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『つるかめ助産院』 小川糸 (集英社文庫)
2010年集英社より単行本刊行、2012年8月文庫化。

NHK火曜ドラマ原作。ドラマほど主人公のキャラは立っていませんが却って読者に訴えかけるところが強いような気がします。
小川さんの作品はすべてを失った人が再生して行くというパターンが多いのですが、本作もそれに近い感じで物語が始まります。
まりあ自身、両親の顔も知らずに捨てられた過去があり里親に引き取られます。
そしてなんとか好きな男性と結婚するのですがその夫が失踪してしまいます。
夫を探しに南の島までやってきたまりあ、そこで彼女は自身の妊娠を告げられます。

物語はタイトル通り助産院での話なのですが(南の島での)主人公まりあがつるかめ先生はじめパクチー嬢や長老、サミー、エミリーなど、過去を引きずっても強く生きている周辺の人に触れ合って再生して行く過程が心なごみます。
周りの人にいろんな辛いことを告白して行くことによって気持ちが軽くなっていきます。
私はまりあと里親お互いの心が通い合ったシーンがもっとも感動的でした。

そして本作、印象的なのはへその緒という言葉が何回も出てきます。そう愛だけでなく命の尊さも謳った作品なんです。

妊娠・出産という貴重な体験を通して成長したまりあ、男性読者として女性の大変さを改めて思い知った作品でもあります。

ラストシーンで小野寺君がかなり唐突に出て来たときは驚きました。賛否両論ありそうですが、小川さんらしい結末ですね。人生幸せに越したことはありません。お裾分けして欲しいですね(笑)

評価8点。
posted by: トラキチ | 小川糸 | 15:38 | comments(0) | trackbacks(0) |-