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評価:
東野 圭吾
光文社
¥ 700
(2013-02-13)
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土屋太鳳主演でドラマ化されたというのと、冬季競技であるがオリンピック関連でということで手に取った久々の東野作品。
決して感情移入の出来る内容ではないし、読後感も良くないのであるけれど、安定感のあるストーリー運びは流石と思われます。
それにしても作者はスポーツやDNAに関する作品が多いですよね。男性読者としてはやはり、元オリンピック選手で血の繋がらない子供を娘として愛情を注いでいる緋田宏昌の苦悩はわからなくはないです。
娘の風美の立場から読んでみても捉え方は読者によって違ってくるであろうけれど、やはり宏昌夫婦に育てられてベストではないかもしれないけれどベストに近い部類だとは感じる。
物語のもう一人の主役と言っても過言ではない柚木ですが、初めは強引で嫌なキャラというイメージがあったのですが、次第に謎を解明してゆく探偵みたいな役割を演じたのには驚かされた。
あとは最初の脅迫者が誰であったのか、最後まで引っ張って読ませてくれますが、上条社長の過去の行動がすべての人を振り回している事実が情けないけれど、息子への愛情をは認めたい気はする。けれど、女性読者には上条社長を許せないという読者が多くても頷ける物語でもある。
タイトル名のセンスは流石で、宏昌がこれからも風美を実の親以上に愛してゆくのであろう。余談ですが、一流の選手は遺伝か努力かということが語られているけれど、今回のオリンピックを視聴して遺伝だけではなし得ないなと強く感じた。東野作品の未読本、ノンシリーズを中心に少しずつ読み進めたい。
評価8点。