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『星がひとつほしいとの祈り』 原田マハ (実業之日本社文庫)
どうしても長編作家というイメージが付きまとう作者であるけれど、短編もなかなか読ませることを体感できる作品集。
旅好きの作者を反映したように全国津々浦々の地方が描かれます。
主役はすべて女性であって年齢層も20〜50代、読者を意識した作りとなっていると言って良いのでしょうか。
様々な困難や苦労に出会ってそれに向かって行く姿が描かれていて読者の背中を押してくれます。

特に印象的なのは30代のの売れっ子コピーライターが、四国のホテルで呼んだマッサージの老女から戦時中の悲しい話を聞かされる表題作と一年前に夫を癌で亡くした50代の女性が、かつて夫と一緒に旅した長良川を娘とその婚約者と共に訪れる「長良川」あたりでしょうか。
いずれにしても、人生の各年代において抱えているものを描いていて切ないながらも清々しくあるのは作者の良いところだと感じます。たまに短編集を読むのもいいものです。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 20:24 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『サロメ』 原田マハ (文藝春秋)
評価:
原田 マハ
文藝春秋
¥ 1,512
(2017-01-16)

初出オール讀物。作者得意のアート系ミステリーであるが従来の作品群よりも読者との距離感が近いように感じる。というのはアート作品に対するリスペクトよりも、小説の内容が表紙ともなっているサロメの挿絵にどのように肉薄しているかということに主眼を置いて読んだら楽しめるのかもしれない。やはり知名度では一番高いオスカー・ワイルドの変わっているのだけれどやはり時代の寵児であったということを見事にあぶり出しているところが読み応えのあるところであろう。

物語はサロメの挿絵を描いたが病弱の為に25歳で早死にするオーブリー・ビアスリーとワイルドとの関係を姉のメイベルが語るという方法であるが、途中でワイルドの恋人(男ですが)アルフレッド・ダグラスが登場してからよりドロドロ度というか愛憎ぶりがヒートアップしてきます。
読めばわかるのですが、当初事情があってフランスで発売された『サロメ』、その英語版の翻訳をワイルドから頼まれるところが本作の奥深い部分へのスタート地点であります。

あとはやはりメイベルの嫉妬深さと野望ですよね。果たして弟に対してどれほどの愛情があったのか、単に利用しただけともとれないこともないところが女性の怖さともとれないことはありません。
当時のロンドンとパリとの違いも読者にとっては興味深く、ワイルドの苦しかった晩年を見ると決して充実した人生でもなかったようにも感じられました。作者の史実に基づいた作品を読むと、どこまで本当なのかという気持ちが常にあるのですが、本作に関しては本当であって欲しくないという部分もあり、そう思う気持ちが本作の魅力であり表紙に直結しているのかと感じます。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 20:57 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『暗幕のゲルニカ』 原田マハ (新潮社)
評価:
原田 マハ
新潮社
¥ 1,728
(2016-03-28)

初出 小説新潮。直木賞候補作品。『楽園のカンヴァス』で作家としてのステータスを不動のものにしたと言って過言ではない作者の続編とでも言うべきアートサスペンス巨編。前作同様、表紙に圧倒されて物語の中に没頭させられた読者が大半ではないかと容易に想像できます。
今回はタイトル通り有名なピカソの“ゲルニカ”について物語が語られます。実際にゲルニカが描かれた第二次大戦前後のパリと、9.11テロ事件が起こった頃のニューヨークとスペインが交互に描かれます。
個人的にはピカソがスペイン出身というのは知っていたけれど、ゲルニカがどのような経緯で書かれたとか、その後どこで保管されていたかなどは全然知らなかったけれど、作者に紐を解いていただいた格好となったのであるが、正直凄く勉強となった。

パリ編でのピカソが身近で読者にとっても馴染み安いのであるが、語り手であり彼を献身的に愛するドラ・マールが刹那的で素晴らしく感じる。ピカソにとっても辛かったパリ生活であろうが、彼女の支えなしではゲルニカの創作は出来なかったであろう。それは彼女がバルドという誠実な男とともにゲルニカを守り切ったから、深読みすれば世界に平和をもたらせたのであると感じる。

そして主人公格であるヨーコ、不幸にも最愛の夫を亡くしたけれど、悲しみに浸る間もなく彼女は自分の人生を賭けて"ピカソの戦争展"を開こうと奔走します。それが亡き夫への一番のはなむけとなるからです。でもさすがに一筋縄では行きません。しかしながら、ピカソがゲルニカを描いた時期の苦悩を誰よりもよく知っている作者の分身ともいうべきヨーコが、逆境をものともせずに道を切り開いて行きます。その姿はまるで近年なくならないテロに対してもひるんではいけないと読者に知らしめてくれ、読者にとっては勇気を与えてくれる極上一冊と言えそうである。
評価9点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 20:58 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『ロマンシエ』 原田マハ (小学館)
評価:
原田 マハ
小学館
¥ 1,620
(2015-11-25)

初出「きらら」。パリを舞台としたBLタッチのロマンティックコメディー作品であるが、作者得意のアート系の世界に読者を導いていて(リトグラフという版画系の世界が描かれている)そこにロマンが感じられるところがポイントとなっているような気がします。
前半は乙女系男子で主人公の美智之輔に対して違和感を感じずにはいれず、原田作品最初の読み終えない作品になるかなという気もしたのだけれど、脇を固める登場人物のキャラクター造形の確かさと、後半からの怒涛のジェットコースター的展開で結構楽しい読書となりました。

本作はパリ(というかフランス)に対する地理感があればもっと身近に感じられると思われますが、いつの間にか主人公だけでなく、読者までもが高瀬くんに惚れてしまいそうな気にさせられるのはやはり作者の術中に嵌ったことの証のように思える。作者の他のアート系作品のように感動的な作品ではないけれど、主人公の成長物語として読めば“為せば成る”的な教訓を感じとることのできる肩肘張らずに読めるエンタメ作品であり、マハ節だけでなくマハ文章(いつもよりもさらにスラスラ読めるという意味合いです)を楽しめること請け合いです。通常は作者に感謝ですという言葉を使うのですが、本作には作者に拍手ですという言葉を使いたいです。そしていつかドーヴィルにも行ってみたいですね、それと古い映画ですが「男と女」もみたい気がします。余談ですが(笑)

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 10:43 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『永遠をさがしに』 原田マハ(河出文庫)
作者の最もお得意とするところの再生の物語ですが題材は美術ではなく今回は音楽の話。世界的指揮者の父親と一流交響楽団で首席チェロリストを務めていた母親の間に生まれた主人公の和音ですが、プレッシャーに押しつぶされて音楽を辞めてしまいます。そして両親の離婚により慎ましい人生を送っていのたですが新しい母親がやってきます。

その人は真弓という名で、最初は母親らしくないところが目立っていたのですが、そのうちに彼女の本当にこの人ほど不幸を背負った人はいないんじゃないかということが露わとなり親睦が深まります。そして母親と真弓との関係などが明らかにされますがこのあたりはマハ節全開であり、作者の独壇場と言ったところでしょうか。

少し出来過ぎ感もあると思いますが、この心地よさは原田作品ならではのものとも言えます。個人的には真弓の個性派キャラはもちろんのこと、和音のクラスメイトの文斗や朱里の暖かい存在が彼女の背中を押したことは間違いなく、爽やかな読後感を満喫することが出来ます。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 22:03 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『モダン』 原田マハ (文藝春秋)
評価:
原田 マハ
文藝春秋
¥ 1,404
(2015-04-13)

初出オール讀物他。ニューヨーク近代美術館通称MoMAを舞台とした5編からなる短編集。
多くの作者のファンの方がご存知のように、作者がかつて勤務していたMoMAの魅力が満載であり、作者の代表作と言える『楽園のカンヴァス』にてお馴染みのティム・ブラウンも顔を出すファンにとっては原田マハを十分に堪能できる所は嬉しい。

『楽園の〜』にてルソーの“夢”をネットで検索して観ながら読書を楽しむという、他の作家の作品ではありえない視覚をも伴ったスタイルの読書体験を本作でもワイエスやピカソの作品にて味わえるのであるが、これは作者の美術(MoMA)に対しての愛情の深さが作品に沁み渡り、読者にとっても安心して作品の世界に没頭できる点が素晴らしい。
作品を通して3.11や9.11あるいはスペインのゲルニカのことなど、避けられなかった悲しい出来事に対しての作者の今後2度と起こって欲しくないという強い祈りみたいなものが美しい文章の根底に込められていると感じました。
一編一編は短いために奥行きが足りないようにも見えますが決してそうではなく、MoMAの歴史を語りつつもMoMAを訪れ感銘を受けた人々に対する感謝の意が強く込められていると感じます。

各編の登場人物すべてがキュレーターだけでなく、警備員なども織り交ぜているところ、言い換えれば作品だけでなく様々な人の結集にて美術館は成り立っているということでしょう。

少し余談であるが、本作を読まれてMoMAに行ってみたく思われた方も多いのではなかろうかと思う。数年前から金曜日の16時からが入館料無料となっているらしい。これはTシャツでMoMAとのコラボのラインアップを多数取り揃えているユニクロがスポンサーとなっているからとのことです。
とはいえなかなかニューヨークまでは簡単には行けませんが。現実的な目標として『楽園のカンヴァス』の再読の方かユニクロのTシャツを着るかの方がありえそうですね(苦笑)

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 14:03 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『奇跡の人』 原田マハ (双葉社)
初出地方「小説推理」。最新刊で新境地開拓作品と謳われた『異邦人』には少し留保をつけたのであるが、改めて本作を読んで過去の偉人をベースとした作品は読ませるなと思った次第である。

作者の初期の傑作作品である『翼をください』は爽やかさを織り交ぜた感動物語と仕上がっているが、本作は和製ヘレンケラー物語とも言える内容でやはり重苦しさは否定できないものの、コツコツと努力を惜しまずに続けることの大切さを改めて読者に教えてくれるのである。

そして作者の巧さが際立っていると感じたのは、本作の構成の妙である。冒頭(昭和29年)にて三味線名人であるキワを役人たちが訪れるところが描かれていて、そこから過去(明治20年)に遡り、安先生とれんとの苦難の日々が語られる。読者の大半がどこでれんとキワが邂逅するのであろうかと胸を膨らませて読むことを余儀なくされるのである。
その高揚感が読書の醍醐味だと強く感じた。ラストの感動度は半端なく、お互いがお互いを励みにして努力を惜しまずに生きてきた証であり友情以上のものを感じた。『翼をください』や『楽園のカンヴァス』に遜色のないエンディングだと思う。

やはり安先生の気高さと不屈の精神力が印象的であった。弱視にもめげずにれんへの指導に全身全霊を捧げた彼女の人生は、本当に幸せなものだったのであろう。
安とれん、れんとキワ、二つの出会いがなければこの物語のような大成を果たした人生は有りえなかったはずであり、人生における出会いの大切さについて再考させられた作品であります。たとえ平凡な人生であっても素敵な出会いは人生に彩を与えますよね。

評価9点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 19:47 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『異邦人(いりびと)』 原田マハ (PHP研究所)
評価:
原田 マハ
PHP研究所
¥ 1,836
(2015-02-25)

初出「文蔵」加筆修正あり。帯の“新境地の衝撃作”という言葉が印象的である。というのはアートを題材とした作品は代表作とされている『楽園のカンヴァス』を筆頭に作者の最も得意とするところであることは、読者の大半は理解しているつもりであると思われる。いつもの作者の作品と毛色が違うところは、そうですね、通常の原田作品のお決まりの感動的かつ爽快感をもたらせてくれるタイプの作品ではないというところでしょう。どちらかと言えばドロドロした作品で、主人公である菜穂を筆頭に誰にも共感できず、逆に人間誰しもが持ち合わせている弱い部分をじっくりと観察させていただいた読書となった。

本作の特色として京都における見事な四季の移ろいを下地として描かれている点があげられると思われるのであるが、このあたり版元の本社が京都にあるということで作者も要望に応えたということであろうか、各章のタイトル名も凄く気品が感じられるのである。

終盤は読者の予想を上回る展開が待っていて、嘉穂や樹の出自を含めミステリーとして読めばかなり楽しめる内容ともなっているが、扱っている絵画が白根樹という新人画家がメインであって、他の作品のようにネットで実在の絵を確認しながら小説世界をより楽しめるということが出来なかった点がいささか残念な気がする。
凄くドラマティックな作品ではあるが、作品内にロマンは感じられなかったが、読み終えた後に表紙の絵を見ると話が解明できるのである。

主人公が京都に移住した理由(原発事故の放射能問題)が庶民感覚で言わせてもらえば到底思いつかず、やはり住む世界が違うんだなと距離感を感じたことと相まっているように思える。
本作は読み取り方によれば血の繋がりの大切さをも描いているように思えるが、男性読者目線で言えば一輝のだらしなさが同じように印象に残った読書でもあったことを自分への戒めにしたいと思っている。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 23:18 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『あなたは、誰かの大切な人』 原田マハ (講談社)
初出「小説現代」。40〜50代の女性を主人公に据えた人生のターニングポイントを語る6編からなる短編集。作者に関してはやはり胸がすく長編作家というイメージが付きまとい、私も決してそれを否定はしないのだけど、本短編集を読んで洗練された素敵な物語が心に沁みた読者が大半であると感じるのである。
タイトル名の通り、各編の主人公、人生の半ばを過ぎ夢はあるけど残りの人生もそう多くはないということは共通している。

もっとも共通しているのは配偶者に恵まれず、決して世間一般でいう女性としての幸せを掴み取っていない点である。
作者は風変わりと言えば聞こえが悪いが個性的で、ある種孤独に強い女性にスポットを当てて、彼女の本音を描写するのが凄く長けていると感じていたが本作では一貫して描かれている。
彼女たちにはもちろん大切な人がいて親であったり、外人であったり、友人であったり、外国の母親のような人であったりするのだが、ハッとさせられることは生きて行く上で意志が強い分、大切な人に対する思い入れも強いことである。

そのあたり各編巧みに描かれているのであるが、個人的には頻繁に海外旅行をしない一読者としては夢を与えてくれるというか夢を見せてくれる編が特に気に入った。
それは登場人物がリンクしている「月夜のアボガド」とラストの「皿の上の孤独」である。とりわけ「皿の〜」は同志的な関係の男女の姿が描かれていて視力が弱くなった男の代わりにメキシコシティを訪れる主人公、まるで友情と愛情を足して2で割ったふたりの究極の関係に深い感銘を受けた。

その他親子愛を語った「無用の人」や友人との深い絆を描いた「波打ち際のふたり」などどれもがインパクトが強く、読者の大切な人に贈って欲しいという作者の願いが込められた珠玉の短編集であると捉えている。

評価9点。

posted by: トラキチ | 原田マハ | 00:01 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『風のマジム』 原田マハ (講談社文庫)
作者の“沖縄物”は意外にも初挑戦だったけど、原田作品の特徴のひとつでもある読後の爽快感が堪能できる一冊であった。
実話を下にしたサクセスストーリーとあって、読者サイドも人生そんなにうまい事いかないとわかっていながらも夢を持つことの素晴らしさを味わせてくれる作品である。
分かっていても作者の作品を手に取る衝動に駆られるのは、おばあさんを筆頭とした登場人物のキャラの安定感はもちろんではあるが、作中に出てくる沖縄のラム酒のように、他の作家とは一線を画したリーダビリティの高さを併せ持った作者のすでにブランドとして完成された世界(“マハ節”という言葉がやはり適当か)が存在することを認めざるをえないのである。

男性読者視点で書かせていただいたら、主人公のまじむと作者をオーバーラップさせて読んでしまった。正しい読み方かどうかは自信はないのであるが、紆余曲折がありながらも一歩一歩階段を駆け上ってゆくさまが似ているようにも感じる。
あとがきにも書いてあるように、モデルとなった金城さんとの約束を果たして本作は実現した。金城さんからの厚い信頼が作者の成功のバックボーンとなっているかのように感じる。これからももっともっと良質の作品を書いてほしいなと切に思う。

余談であるが、文庫本の帯に読書メーターの感想が掲載されているのには驚いた。作家そして読者の皆さんの励みとなるような感想をこれからも綴って行きたいなと思う。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 15:18 | comments(0) | trackbacks(0) |-