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『風雪の檻 獄医立花登手控え ◆戞‘B周平 (文春文庫)
全五話からなります。本シリーズの特徴は各編毎に勃発する牢に入っている人を取り巻く事件を登が解決し人間模様が浮き彫りにされる点と登の成長及びおちえとの恋愛の進行状況を見守る点と読者にとってなんとも贅沢なシリーズとなっている。二巻目に入り、おちえと登との関係が少し密接になります。一巻目でおきゃんぶりを見せていたおちえがしおらしくなり、登とよんでいたのが登兄に代わりラストでは急展開が待っていてますます三巻目以降が気になります。
ただ二巻目では冒頭から親友である新谷弥助の急変が勃発します。具体的には道場に来ないようになり用心棒まがいのことをやっているということが判明します。

各話、それぞれに登が大活躍するのは同じですが、彼の心の底にはいつも弥助に対する心配の気持ちがあって、読み進めていくうちにそれが読者にも伝わってきます。
個人的には彼を巡る友情話がメインであると思え、彼に対する緊張した気持ちがラストでのおちえとのご褒美的なシーンに繋がっていると捉えればロマンティックさが増すようにも思います。
ラストの余韻がたまらない一冊となりました。次巻ではもっと叔父の家での肩身の狭さが改善されますように。

評価9点。
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 22:09 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『春秋の檻 獄医立花登手控え  戞‘B周平 (講談社文庫)
藤沢先生が亡くなられて今年で20年となるが、読み返してみると文章そのものは全然風化されていないことに気づく。

やはりこの人はずっと読み継がれていく作家なのだなと感慨もひとしおの読書となった。これからもずっと時代小説を書かれている作家達の目標となっていくのでしょう。

さて本作ですが、青春恋愛小説としても読ませますしミステリーとしても読ませます。舞台は江戸小伝馬町の監獄。
医者を志し、叔父を頼って羽後亀田藩より上京してきた立花登が主人公。
登は物語が始まった時には22歳、居候の身で肩身の狭い登は半ば強制的に叔父より獄医をさせられている。


藤沢作品の中ではミステリー度合いが高いような気がする。
なにせ舞台が獄中。なにせ相手は犯罪者。
でも藤沢さんの眼差しは暖かいですね。
内容的には人情と恋愛を交えた青春小説といったところでしょうか。

ポイントとなるのは主人公の登が剣術じゃなくて柔術(起倒流)の使い手であるということ。
これは前者だとやはり相手を斬ったりすることが起こるので敢えて柔術にしているのであろう。
主人公の人柄と凄く合っています。
でもこの登って好奇心旺盛なのですね。あとは全四冊の中でおちえとの仲がどう変化してゆくか、再読で読んでみても胸の高まりを抑えるのに必死です(笑)

ご存知の方も多いでしょうが、昨年NHKでリメイクドラマが放送されましたが、もうすぐその第二弾が始まります。
オリジナル版の放送が1982年ということで35年の日々が流れたけれど、主演の中井貴一の初々しい演技が今でも印象的である。
当時おちえ役だった宮崎美子がリメイク版で叔母役を演じているのは時の流れを感じるけれど、藤沢ファンの読者にとってはずっと藤沢作品に浸れる幸せをあらためて感じとられた方も多いのではないかと思われます。

評価9点
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 09:09 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『海鳴り』(上・下) 藤沢周平 (文春文庫)
再読。単行本の刊行が1984年ということですでに30年余りの年月が経ているが、今回改めて手に取って、大体の粗筋はわかっているものの、作者の達者と言えば失礼かもしれないが、端正この上ない文章の心地よさに酔うことが出来た。やはりこれは読書の醍醐味に浸ることが出来たということであろう。藤沢作品は海坂藩の存在もあって武家物の方が市井物よりも著名な物が多いけれど、本作のように少し隠れたところで佳品とも名品とも言うべき作品が隠れている。それはやはり登場人物の地味が故に読者が心揺さぶられる物語が展開されているということが要因ではなかろうか。上巻では主人公である紙問屋の主人小野屋新兵衛が46歳になり老いを意識し始めるところから物語がスタートする。あくせく働いてきて今の地位を築いた彼であるが、妻とは不仲であり頼みの息子が放蕩者で悩みが尽きない彼は、あるきっかけで他の紙問屋のおかみであるおこうという魅力的な女性と知り合う。商いの方でも策略にはめられ孤立してゆく新兵衛は、いけないこととはわかっていながらおこうに逢いたいという気持ちが募るばかりとなります(下巻へ)

本作の魅力はやはり現代にも通じる部分が読者に伝わるところだと感じる。家庭、夫婦、親子、仕事、そして男と女(人生と言った方がベターかな)について深く考えさせられます。男性読者目線で言えば、新兵衛の心情がとってもよくわかり共感できます。そしてほとんど間接的にしかわかりませんが、おこうという女性、やはり魅力的です。「蝉しぐれ」のふく、「三屋〜」の里江と並び称したい。

下巻に入り、新兵衛のおこうに対する気持ちはとどまることは知りません。私たちの住む現代社会においての不倫と江戸時代におけるそれとには、許されないという意味合いにおいては同じかもしれないけれど、江戸時代においては表ざたになれば死罪にもなるというほど命がけなことがらであった。上巻で口止め料を払った彦助が再び脅しを始めたり、あるいは長男が命を落とそうと試みたり、商いにも窮地に落ちていくのですがやはり読ませどころは新兵衛とおこうが密会を重ねるたびに交されるさりげない会話が、これで終わりかもしれないという緊迫感を含んでいてとっても印象的であるところです。ラストは賛否両論があってしかりですが、藤沢氏が描くとどうしても2人を応援したくなってきます。無事に水戸に着いたのでしょうか。犠牲が大きく前途多難だとは言え、2人の選んだ道に拍手を送りたいと思います。
タイトル名となっている海鳴りは主人公の心の不安を表現した言葉だと思いますが、読み終えて上巻の2人の出会いのシーンのページをめくると、やはり2人の出会いは運命であったということを強く感じた。人生に後悔なしということであろう。

評価9点。
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 22:51 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『霧の果て 神谷玄次郎捕物控』 藤沢周平 (文春文庫)
NHKでドラマ化記念して再読。主人公の玄次郎は北の定町廻り同心を務めるが藤沢作品では異色のキャラだと言えよう。ひと言でいえば自堕落な彼は、他作品で登場する人物の作者に通じる誠実な要素が微塵もないからである。異色だけど魅力的だと感じる人は少ないような気がするので
正直言って他の藤沢作品ほど心に響くものは到底ないのだけど、捕物と母や妹そして父親の死の謎解き要素とを割り切って読むエンターテイメント作品としてばそれなりには楽しめる作品となっている。

全8編からなります本作はひとつひとつのエピソードは面白く、また藤沢氏特有の読むやすくて端正な文章は健在であるが、調べてみると雑誌掲載が75年6月号より80年5月号までと断続掲載されていて、やはり一気に書き切っている他の著名作品と比べて内容・構成ともにやや散漫な印象は拭えないような気がします。
やはりもう少し人情を絡ませるのと、お津世との恋愛模様をクローズアップさせるべきだったと思われるのですが、藤沢氏も人の子だったので安心した面もあります(笑)

ドラマ版はまだ途中だが視聴者のツボを押さえたかなり内容自体が脚色されていて工夫されていると感じられる。
個人的には本作よりも名前の似た『風の果て』のほうをお勧めしたいし同じハードボイルド系ならば「彫師伊之助捕物覚えシリーズ」の方をお勧めしたい。
いずれにしてもドラマ化を機に藤沢作品が一人でも多くの方に読まれることを切望しています。

評価7点。
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 13:47 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『消えた女 彫師伊之助捕物覚え』 藤沢周平 (新潮文庫)
再読。藤沢周平が海外のハードボイルドミステリーのファンであるということはある程度氏の作品を読まれてる方なら知っていることですが、一般的には時代小説の大家として知られている彼の作風からして意外なイメージがつきまとうのであろう。
もっとも藤沢氏の得意としているしっとりと胸に沁みる人情をからめた時代小説にはハードボイルド調な作品は必要ないのかもしれません。
なぜなら本作の作風は藤沢氏の本質とは少しかけ離れた部分と言えなくもないのである。しかしながら彫師伊之助シリーズを読めば、彼がいかに海外ミステリーの影響を受けていたかが否がおうにも理解でき、そして彼の才能の深さを改めて知ることができるのである。
そう言った意味合いにおいては、たとえば池波正太郎や司馬遼太郎よりも幅広い作風の持ち主ということも再認識出来る読書となったのです。

端正な文章とテンポの良い展開、本作はシリーズ第一作にあたり捲るページを止めることができません。まず主人公である伊之助の立ち位置が藤沢氏らしい。決してキャラが立っているわけではないのであるが、主人公なりに凄くこだわりがありそれが読者に伝わるのである。
それは岡っ引きであったという過去をもっているが、妻を亡くしたいきさつからして心に傷を持っていて決して彼自身岡っ引きとしての復帰は考えていず、十手を持たずに昔のよしみで副業というか趣味で頼まれた失踪した女を探す捜査に乗り出すのである。
本業にシワ寄せが来て、読んでいてヤキモキさせられますがこれも読ませどころなのでしょう。なにわともあれ、女性の描き方が秀逸です。消えたおよう、幼馴染のおまき、そしてもっとも不幸で哀れなおうの。
深く読めば高麗屋を取り巻く話なんかはやるせないのだけど、おまきと伊之助との意地らしくも仲睦ましい姿や、素手で渡り合う伊之助のアクションシーンなど贅沢な読書を堪能できる上級エンターテイメント作品です。藤沢作品の凄いところは一度目より再読の方が面白いということに尽きます。再読すればいろんな発見があって主人公に対してもより理解が深めることができます。それだけ噛みしめて読めたということでしょうか、自分を褒めてやりたいです(笑)

評価9点。
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 21:39 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『たそがれ清兵衛』 藤沢周平 (新潮文庫)
再読、単行本発売1988年で発表誌掲載が1983〜1988年と藤沢周平の絶頂期に書かれた癖のある下級武士を描いた8編からなる短編集。
各編ともタイトル名に主人公の名前の前に彼らの容貌や性格を如実に表したものがついていて印象的である。隠し剣シリーズほど剣客シーンは本格的ではないですね。
映画化された表題作「たそがれ清兵衛」がもっとも有名でタイトル名も渋いのであるが、映画の内容には本作のラストを飾る「祝い人助力」の主人公が風貌も含めてより映画の世界観に近いような気がする。あとは別の短編集になるが『竹光始末』の表題作をもヒントとして映画は作られているらしい。
時代小説のジャンルで言えばどちらかと言えば武家物よりも市井物の短編の方が好きなのですが、藤沢作品に限って言えばそのルールは当てはまらない。それは藤沢周平と言う作家が武士であれ、町人であれ、生きて行くことの悲哀を読者に存分に示してくれるからである。

藤沢作品の特徴はやはりその完成された美しく端正な文章にどっぷり安心して嵌れるところであろう。そして何回も読み返すことによってその素晴らしさ、敢えて言えば他の作家では味わえない領域に達していると言える満足感に浸れるところであろうか。
本作品集も決して作中に“海坂藩”と明記されてなかったと思うのだが、一読者として海坂藩ものとして読み進むことによってより藤沢周平の世界に入り込んで行けるのである。
各編、藩の派閥争いに巻き込まれた概して風采の上がらない主人公たちが、剣を抜くと凄い腕前を発揮すると言う悪く言えばパターン化された展開の話ばかりなのであるが、藤沢周平の文章においては“やるせなくて美しい”物語に仕上がっている。
個人的ベストはラストの「祝い人助八」、読み終えた後大半の読者が主人公だけでなく波津のこれからの幸せを祈らずにいられなくなったのである。このため息をひとりでも多くの読者に味わってほしいなと思う。

評価9点。
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 23:32 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『暗殺の年輪』 藤沢周平 (文春文庫)
単行本刊行1973年。
全5編中直木賞受賞作1編と直木賞候補作3編を含むなんとも贅沢なデビュー短編集。 内容的には葛飾北斎のことを書いた「溟い海」や海坂藩作品の第一作で直木賞受賞作「暗殺の年輪」など本当に質の高くてバラエティーに富んだ作品集であるが、私がもっとも印象に残ったのは唯一直木賞の候補に上がらなかった「ただ一撃」、この作品は展開もさることながら作中に出てくる“三緒”という嫁が本当に健気で物悲しいのです。 とにかく各編、重苦しくて哀しいけど素敵な女性が描かれています。

各編の女性たちを読み比べるだけでも価値のある作品集だと言えます。ズバリテーマは“女心”。ただし初めて藤沢作品を手に取られる方や時代小説初心者には他の作品の方が良いような気がします。 物悲しいと言えば全五編に統一されたモチーフというかデビュー時の藤沢さんの特徴だと言えそうです。 藤沢氏の作品は端正な文章で読みやすくわかりやすいというのが通説ですが、この作品集に限って言えば少し難解な部分も含まれていて他作よりも何回も読むことによってより味わい深いものとなるでしょう。最初から凄く高い位置を極めていたんですね。

(読了日12月29日)

評価8点。
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 13:29 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『麦屋町昼下がり』 藤沢周平 (文春文庫)
初出 オール読物(1987〜1989)連載後文芸春秋より1989年刊行。

海坂藩が舞台の武家ものの4編からなる円熟期の中編作品集。
通常の藤沢作品の短編の倍ぐらいの長さがあるので、それぞれの登場人物の人生が意外と克明に描かれています。
確かな伏線が敷かれていて、かつそれぞれ決闘シーンがありハラハラし緊迫感があります。
その決闘シーンも、読者は“避けられなかったんだな”と納得して読めます。
全編通して静謐な文章の中に潜む、葛藤しつつも力強く正義を貫く生きざまを堪能できます。

本作は武家ものなんだけど、私たちの日常に通じるテーマが描かれていてとても他人事とは思えません。
いつの時代も不正ってありますよね(笑)
いずれもがそんなに身分の高くない人物が主人公なので、読者も低い位置からまるで自分のことのように物語の中に入っていけます。

最もハラハラするのは表題作の「麦屋町昼下がり」ですね。自分より明らかに強い弓削新次郎との対決が迫る緊張感。相手との決闘がいつになるやらと思わずにいられません。
婚約相手がたまに見え隠れするところも意地らしく感じました。
意地らしいのはドラマ化もされたラストの「榎屋敷宵の春月」、女主人公・田鶴の強い生き様と彼女の主人の頼りなさのコントラストが印象的です。作者が天国より男性読者に叱咤激励してくれているみたいに感じられました。
インパクトの強い作品です。亡兄を理想とすることによってより激しく芽生えた友人三弥との競争意識。でも主人公は感服するほど力強く生きています。
あとは「三ノ丸広場下城どき」の重兵衛と茂登との恋の行方も物語のサイドストーリーですがほのぼのしてて楽しいです。
「山姥橋夜五ツ」の離縁した孫四郎と瑞江との行く末も気になりました。

藤沢作品の中ではミステリー仕立てでエンターテイメント性も高い方だと思うのですが、もちろんそれだけではありません。
結構友情が描かれていて、その中には純粋なものもあれば、妬みや競争心を煽られている話もあります。
そしてどの話も結果はどうであれ主人公たちの正義が貫かれているのですね。
決して勧善懲悪的な話ではありません。
かなり清々しく読めますので感動すると言うより作者の手だれぶりを十分に味わうべきですね。
理不尽なことに対してどう対処して生きたらよいのかという処方箋となりうるというか方向性を読者に示唆してくれていると言ったらよいのかな。

巧みなストーリーテリングに身をまかせながら楽しくて人生の勉強になる読書タイム、藤沢作品の真髄を味わえる贅沢な作品集です。

評価8点
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 21:25 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『春秋の檻 獄医立花登手控え  戞‘B周平 (講談社文庫)
<獄医立花登の成長物語。少年少女を描かせたら宮部みゆき、青年を描かせたら藤沢周平の右に出るものはいない。この清々しさは何なのだろう。ちえとの関係がどうなるだろうかと思いつつ、清々しい文章に身を委ねることができる瞬間を大切に読みました。あと3冊じっくりと楽しみたいですね。>

自身のブログに“藤沢周平からラヒリまで幅広く読んでます”という宣伝文句を掲げている。
後者のラヒリはさだかではないが、藤沢周平は10年後、20年後も何回も手に取っている姿が容易に想像できるのである。
この作品は1982年に中井貴一主演でNHKでドラマ化された。今CSで再放送していてほぼ原作に近い内容で作られていて小説だけでなく映像でも楽しませてもらっている。
映像は若かりし中井貴一や、ちえ役の溌剌とした宮崎美子を観るとあの頃書かれた作品なんだと驚かざるを得ない。
なぜなら、文章そのものは全然風化されていないからである。
やはりこの人はずっと読み継がれていく作家なのだなと感慨もひとしおである。
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posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 13:27 | comments(3) | trackbacks(0) |-