュのスーツのスカートの汚点(しみ)をとった。それからサックスで買ったブラウスのボタンの位置もつけ変えたし、黒子のとこにまたまた生えてきた二本の毛を毛抜きを使って抜きもした。そして、窓辺に作りつけたソファに坐り、左手の爪のマニキュアももう少しで終るというとこへようやく交換手からの呼び出し電話がかかってきたのである。
(新潮文庫版より引用)

柴田元幸訳(2009年)
“バナナフィッシュ日和”
ホテルにはニューヨークの広告マンが九十七人泊まっていて、長距離電話を独占しているものだから、五〇七号室の女の子は電話がつながるまで正午から二時間半近く待たねばならなかった。でもそのあいだの時間はしっかり活用した。ポケットサイズの女性誌で「セックスは楽しいーーそれとも地獄?」と題した記事を読んだし、櫛とブラシも洗った。ベージュのスーツのスカートについた染みも抜いた。サックスで買ったブラウスのボタンの位置を変え、ほくろに新たに出現した毛二本も抜いた。オペレーターがやっと電話してきたとき、女の子は窓際の作りつけの椅子に座って、左手の爪にマニキュアをほぼ塗り終えたところだった。
(ヴィレッジブックス版より引用)

柴田さんの訳文は滑らかですよね。
“誰もが読みやすいように施された文章”という形容をつけたいほど読む者の立場に立った翻訳だと言えそうです。
ただ、野崎さんの方が原文に忠実だとは思いますが。決して2人の訳者の優劣をつけているわけではありません。
原文がレシピだとすれば、野崎さん訳はレシピに寸分も狂わずに作られた料理、柴田さんはレシピを自分なりに修正し手直しした料理と言ったところでしょうか。

それにしても日本語も変化してますよね。
☆ポケット判の婦人雑誌→ポケットサイズの女性誌
☆ご婦人→女の子
☆交換手→オペレーター

たとえば35年前に柴田訳が出てたらその当時の世相よりもずっと進んだ柴田訳に対して“未来の言葉”のように受け入れられていたように思えるのである。

逆に、現代の若者が今、野崎訳を読みはったら野崎訳はかなり違和感を感じるのではないだろうか。
私以上に柴田訳の方が読みやすいと感じるでしょうね。

柴田氏の本の帯に“2009年のサリンジャー”と書いてある。
この言葉が新訳の必要性を象徴した言葉だと思うのである。

こうして新訳と旧訳を比べれるのも古典翻訳物を読む大きな楽しみである。
そう、新旧最高の翻訳家の競演を・・・
posted by: トラキチ | 訳者 | 05:42 | comments(2) | trackbacks(0) |-
岩本正恵訳本リスト。
岩本正恵さん、今もっとも自分のフィーリングに合う訳者ですね。
1964年生。東京外国語大学英米語学科卒です。

新潮クレスト・ブックスの復刊本は今まで2冊しかなくて、2冊とも(『キス』『巡礼者たち』)岩本さんの訳本なんですね。
これはどれだけ凄いことかと言えば、逆に絶版された本が20冊以上あるのですわ。
だから新潮クレスト・ブックスの功労者と言っても過言ではないでしょう。

これは作品としての質も高いことは当然だが、翻訳が素晴らしいということも当てはまると思うのである。
上記2冊以外にクレスト・ブックスでは『シェル・コレクター』『世界の果てのビートルズ』、そして満を持して4/30日に『最終目的地』ピーター・キャメロン著が出る。
これで5冊ですね。
特に女性読者の方はご一読してほしいのですね。
静謐でそして簡潔な文章。そして一言で言えば“品格のある翻訳”これは岩本ワールドですわ。
あと白水社の“新潮クレスト・ブックス”シリーズとも言える“白水社エクス・リブリス”シリーズにも年内に登場するみたいです。
『青い野原を行く』 クレア・キーガン著
かなりの売れっ子ですね。
http://www.hakusuisha.co.jp/exlibris/cat37/index.html
古川日出男さんや桜庭一樹さんのコメントも読めます。

岩本さんの現在入手できる作品をリストアップしますね。

新潮クレスト・ブックス
『最終目的地』 ピーター・キャメロン著 (2009/04予定)
『世界の果てのビートルズ』ミカエル・ニエミ著 (2006/01)
『シェル・コレクター』アンソニー・ドーア著 (2003/06)
『巡礼者たち』エリザベス・ギルバート著 (1999/02)
『キス』キャスリン・ハリソン著 (1998/05)

他社の作品
『四月馬鹿』ヨシップ・ノヴァコヴィッチ著 白水社 (2008/03)
『石の葬式』パノス・カルネジス 白水社 (2006/08)
『ああいえばこういう。』ミル・ミリントン著 河出書房新社 (2005/02)
『ノーホエア・マン』アレクサンダル・ヘモン著 白水社 (2004/04)
『信頼』アルフォンソ・リンギス著 青土社 (2006/12)

その他
『翻訳文学ブックカフェ2』 新元良一著 本の雑誌社 (2007/10)

主なところはこんなものですね。
時間があれば原書と照らし合わせて読みたいです。ワクワク。
posted by: トラキチ | 訳者 | 17:33 | comments(0) | trackbacks(1) |-
小川高義訳本リスト。
競馬の世界では“馬の力7割、旗手の力3割”と昔からよく言われているのであるが、まあその割合は別として結構旗手で買われている人もいるのは事実ですね。
武豊なんかは力のない馬に乗っても(あんまりそれはないのですが)結構人気します。
旗手で買われてる人が多い証拠ともなってるようですね。

翻訳本も何割かという数字を断定はしたくないけど、かなり訳者の力が大きいと思ったりするんですね。
ラヒリの訳者で有名な小川高義さん、実は作品としての評価は『停電の夜に』、『その名にちなんで』よりシュリンクの『郎読者』の方がやや私の好みにあっているのは否めないのですが、文章の読みやすさは小川さんの方が松永美穂さんより自分に合っているような気がするんですね。
それはやっぱり相性というべきものがあるのでしょうが、先日ジュンク堂の大阪本店に行った時に柴田元幸さんの特集コーナーというのが設けられてて、結構お客さんを集客してたのですね。
柴田さんの訳文はまだ読んだことないのですが、やはり興味は自然と持ちましたね。
“柴田が訳すと必ず売れる”というようなキャッチが書かれてました。

私が時代小説結構好きなのは大体次の二点が大きな要因なんですね。
★時代背景的にグッとくる話が多い。
★作品自体風化しにくく、何度も繰り返し読める。
現代もの(国内作品です)は風化しやすくどうしても新しい作品を読みたくなりますよね。

翻訳物の最近の特徴と言えば上記とは逆ですね。
そうです、風化していたものでも訳者の力によって蘇らせることができる。
先日『ダブリナーズ』を買った時に前訳の『ダブリン市民』も近くにあってちょっと読み比べてみたのですね。
やはり新訳は読みやすいですわ。
これは本当に市場的にも凄く美味しい世界だと思うのでこれからもどんどん新訳で楽しませてもらいたいものだと思っている。

続きを読む >>
posted by: トラキチ | 訳者 | 19:47 | comments(0) | trackbacks(0) |-