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『騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編』 村上春樹 (新潮社)
たとえ多くの批判的な感想があってもそれは人気作家であるがゆえのことであると私たち読者は知っている。しかしながら数多くのハルキスト(もしくはハルキストではなくても)村上作品を必ず読む読者にとっては、村上作品はこうであってほしいという理想というか観念というのがあって、いみじくも本作のイデアみたいで失笑を買いそうであるが、言い換えれば読者にとっては自分自身の文学IQを計る指標というべき作品であると考える。
文体はたとえ比喩的表現が多くとも読みやすいけれど、内容自体はお得意の海外文学への造詣や車や音楽への蘊蓄など、沢山のことを盛り込んでいてややもすればエピソードが多すぎて消化不良を起こしがちであるが、一読者としてはその中の良い部分を吸収すれば良いと考えます。あまり欲張ってはいけません(笑)

個人的には、読者に自分自身を見つめ直す機会を提供していると考えたい。すなわち人生そのものを肯定している作品であると考える。
とりわけ親子愛について考えさせられる部分が大きかったように思える。免色からまりえ、そして私から夢で作ったと描かれている女の子ですね。どちらも本当の子かどうかわからないけれどそう信じ切っているように描かれているところが清々しくもあります。
あとは陰の主人公とも言えそうな騎士団長の存在は大きいですね。彼が絵の世界から登場するにあたっての絵の描写も素晴らしいし、私やまりえを励ます会話も楽しめます
また、彼の最期なんか本作において最も感動的なシーンだった読者も多かったと思いますし、会話で多用される″あらない”という独特の言い回し、読んでいて英訳される時にどう表現されるのかなと思ったり。そう思えるだけで母国語で読める幸せも感じます。そして世界の数多くの人々と村上作品をそして平和を分かち合いたいと願っています。

評価8点
posted by: トラキチ | 村上春樹 | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編』 村上春樹 (新潮社)
良くも悪くも作者の新しい挑戦ということではなく、過去の産物というか私たちが知っている村上春樹創作活動の集大成的作品であると言える。
村上長編作品が発売される年は、ハルキストはもちろんのこと出版業界自体が活況を帯びいわば特別な年、まるでオリンピックイヤーのような雰囲気が漂っていると言っても言い過ぎではないのであろう、少なくとも『海辺のカフカ』以来は。

喪失感が漂った内容はお手の物で、主人公である画家になり切って読むことが楽しいのであるが、免色と私とはいずれ敵対するのか否か、秋川まりえの真相は、そして妻とのその後は、騎士団長との関係はどうなるのか、鈴の真相はどうなのか様々なミステリアスで興味深い事柄がどう展開されるのか、この辺りの読ませるところはさすがと言っていいのではないでしょうか。
個人的には亡き妹を想う私の姿が感動的かつ印象的で主人公に肩入れしてしまいます、どうか着地点が満足のいくものでありますようにと願って第二部に入ります。
posted by: トラキチ | 村上春樹 | 21:15 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『女のいない男たち』 村上春樹 (文藝春秋)
評価:
村上 春樹
文藝春秋
¥ 1,400
(2014-04-18)

『東京奇譚集』以来、9年ぶりの6篇からなる短編集。作品集全体のコンセプトが表題名の通りで最も村上氏が得意とする部分と言っても過言ではないと思われる。
どちらかといえば、長編に関しては多少なりともわかりづらいというか奥が深いというか、読者側の読解力にも問題があるのだろうが、評価の分かれる作品が多いともけど、本作だけでなく短編集においては旧作も含めて手に取りやすい作品となっている。
それはやはり長編よりも少なくとも読者にとって”サラッと読め普遍的”な内容となっているところが要因であろうと思われます。言い換えれば決して難解ではなく心にスッと落ちていき溶け込む内容なのである。
だから、個人的にはこれか村上氏の作品を読む読者には本作のような作品集を先にオススメしたいなと思っている。なぜなら喪失感はもちろんのこと、『ノルウェイの森』や『1Q84』では味わえない身近さとお洒落さを兼ね備えているからである。もっと簡単に言えば博識で柔軟性のある頭脳から繰り出される村上氏の短編は繰り返し読めば読むほど味わい深いものとなっていると考える。

6つの世界観が味わえるために6編とも素晴らしい。
過去の作品よりもやはり年輪を感じさせ、男性側に悲哀感が漂っているのであるが登場人物それぞれが作者を想起させるのであるが、特に際立っているのは『木野』である。
この物語は妻に裏切られて離婚してバーを経営する木野という男が描かれているのであるが、カミタという風変わりな人物の描写や、木野の達観した姿が描かれ終盤に妻を許すシーンが印象的であった。
少し深読みかもしれないけど、世間一般的には男というものは身勝手な生き物という認識が強いけど、決してそうではなく全体を通して恋煩いに苦しみ男など、男の諸事情を説明している悲哀さが詰まった短編集なのであるという認識で本を閉じたのであるが、再読したらまら新たな発見があると思います、それがきっと村上春樹の魅力なのでしょう。

評価9点。

posted by: トラキチ | 村上春樹 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『中国行きのスロウ・ボート』 村上春樹 (中公文庫)
7編からなる村上氏最初の短編集。発売が1983年5月なので来年でちょうど30年となる。この作品の感想を端的に示してくれる言葉が本文にあるので引用する。“「誰も読まないでしょう。三十年か四十年経っても読む価値のある本なんて百冊に一冊です」”冒頭に敢えて作者より1〜4編目と5〜7編目のあいだには一年近くのブランクがあるいう言葉があり、なんとなくであるが作品としてのバランスと言うか完成度としては差があると感じた。最初の4編はなんとなく作者自身が試行錯誤的というか内容が実験的であるような気がするのである。

しかしながらところどころにいつまでも読者の脳裏に焼き付けられるエピソードがあることも忘れてはいけない。
表題作での女の子を山手線を逆に乗せてしまったことや「貧乏な叔母さんの話」での帽子を取られた女の子のエピソードなど。
喪失感や絶望感を巧みに表現できた「午後の最後の芝生」「土の中の彼女の小さな犬」、そしてラストのもっとも寓話的で楽しい「シドニーのグリーン・ストリート」の3作品からなる後半3編は本当に圧巻で作者ではなく主人公の試行錯誤ぶりが読者に伝わってくる感じが強い。

個人的なベストは「土の中の彼女の小さな犬」。預金通帳を埋めた話のエピソードと主人公が女性に手の匂いをかがせてもらうシーンはドキッとさせられました。

少し余談となりますが短編集『象の消滅』に収められている表題作はリライトされたものらしいです。
ノーベル文学賞受賞出来るかどうかわかりませんが、発表の日にこの作品の感想を書けて幸せに思う。

評価8点。
posted by: トラキチ | 村上春樹 | 01:00 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『神の子どもたちはみな踊る』 村上春樹 (新潮文庫)
<阪神大震災から15年、節目に読むことによってより感慨深いクオリティの高い作品集だと言えそうです。切ない話ばかりですが、読み終えるとなぜか勇気を少し分けて貰った気がするところが素敵なのでしょう。全6篇でどれもいいのですがなんといっても「蜂蜜パイ」が秀逸。ラストに持ってきたところが心憎くいです。>


阪神大震災を題材というか間接的なテーマとした短篇集。
1995年という年は阪神大震災と地下鉄サリン事件の両方が勃発します。戦後の日本の歴史を変えたといっても過言ではない1995年。
今年で15年となりますが、この作品は読者にとってはまるで阪神大震災のようにいつまでも記憶に残る作品集だと言えそう。

そしてこの作品集は日本という国が決して安全ではないという警告を促しているのですね。

それは何も震災の当事者だけではありません、なぜなら作品に出てくる地域は神戸以外の地域ばかりなのですから。

全6篇からなりますが、それぞれの構成及び内容が素晴らしいと思います。
まずは妻が震災後家出をする「UFOが釧路に降りる」からラストの「蜂蜜パイ」まで。
それぞれ悩みを持った人たちが闇に包まれる生活を送っています。
読者は1篇1篇読み進めるごとに救いを見出すことができるのですね。

とりわけラストの2篇は強い救いが感じられ、明るい光明が差している印象が強く感じられました。
かえるくんやくまきちは読者に希望と勇気、そして感動を与えずにいられません。
それ以外の他の篇もすべて素晴らしく読者によって好みは分かれそうですが。

なかなか村上さんの描く世界を言葉で表すのは困難なのですが、どうなんだろう、手元に置いていつでも読み返せるような状態にしておきたい作品ですね。
読めば読むほど味わい深いものだと思われます。
読み終えた後におぼろげながら“全体像”を感じ取ることが出来るのですが、繰り返し読むことによってよりくっきりすることだと思います。
だから私の感想も初読時の感想ということでご容赦くださいね(笑)
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posted by: トラキチ | 村上春樹 | 21:08 | comments(2) | trackbacks(0) |-