Search
Calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>
Sponsored links
徘徊ブログ
読書メーター
トラキチの今読んでる本
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
最近読んだ本
トラキチの最近読んだ本
鑑賞メーター
トラキチの最近観たDVD
New Entries
Recent Comment
Recent Trackback
Category
Archives
Profile
Links
mobile
qrcode
RSSATOM 無料ブログ作成サービス JUGEM
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

posted by: スポンサードリンク | - | | - | - |-
『まだ遠い光 家族狩り 第五部』 天童荒太 (新潮文庫)
すごく感想が書きにくいのは発売されてから10年経っているということも含めて、軽んじて語りづらいほどの奥の深さの内容であるが故だと思います。
天童作品の読者に対するハードルは高く、作品を通して“社会の厳しさ”を教えてくれる。
天童荒太の作品を読むと“グローバルに世界を眺める”ことが出来る。
同時に“人間ってこんなにもろいものなんだ”ということがひしひしと伝わって来るのである。

きっとそのもろさって“人間の本性”の一番根元にあるものなんだろう。
そして物語を貫いている悲しさを通り越して登場人物一人一人を見守ってあげなければならない。

大野や葉子が間違っているか否かはあまり重要じゃないような気がします。というのは五分冊という形態上、いろんな書き方が可能であって凄く非現実的な終わり方だという見方も出来れば、逆に凄く問題提起のある終わり方とも言える。
作者は現実を踏まえつつも、常に平和を願って書かれているのだろう。登場人物一人一人に魂を込めて書かれた本作はずっと語り継がれ、そしてその時の世相との違いを噛みしめつつも登場人物達の本篇終了後の幸せを願いつつ、読者自身が登場人物一人一人に一喜一憂すること、すなわち天童ワールドにどっぷり浸かることにより自分自身の充実した読書ライフを構築できたことを自負したいなと思う。

本作を再読するきっかけとなったのはテレビドラマ化であるが、現在のところ第三話までオンエアーされているが原作の良さを損なわずに描かれているかどうかは疑問である。内容的にそんなに高視聴率を望めるような作品ではないが、原作の重厚な部分が損なわれないようなものであって欲しいと願わずにいられない。
そして一人でも多くの若い方が本作を手に取り、将来的に始まるであろう子育てを成功して是非幸せになってもらえたらとささやかながら思う。この作品を一緒に手に取った分かち合えた同志として・・・

評価8点。




posted by: トラキチ | 天童荒太 | 20:01 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『巡礼者たち 家族狩り 第四部』 天童荒太 (新潮文庫)
ますます緊迫感が増してきて読者も心を痛めながら読むことを余儀なくさせられる。今回読んで感じたことはこの痛さ・悲しさが読者によっては受け入れづらいことかもしれないなということであるが、四冊目まで読み進めている人は当てはまらないでしょうね(笑)

今回は新たなキーパーソンがクローズアップされます、そうです山賀葉子と大野の元夫妻です。彼らが物語全体において重要な役どころを演じていることは疑いの余地がありませんよね。いわば駒田や油井のような救いのない人物の対極の存在として物語全体の幅を大きく広げている役割を演じています。
この物語を読むと、登場人物の誰しもが痛みを持っているために、事件で亡くなった人の真相だけでなく様々な角度で読むことが肝要なので、やはり読み応えはあるが読者泣かせの作品であると強く感じたのである。それは読者に焦点を絞らせずに次々と物語が暴走して行くことが要因であると考えるのであるが、その都度読者の心の中もちくりちくりとやられてしまいます。これを治すのは第五巻を読むしかなさそうですね(苦笑)

印象的だったのは遊子が駒田に刺されるシーンがやはりもっとも衝撃的でしょうが、個人的には物語全体から見るとサイドストーリー的なものかもしれないけど、馬見原の妻・佐和子が離婚を決意したことがサプライズで彼女が最終的にどう描かれるかが気になります。
いずれにしても綾女・研司親子のことを優先してしまう馬見原も男性読者目線ではわからないではないけど、もう少ししっかりして欲しいという女性読者の心の声が聞き取れた第四作でした。
posted by: トラキチ | 天童荒太 | 18:14 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『贈られた手 家族狩り 第三部』 天童荒太 (新潮文庫)
いよいよシリーズも第三部となった。ますますシビアな世界が繰り広げられて行くが少しづつ変化が見られる点は決して見逃してはいけない。
ぼんやりとではあるが固まりつつあった主要登場人物のアウトラインが少しづつ変化しつつある点が読んでいてわかる点は嬉しいかな。
例えば恋人と距離をおいていた巣藤はかつての教え子とふれあう事によって少しづつ人間らしさを取り戻して行く。

本作の魅力ってなんだろう?
社会派的要素は当然のこととして、物語レベルで論ずると私は主人公三人の苦悩が同じぐらい突き刺さる点が特に素晴らしいと思う。
まるで三つの物語を同時に読んでいるような気がする。
他の読者の方はどうなんだろうか?

とりわけ“明らかに三人の中でいちばん大人になりきってない感の強いというか精神的に弱そうである”浚介の今後を特に気になりつつ読まれてる方も多いと思う。

絶対に目をそらしてはいけない点は、主人公三人ともに今を懸命に生きている点。
三人三様でそれぞれに本当の生きがいと言うものを見失っているようにも見受けられる。
というか、総じて不器用なのかもしれない。
きっと読者は自分の弱い部分を主人公に投影されて読まれてるのであろう。
ただ、現実に立ち向って行こうとする点は見習うべきというか賞賛に値することを決して忘れてはならない。

物語は脇役を中心に少しづつ動いてきた。
今回のラストは馬見原の妻佐和子の突然の暴挙。
果たして麻生家と実森家の事件はどうなって行くのだろうか?
油井の動向も注目だが、馬見原が研治に対する、あるいは游子が玲子に対する想いって“肉親の愛情を超えた想い”なんじゃなかろうかと胸に突き刺さった。

天童氏の筆力を持ってすれば、どうにでも展開させることが出来るであろう。
あと2冊読み終えた後、大きな感動と教訓をゲット出来る事を信じて本を閉じたことを最後に書き留めておきたい。
posted by: トラキチ | 天童荒太 | 19:18 | comments(1) | trackbacks(0) |-
『遭難者の夢 家族狩り 第二部』 天童荒太 (新潮文庫)
いよいよドラマが始まりましたね。少しずつ設定が違うので混乱もしますが両方楽しめて嬉しい悲鳴です(苦笑)
第一部のラストで事件(麻生一家の変死体)が起こり物語が動き出したが、第二部においては主要登場人物が様々な角度から物語が動き出すためにより一層読者も釘付けにされてしまう。
麻生一家の事件を目撃した巣藤浚介の心のバランスが崩れ去り若者に襲われる。
恋人とも再び接するのであるが以前のように接することが出来ない。

馬見原光毅刑事は、周りから止められつつも麻生一家事件を執念深い捜査を繰り広げる。
彼は決して被疑者死亡事件だと思っていない。
事件を追うとともに、幼児虐待で入所していた油井善博が出所、身近なところに現れたことがわかる。
油井と冬島綾女との子どもが馬見原に電話をかけて来るシーンが1番切なくて印象的だった。

今回は氷崎游子と冬島綾女のプライベートや過去(特に游子の元恋人との再会シーンは印象的だ)に対して掘り下げて書かれている。
2人を対照的な人物として読まれてる読者も多いような気がする。
果たしてどちらがしあわせなのだろうか?
少しづつ主人公三人の接点が近くなって来た。
浚介は運び込まれた病院に亜衣事件で知り合った游子を無意識に呼ぶ。
游子は駒田が児童相談センターに子供を引き取りに来た時に暴力を受けるのだが、
過去に彼の親子問題において深く関わった馬見原が助けてくれたために大事に至らなかった。

天童荒太の描写力の確かさは人間の弱さをあぶり出すときに頂点に達する。

本作においては主要登場人物三人はもちろんのことそれ以外の人物の描写も丹念だ。
例えば、終盤のシロアリ駆除の話なんだが、この物語全体を支配している“恐怖心”の表れを読者に想起させてくれている。本当に巧妙な例えだ。とってもリアルで・・・

そして今回も衝撃のラスト・・・
なんと不登校で浚介が家庭訪問をした実森宅で事件が起こるのである。

お気づきの方も多いかなと思うが冒頭の電話相談がかなりモチーフとなっているような気がする。
第一部の冒頭は麻生一家、第二部の冒頭は実森少年かな?

その答えはもう少し待ってみようと思う。
posted by: トラキチ | 天童荒太 | 09:09 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『幻世の祈り 家族狩り 第一部』 天童荒太 (新潮文庫)
ドラマ化に伴い10年ぶりの再読であるが、天童氏の良いところである妥協のない物語に自分自身の10年間の変化をも確かめる読書となることを期待して手に取った。
物語は予想通りと言うか予想以上に重い。
登場人物は高校教師・巣藤浚介、刑事・馬見原光毅、児童相談センター所員の氷崎游子の3人がの中心。
物語はまだまだ序盤、平凡な女子高生・亜矢の障害事件によって上記の魅力的な登場人物が交錯したところである。
天童荒太の描く魅力的な人物ってそれぞれが“心に傷”を持っている他ならない。
それはきっとより“人間らしさ”を表してくれているのだろう。
第1部では馬見原刑事の過去のいきさつが1番丹念に書かれている。
多少なりとも馬見原刑事の心に潜んだ部分が読者に受け入れられた気がする。

ラストの家族の変死体がとっても印象的かつ象徴的だ。
きっと物語り全体を支配して行くに違いない。
これからどんな悲劇が待ち受けているのであろうか?
でも最後まで読んで少しでも成長できたらと思いつつページをめくれる幸せを噛みしめて感想を書いている私がここにいることも書き記しておきたい。
posted by: トラキチ | 天童荒太 | 02:16 | comments(0) | trackbacks(0) |-