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『猫を抱いて象と泳ぐ』 小川洋子 (文芸春秋)
<かつてこれほどもの哀しくて美しい物語があっただろうか、追憶の一冊。>

まず最初に本作の感想を書くにあたって、物語と作者の文章があまりにも素晴らし過ぎて感想が上手く紡げないというジレンマに陥ったことを書き留めておいて駄文ながら綴りたいと思う。

初出誌 「文學界」2008年7月号〜9月号。
約3年ぶりに小川さんの作品を手に取った。
彼女の作品は有名どころの3作品(『博士の愛した数式』『ブラフマンの埋葬』『ミーナの行進』)しか読んでいないが、どれもが素晴らしく心に残る作品であった。
そして上記3作品に勝る勢いの本作の素晴らしさ。
作者の類まれな筆力はどう表現したらいいのだろう。
本当に安心して身を委ねられる作家ですよね。

小川さんが描くと、たとえどんなに荒唐無稽で非現実的な物語でも素晴らしい光沢を持った作品として読者を感動の渦に巻き込む。
本作は寓話というジャンルになるのであろう。
なぜなら私達読者も論理的な説明を作者に求めていないからだ。

そういったものを超越した世界、すなわち小川ワールドに読者は浸りたいのである。
どっぷりとどっぷりと・・・
評価:
小川 洋子
文藝春秋
¥ 1,780
(2009-01-09)

本作では小川洋子という天才作家がチェスの物語を描いている。
後にリトル・アリョーヒンと呼ばれるようになる天才少年騎士の物語。

リトル・アリョーヒンが生きる世界は8×8狭い世界であるが、そこはかとなく愛に満ち溢れている。
彼の優しさが読者に伝わるのはなぜだろう。
それは彼が純真無垢な人物であるからだ。

とりわけミイラとの手紙のやりとりが本当に切なく心に残る。
不覚にも最後のゴンドラでのすれ違いのシーンには落涙してしまった。
小川ワールドの真髄をみた感が強かった。

特に私が強く感じたのは主人公の寡黙さ。
寡黙でかつ孤独だからこそ棋譜に自分の生きざまを刻み込んだのだろう。

一見すごく何かに翻弄されて生きているようにも見受けられるが、決して不幸ではない。
彼がここまで人々に愛されたのはその素直な人柄が受け入れられているからである。

本作のテーマでもある死についても語ろう。
本作においては象、マスター、祖母、老婆令嬢など次々に死を迎える。
彼らが死を迎えることにより、彼の人生は変わるのである。
とりわけマスターが亡くなった時、主人公はこれ以上自分も大きくならないことを決断する。
くしくもマスターと知り合った時と同様、マスターの死によっても自分の人生の転機を迎えるのである。
そこに後悔の念は微塵もない。

そして彼らを追悼するように盤下でチェスを打つのである。

とりようによったら、彼ほどの能力があればもっと表舞台に出て活躍できたのではないかという考えも成り立つであろう。
でもその質問は本作においては愚問である。
“自分の身の丈にあった人生を過ごすこと”が自分の幸せである。
そう、彼の身の丈とはチェスの盤上そのものであるのだ。

それを選択した主人公に胸を打たれない読者はいない。
読者には彼の“優しさ”がいつまでも追憶として残っている。
最強の手が最善とは限らない。

本作で発見した名言でありいつまでも胸の内にしまっておきたい言葉である。

最後に作者は人に愛されることの尊さを本作で語った。
読者に愛される作品を書く小川さんの本領発揮の作品ですね。

私にとって本作は読んで良かったと思える一冊となった。
本好きであなたが未読なら是非手に取って欲しい。

そして読後はきっと周囲の大切な人に対して、明日からはもっと気を配れることができるでしょう。
本作は読者にとって非常に有益な一冊なのである。

超オススメ(10)







posted by: トラキチ | 小川洋子 | 22:20 | comments(12) | trackbacks(5) |-
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トラキチさん、こんばんは。
本当に素晴らしい作品ですよね。
素晴らしすぎて感想が書きづらかったのは、わたしも同じくです。
作品の世界を壊してしまわないようにと。

ぜひとも小川洋子さんの初期作品も読んで、コンプリート目指して欲しいです!
フランスで映画化されている『薬指の標本』もよいですよ。
映画も原作もそれぞれ違った意味でそれぞれよいです。
| ましろ | 2009/04/05 9:13 PM |
トラキチさん、こんばんは。
ひそやかな静けさに満ちた物語の中に引っ張り込まれました。
リトル・アリョーヒンが何とも愛おしく思えます。
読んでみて、本当に良かったと感じられた作品でした。
| 藍色 | 2009/04/06 2:40 AM |
トラキチさん、こんにちは。
本当に小川さんらしい素敵な作品でしたね。
読み終わってため息が出るほどでした。
寡黙で孤独なリトル・アリョーヒンの気持ちを思うと胸が熱くなります。
彼の優しさはきっと周りの人たちを幸せな気持ちにしていたと思います。
| mint | 2009/04/06 9:11 AM |

>ましろさん
本作のように本当に素晴らしい作品の感想を書くときは、作者に失礼のないように書くのが難しいですよね。
賛否両論のある作品じゃないところが小川さんの才能の高さの表れだと思います。
とりあえず次は『海』行こうと思います。
小川さんオススメのクレスト・ブックスも控えてます(笑)
また教えてください。

>藍色さん
みなさん、絶賛されているので孤独なアリョーヒンもそうじゃないように感じられますよね。
まるで外国作家が描くような作品を上梓出来る小川さんの凄さは本当に称賛に値すると思います。

>mintさん
おっしゃられるように、アリョーヒンの優しさが周りに通じたから、最後にちっぽけだけどいつまでも心に残るように飾られたんでしょうね。
こんなに物語の中に引き込まれる作品って本当にお目にかかれませんよね。
| トラキチ | 2009/04/06 9:22 PM |
トラキチさん、こんばんわ〜。
この作品はホントに美しかったですね。
なんて静かで、なんて愛おしくなる作品だったことか。
こんな本に出会えて幸せ〜って思いますわ。
| むつぞー | 2009/04/06 9:52 PM |
むつぞーさん、こんばんは♪
私も読もうかどうか迷っていたのですが、あまりにも評判がいいので読んでそして買っちゃいました。
買って全然後悔させないところが小川さんの凄いところでしょうね。
| トラキチ | 2009/04/07 10:01 PM |
トラキチさん、おはようございます。
お返事遅くなってすみませんでした。

とても静かな空気の中、チェスの駒音が聞こえるようでした。
| なな | 2009/04/08 8:59 AM |
ななさん、こんばんは♪
チェスは長い間やってませんが、将棋みたいに取った駒は再び使えないところが哀愁感というか儚さがあって良かった部分かなと思ってます。
| トラキチ | 2009/04/08 6:51 PM |
トラキチさん☆こんばんは
言葉などなくても分かることってあります。
チェスをを通して知る相手の心の内という所に心惹かれてしまいました。
小川さんの描く世界を翻訳文学のように感じてしまうことが多いのは、その世界観のせいでしょうか?
| Roko | 2009/05/06 8:19 PM |
Rokoさん、おはようございます。
私も小川さんの作品は世界を意識してはると思います。
海外の人が読まれても共感できるでしょうね。
ワールドワイドな世界が漂ってるところが何と言っても魅力なんだと思います。
| トラキチ | 2009/05/08 7:35 AM |
トラキチさん こんにちは♪
こちらに来るのが遅くなってしまい申し訳ありません。(汗)
私もこの本は素晴らしすぎてどうやって感想を綴ろうか非常に悩ましく難しかった本でした。どう書いてもこの魅力が上手く伝わるような気がしなくて。(^^;
作中何度も悲しいことが起こりますが、それでもリトルアリョーヒンはきっと自分の人生を振り返って幸せだったと感じるだろうと思うから読後感も温かい気持ちになるのでしょうね。

小川作品はまだ5作品程度しか読んでいないビギナーですが、最近エッセイや書評集を読んで、ますます小川さんのお人柄に惹かれてファンになりました。未読の小川作品をどんどん読んでいきたいなぁと思いました。(^^)

TBを送ろうとしたのですが、エラーになってはじかれてしまいます。もしかしたら先にTBをいただけたらこちらからも送れるかもしれません。
トラキチさんが以前私のブログにTBを送ろうとしていた頃、変なTBが多かったので規制を強めにかけてた時期だったのだと思います。スミマセン(汗)
今ならば大丈夫だと思うのでもう一度送っていただけませんか?お手数かけますがよろしくお願いいたします〜
| 板栗香 | 2009/08/27 12:28 PM |
板栗香さん、こんばんは♪
TB送らせていただきました。
今回は成功ですね(笑)
年末に今年のベストテンなるもの公開される方多いと思いますが、賑わいそうですね。
二度目の本屋大賞って無理かな。
それぐらいの作品ですよね。
なかなか小川さん手に取る機会がつかめなくて(汗)
| トラキチ | 2009/08/28 3:38 AM |









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