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『夜明けの落語』 みうらかれん作 大島妙子絵 (講談社)
評価:
みうら かれん,大島 妙子
講談社
¥ 1,365
(2012-05-23)

作者のみうらかれんさんは現役の大学生で本作にて第52回講談社児童文学新人賞佳作を受賞しています、大賞を受賞した『よるの美容院』に負けず劣らずの作品だと思います。
大賞作品よりもさらに低い学年の児童、そうですね小学校3〜4年生ぐらいから読める内容かなと思っています。作中には大島さんの効果的な絵が散りばめられていて、大人が読んでも視覚的に楽しめその確かな内容と相まって、読者の背中をグイッと押してくれる作品に仕上がっています。
尚、みうらさんは第2作の『なんちゃってヒーロー』を10月に上梓、この感想を書きながら既に読みたいなという衝動に駆られています。

子供の頃って自分の思ったことを人前で話すのって上手くいきませんよね。ご多分に漏れず主人公の暁音(あかね)も皆の前で話をするのが苦手な小学四年生の女の子。日直を一緒にやった落語好きの三島君に5分間スピーチをやることを免除してもらったことから、彼の落語を聞いてあげることに付き合わされさらには自らも落語を始めます。それによって彼女なりの価値観というか世界観が変わって行きます。一番の読ませどころは親友だった初音ちゃんとぶつかりあうところです。これはほぼ予想通りの展開とは言え、小学生にもよくありがちな話だと思います。作者の素晴らしいところは小学生の子供たちにとっての物事の価値観を的確に捉えて伝えてくれているところだと思います。
暁音がとにかく頑張った結果、彼女の世界が広がったのだけど、それ以前に“人間はいろんな人によって支えられているんだ”ということが大人読者の一人としては伝わりました。その点を子供たちが本作を読んで、少しでもその点を感じるとことが出来たら大きな財産となると思います、自分自身がもし主人公と同じ年代だったら本作のような作品に邂逅出来てたらなと素直に思いました。
スラスラ読めるのでもったいない気がしましたが、今も暁音と三島君と初音ちゃんの3人が落語の練習をしていることをイメージして感想を書いています。インパクトの強い作品、作者に感謝したいですね。

評価9点。
posted by: トラキチ | 児童書 | 00:25 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『よるの美容院』 市川朔久子 (講談社)
評価:
市川 朔久子
講談社
¥ 1,365
(2012-05-23)

第52回講談社児童文学新人賞受賞作品。児童書というジャンルにはあんまり馴染がなかったのですが、『紙コップのオリオン』を読んでデビュー作も読みたい衝動に駆られました。簡単に言うと大人が読んでも十分に琴線に触れる作品を書きはるということですね。
瀬尾まいこさんの『図書館の神様』等が好きな読者には是非手にとって頂きたい作品です。
主人公のまゆ子は小学6年生の女の子です。自分の何気ない言葉のせいで友人のタケルを交通事故に遭わせてしまい、そのショックのために言葉を発せない状態となり、親元を離れて親戚で“ひるま美容院”を営むナオコ先生と一緒に暮らしています。

そこでまゆ子は自分自身を取り戻して行きます。その過程が見事に描かれているのですが、何と言ってもまゆこの読者サイドからみても思わず応援したくなるキャラの描写が素晴らしいですね。
サワちゃんや颯太やダジャレ好きな古本屋の主人など、まゆ子を取り巻く人物も凄く和める人ばかりなのですね。
とりわけ颯太の登場の仕方とまゆ子に与えるインパクトの大きさは称賛に値しますし、大半の読者が同意見だと思います。
そのあたり、作者の人となりがまゆこの人格にも乗り移ったかのように見受けられ、とっても感動しました。

後半の物語の真相が明らかになってゆく過程は心地良さこの上ありません、それはやはり親元を離れて環境が変わっても前向きに生きてゆくことの大切さを失わず、充実した生活を過ごした日々のおかげなのですね。
タイトル名にもなっている“よるの美容院”という言葉も読者にとっては印象的であります、それは定休日である火曜日の前日(月曜日)の夜にまゆこがナオコおばさんにシャンプーしてもらっている光景から由来しています。
まゆ子にとって、美容院での想い出はこの言葉に凝縮され、今後の長い人生にとって大きなプラスとなりました。私は少しギクシャクしている母親との関係も必ず修復されると信じて本を閉じました。

評価9点。
posted by: トラキチ | 児童書 | 14:17 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『紙コップのオリオン』 市川朔久子 (講談社)
評価:
市川 朔久子
講談社
¥ 1,470
(2013-08-20)

児童書に分類される作品ですが、大人が読んでも十分に感動共感出来る物語です。
主人公の橘論理は中2で両親と小2の妹との4人家族。論理と父とは血が繋がっていませんが、物語は母親が今したいことがあると突然家を出るところから始まります。
ただブログやメールにより消息が切れないところが物語の展開上大きなウェートを占めてるような気がします。残された3人にとって母親の存在はやはり大きいのです。
この物語の良いところは主人公が母親の不在を踏み台にして大きな成長を遂げるところです。
タイトル名が示す学校内の記念行事でのイベントに積極的に参加し、とまどいながらも行動力を読者に見せつけてくれます、これが圧巻です。

個性的なのは母親だけでなく、脇役陣が凄く機能しています。親友の元気や妹の有里はもちろんですが、変わり者の大和と気になる異性の水原白。
個人的には血の繋がっていない父親の目には見えませんが、実の父親以上の愛情を感じ取ることが出来ました。実際あってはいけないことですが彼の人柄が母親が安心して旅に出れた大きな要因となっているような気がします。
作者の市川さんの作品は初めて読みますが、デビュー作「よるの美容院」で講談社児童文学新人賞を受賞して本作が2作目にあたります。今後どういう方向に進むのかはわかりませんが、十分に一般書に転向されても読者を引き付ける作品を書きはると思います。
注目したいですね。

評価8点。
posted by: トラキチ | 児童書 | 12:10 | comments(0) | trackbacks(0) |-