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『闇の華たち』 乙川優三郎 (文芸春秋)
評価:
乙川 優三郎
文藝春秋
¥ 1,470
(2009-04)

 <思わず目頭が熱くなる作品集。乙川さんは寡作な作家の代名詞的存在の直木賞作家であるが、本作を読み終えてその寡作な理由がわかった気がする。
読者サイドにとっては早く新作を読みたい気持ちはあって然りであるが、乙川作品は本来何回も繰り返し読むべき作品なのである。
繰り返し読めば読むほど味が出てくる、今回それに気づいたのである。クオリティの高い名人芸的な作品を手に取れた喜び、明日への心の糧としたいなと思う。>

乙川さんの作品を読むのは何年ぶりであろう。
藤沢周平さんほど器用に書き分けれる人ではないが、その静謐な文章はある意味においては藤沢さん以上だと思います。


たとえば宇江佐真理さんの作品と比べてみての違いは、乙川さんの場合は、特に男性読者の場合は自分に置き換えて読めるのですね。
乙川作品を読むにあたっては、宇江佐作品のように江戸情緒に浸っている場合じゃありません。
自分の身に降りかかっている出来事に置き換えて読めるのですわ。
敢えて男性読者と記したのは、本作は逆に“女性読者”が熱くなれるように作られているからである。


タイトル名が本当に素晴らしいですね。
“闇の華たち”
本作の主人公たちを表す言葉ではあるが、私たち読者にも当てはまるのである。
まるで私たち読者を鼓舞してくれてるかのようなタイトル。
乙川作品の主人公たちは概ね、不幸を背負っています。
まあ、それは現代人における悩みと通じるのですね。
そして読み終えたあと、読者である私自身が“闇の華たち”の仲間入りを果たしたような気分に陥るのですね。
これはそれだけ、小説の中に入り込めた結果であると私は思っております。


いや、それにしてもこの洗練され丹念に書かれた文章。
文章の奥行きの深さで言えば現役トップといっても過言ではないでしょうね。


ただ、あまりにも乙川作品は話自体が切なすぎて、続けて何作品も読むのは辛い時があるのですね。
薬が効きすぎるというか(笑)

 本作品集は全6編からなりますが特に絶品なのは、家出した夫と2年ぶりに再会し揺れ動く女心を描いた「笹の雪」
印象的な部分を引用しますね。

一度男を愛してしまうと、女は分別をなくしてゆくものらしい。裏切られても追わずにいられない。間違えばすべてを失う瀬戸際の怖さも、あとになって知るのであった。


もう一編選ぶと長年生と死をみつめてきた町医者の思いを雪の結晶に重ねた「冬の華」ですね。
橘という女性、とっても魅力的です。


少し個人的苦言を呈させていただければ「面影」ですね。
桜田門外の変の裏が舞台の作品である、歴史小説的な部分がどうしても頭から離れず、乙川さんらしさが損なわれているような気がした。



乙川さんの作品を読むと現代に生きる私たちの自由さがまるで我儘さのごとく感じられます。
まるで少しは身を引き締めて生きなさいとお咎めを受けているかのようですね。


どうしようもない過酷な運命に人生を振り回されつつも、一生懸命に生きる主人公たち。
現代に生きる私たちが日ごろ忘れがちなことを、乙川さんの作品は蘇らせてくれます。
少しは乙川さんを見習って厳格に生きたいものである。


あなたも現役最高の時代小説作家の名人芸をご堪能あれ。



評価(点数)は他の乙川作品との比較と思って下さい。
私の中では藤沢周平さんと乙川さんは別格の作家なのです。
作者のハードルは極めて高い、読者である私たちも追いつきたいですね。


面白い(8)

posted by: トラキチ | 乙川優三郎 | 19:01 | comments(2) | trackbacks(0) |-
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>現代人における悩みと通じるのですね
同感です。

私は、「ゆすら梅」という年老いた親との関係を描いた作品が、とても印象に残っているのですが、これは、現代にもあてはまりました。この作品は、どうしようもないくらい暗い方向に進んでしまうのですが、乙川さんにしては、珍しく、最後は、「ああ、よかった。」と嬉し涙で終われる作品でした。

山本一力さんの作品もそうですが、ほんとに、現代の私達の甘さと我儘さを、戒められる気がしますよね。
| くまま | 2009/06/08 8:16 AM |
くままさん、こんにちは♪
コメントありがとうございます。

この作品集、返却の時間の加減で速く読みすぎました(汗)

本来乙川さんの作品って他の作家よりじっくり一字一字読みたい作家さんだと思ってますが逆になりました。

続けて読むのはきつい作家ですが、たまに読むと本当に胸を詰まらせてくれる作家であると思います。

出版ペースは山本さんの五分の一ぐらいかな。
全体的に乙川さんの作品は暗いですよね。
でも凄く現代にも当てはまっていて身につまされます。
| トラキチ | 2009/06/08 3:18 PM |









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