-
『トオリヌケキンシ』 加納朋子 (文藝春秋)2015.01.12 Monday
-
なんといっても闘病生活を経て復帰されて書かれた本作、厳密にいえば表題作のみ闘病前に書かれたと思われますが、一冊の本として上梓することに関しては期するところが大きかったと容易に想像されます。
ラストの「この出口のない、閉ざされた部屋で」が格別な感動を味わえる。これまでに登場した人物が再登場するところには驚かされたが、読者を前向きにさせてくれるエンディングは6編すべてに当てはまるのであるがラストの手紙は圧巻ですよね。
あきらめないで生きることの喜び→作者の経験を踏まえつつ現在出来る最高のメッセージだと感じます。
評価8点。
-
『七人の敵がいる』 加納朋子 (集英社)2011.11.07 Monday
-
初出 小説すばる。
七編とエピローグからなる連作短編集。
初めはずうずうしくて嫌な女性だなと思ってた主人公で出版社勤務の陽子ですが、正論を押し進めていく姿に自然と応援してる自分がいます。 見事に作者の術中に嵌ったのですが、世の中やはり遠慮ばかりしてては駄目ですね。作者は七人敵がいても、八人味方を作ればいいという楽観的な考えで厳しい世の中を渡って行こうと読者に処世術を教えてくれています。女性が読まれたら陽子のカッコよさに惹かれること請け合いです。
< 前のページ | 全 [1] ページ中 [1] ページを表示しています。 | 次のページ > |