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『ミーナの行進』 小川洋子 (中央公論新社)
評価:
小川 洋子
中央公論新社
¥ 1,680
(2006-04-22)
<2006年初夏、素晴らしい名作に出逢った>(2006/06/28)

美しくて心が安らぐ小説である。
私の場合何年かに1度、欠点のない作品に出くわすことってあるのであるが、本作もその数少ない作品の中の1つに仲間入りを果たしたと言える。

小説を読んで、是非他の方とこの暖かさを分かち合いたいと思ったことはないであろうか。
私はこの作品をひとりでも多くの方に手に取って欲しいなと思っている。
この作品はいわば読者の賛否両論の起こりうる作品ではないと思うからだ。
多少の読書のジャンル的な嗜好による合う合わないは出てくるであろうが、根本的に否定される方って“あまのじゃく”だと思うのである。

小川さんは本作で小説で描きえる最大限の懐かしさやあたたかさを読者に披露してくれている。
小川さんの上手さに舌を巻いた読者のひとりとして感想を書かせていただこう。
まず、さらっと内容を説明しよう。
時代は1972年、ちょうどミュンヘンオリンピックが行われた年。家庭の事情で母親が単身で東京に裁縫の勉強をしに行くために、芦屋の伯母の世話になる朋子は12歳で中学1年生。
伯母のうちは大金持ちで“フレッシー”なる清涼飲料水を製造する会社を経営している。
そこで1つ年下の従兄弟ミーナと出会う。ミーナは小柄で喘息もちで大の本好き、ドイツ人の祖母の血を引く大変な美少女である。
そこで過ごした一年間を過去を振り返る回想で語られている。

一見した所、典型的な裕福な家庭と一般家庭とのはざまで、いじめか何か勃発するのではないかと思われるかもしれないが、それは余計なお世話。

逆にミーナを筆頭に屋敷の大変良い人たちで読んでいてとても心地が良いんですね。
ドイツ人のローザおばあさんとお手伝いの米田さん。すごくナイスガイであるが家に居る事が少ない伯父さん。誤植を探す事が趣味のタバコと酒好きの伯母さんなど・・・
ああ、ひとりというか一匹忘れていました(汗)
コビトカバのポチ子である。ポチ子は一家の平和の象徴として扱われている存在。
タイトルとなっているミーナの行進は、実は喘息持ちのミーナが学校へ通う際にポチ子に乗って登校する様のことである。

ミーナはマッチ箱を集めている。マッチ箱の絵柄に一つ一つ物語をつける。その物語も作品内に紹介されていて、それぞれが素晴らしい。
この作品ほどイラストが効果的に散りばめられた作品も近年類を見ないだろう。
実際、イラストがなければこの作品は生まれなかったと思う。

読みどころに1972年という時代がある。例えば、『博士の愛した数式』だと阪神とか江夏とかが時代を示したが、今回はミュンヘンオリンピック。男子バレーボールチームに熱中するミーナと朋子。ミーナがセッター猫田のファン、朋子がアタッカー森田のファンという設定。
あと川端康成が自殺したりとか、あるいはジャコビニ流星雨など実際に起こった事件を通してリアルさを増している。
ミーナの兄の龍一が父親とぶつかるシーンも印象的である。
そのあと、大人の事情として素敵な伯父さんがめったに家に戻ってこないところを朋子が追跡するシーン、ドキドキしました。

タイトルの意味合いとは全然違うのであるが、ミーナが今も人生を行進している姿が目に浮かぶ。
まるで素晴らしき人生を読者に分け与えてくれるかのように感じられる。
心がすさんで来ている私には叱咤激励してくれる1冊であった。

小川さんの卓越した筆力の表れとして、作中、ずっとミーナの病気がどうなるのか気になりながら読まれた方が大半であるという事実があげられると思う。
読書の興趣が大きくそがれるのでここでは触れないが、少なくとも主人公朋子の人生の大きなバネとなった1年間であったと信じたい。

ミーナのマッチ箱集めにも関連するのであるが、乙女心が滲み出ている淡い恋心も印象的である。
たとえば身近に好きになる異性が朋子の場合は図書館のとっくりさんでミーナはフレッシー配達の青年である。
フレッシー配達の青年の話では、巧みに朋子がミーナを傷つけないように演出しているのが意地らしい。

読まれた方なら誰でもわかると思いますが途中で凄く悲しいことが起こります。
ミーナの行進が出来ない状態ですね。
ただ、凄いのはその悲しいことを支えにして飛躍して生きている姿が胸を打つのである。


この作品は讀賣新聞に連載されてたものである。
内容からして中学生以上だったら十分に理解できるであろう。

ご自身で読まれて是非、お子さんに読ませてやって欲しい。
成長期にこの作品を読んだらきっと大きな財産になることだろうと確信している。
そして、もしあなたがミュンヘンオリンピックのことを覚えていたら補足説明してあげてください。

時節柄、作中にて川端康成さんの作品名が出てくるのであるが、本作はノーベル賞作家の作品に劣らない名作であると信じたい。

最後にミーナが猫田選手に出した手紙を再読してみた。
思わず涙が出たがそれはまさに“希望”の涙である。
登場人物たちは作中でフレッシーを飲んで喉を潤した。
これから読まれる方は是非、本作を読んで心を潤してほしいなと思う。

超オススメ(10)
posted by: トラキチ | 小川洋子 | 21:31 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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