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評価:
湊 かなえ
双葉社
¥ 1,575
(2010-06-02)
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初出 小説推理 加筆修正あり。
『告白』に続き2冊目の湊作品、連ドラ化決定のために急遽手に取りました。
ラストが予想を裏切るほど平穏だったのが印象に残ります。
高級住宅地で勃発したエリート医師殺人事件(高橋家)を通して、残された家族の事件後のあり方、そして向かいに住む遠藤家親子3人の
悲惨な事件でありながら小説としては身の毛のよだつような内容ではなく、時にコミカルにも読めます。
図式的には高橋家→裕福な家庭、遠藤家→一般的な家庭という図式が当てはまりとっても対照的なのがこの作品の大きなポイントとも言えます。
私的には結果としては悲惨なのはもちろん高橋家なのですが高橋家→贅沢な悩み、遠藤家→背伸びした代償みたいにも受け取れるでしょうか。
高橋家の三人の兄弟にもいろんな問題があるのですが、なぜかしら遠藤家の家庭での問題の方が同情ではないが気にはなった読書である。
というのは全登場人物中、遠藤家の娘がもっとも修正がきかないような気がするのである。
その当たり作者の狙いであるかどうかは定かではないが、身の丈に応じた暮らしをしなさいと促されているような気もします。
私の読解力不足かもしれませんが謎的な部分が少し残る物語でもであります。
でもモヤモヤ感もない、それはやはり作者がエンターテイメント性に長けている証しだと思ったりするのですね。
タイトル名でもある“夜行観覧車”、もうすぐ出来るみたいですがこれは“家族の絆”を示唆した言葉だと思います。
作中の登場人物だけじゃなく私ちも落ち着いたところから私たち自身の景色を見直す機会というのも必要なのでしょう。。
“目の前のことに追われ過ぎていることに落とし穴が待っている”、決して他人事ではない物語なのでしょう。
(読了日11月20日)
評価8点。