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『傍聞き』 長岡弘樹 (双葉文庫)
評価:
長岡 弘樹
双葉社
---
(2011-09-15)

このミス第二位にランクインした作者の四編からなる第二短編集。表題作が日本推理作家協会賞短編部門受賞作品であるが、他の三編どれもが勝るとも劣らずの出来栄えであり読み終えるのがもったいないような気持にさせられた読者も多かったのではないであろうか。

内容的には専門的職業(救急隊員・刑事・消防隊員・更生保護施設長)についている人の苦悩・矜持・人間らしさを描いていて、前科のある人間に対しての先入観に対してやはり今一度考えさせられる内容となっている。
作者の長けたところは、無駄のない文章の中に散りばめられた伏線を鮮やかに回収するところが、読者にとって快い読後感を約束させてくれます。そしてどの話にも人間の弱さ・儚さに基づいた愛情が垣間見える所が素晴らしいのでしょう。

四編ともタイトル名にヒントが隠されていてるのであるが、個人的には子持ちの女性刑事を描いた表題作「傍聞き」がやはり印象的ですね、これは読んでのお楽しみですが親子の愛情が確認できジーンとなりました。あとは冒頭の「迷走」、ハラハラドキドキ小説を読んでこんなスピード感を味わえるとは作者に脱帽です。

評価8点。
posted by: トラキチ | 長岡弘樹 | 18:12 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『陽だまりの偽り』 長岡弘樹 (双葉文庫)
『傍聞き』や『教場』にて人気作家としての階段を着実に駆け上がっている長岡氏の五編からなるデビュー短編集で個人的には初読みとなります。
先入観というのは恐ろしいもので横山秀夫さんみたいな警察小説だとばかり思っていましたがそうではなかったです。
痴呆や少年法、会社での出世争いなど読者にとって身近な社会問題を盛り込んでミステリー仕立てで迫ってきます。
どの短編も伏線があって最終的にはストンと落としてくれるのですが、どう転ぶかは読んでいるうちは予断を許しません。
このあたり、デビュー作としては及第点を与えて本を閉じられた読者が大半で、他の作品も思わず読みたいと思わされます。

作者の良いところは、人間だれしも持っている弱さ、言い換えれば自分自身の保身みたいなものを描写するのに長けているということで、五編それぞれ同じぐらいにその要素が散りばめられているところが凄いのでしょう。
とりわけ「淡い青のなかに」や「重い扉が」に見られるラスト当たりでの子供が自分の親に対して見せる愛情がほろっと来ました。そのちらっと見せつけられ作品全体を覆っている温かいまなざしに唸らされたのは私だけでしょうか。

評価8点。
posted by: トラキチ | 長岡弘樹 | 19:53 | comments(0) | trackbacks(0) |-