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『街の灯』 北村薫 (文春文庫)
評価:
北村 薫
文藝春秋
¥ 500
(2006-05)

 <ベッキーさんシリーズの第一作。細部まで行き届いた緻密な構成の日常ミステリーを満喫できます。英子とベッキーさん、どちらが探偵訳かあるいはワトソン役か微妙なところが2人の魅力をより際立たせています。>


北村さんの決して良い読者とは言えない私であるが、好きなシリーズを述べよと言われれば間違いなく『スキップ』『ターン』『リセット』の「時と人シリーズ」をあげます。
心が澄みわたるような気持にさせてくれる作品群であり、ジャンルとしたら文芸作品と言えるのでしょう。


そしてミステリーシリーズものとしては次の3シリーズがあります。
『円紫シリーズ』、『覆面作家シリーズ』、そして本作を含む『ベッキーさんシリーズ』。
先日直木賞を受賞した『鷺と雪』は北村薫のベッキーさんシリーズの第三作にあたります。
そして今回手に取った第一作にあたる本作『街の灯』、当初単行本が出たのが6年前になります。
そう言えばこの作品は単行本発売当時は“本格ミステリーマスターズ”から出たのですね。


さて本作、歴史の勉強だけでなく雑学が身につくという感じの作品ですね。


舞台は昭和初期の東京の上流階級の世界。

ヒロインは「わたし」こと花村英子で某財閥系列の商事会社社長令嬢で14歳ぐらい。
そしてそのお抱えの運転手として花村家にやっててきたベッキーさんこと別宮(べっく)みつ子。
ベッキーさんの登場からこの物語は始まります。


この物語はいわば二段構えとなっていて、そこが読者をひきつけるのだと思えます。
まず各編それぞれの細部まで行き届いた緻密な構成のミステリー仕立て。
そして何よりもミステリアスなのはベッキーさんが、なぜ運転手となったかですね。
読者は後者に関する興味を持ちながらめくるページを止めることができません。

 ベッキーさんという名前は19世紀の英国作家であるサッカレーの『虚栄の市』の主人公の名前から取ったもので、冒頭の中編はベッキーさんの運転手ということ以外に剣術に長けたところも読者に披露してくれます、英子さんのいわばボディガード役も買って出てると言ってもいいのでしょうか。


北村さんの作品の登場人物の特徴はやはり品格があるということでしょうか。
それはまるで北村さんの文章の美しさが乗り移った感がしないでもないのであるが、大きな期待を本作に抱いて読むと肩透かし食らうかもしれませんね。


ただ、本好きも十人十色で、北村さんに何を求めるかによって本作に対する満足度って違ってくると思います。
たとえばスケールの大きな感動的な話をと期待されると苦しいですよね。
そのあたり私的には少し不満な点もあるのはありますが、割り切って読まれる方、あるいはミステリ好きな方は堪能できると思います。


本作は殺人事件が二件も勃発しますが、通常北村さんや加納朋子さんが描く世界は“日常ミステリー”というより“日常ミステリ”と呼ぶ方が的を射た言葉なのでしょうね(笑)
かつては覆面作家として活躍された時期もあった北村さん、本当に女性の主人公を描かせたら天下一品ですよね。
本作の英子の好奇心旺盛で感受性豊かだけども、良家の子女っぽさを損なわない描き方は、やはり時代が昭和初期だから余計に巧く描かれているように感じられました。


全三編からなる一作目ですが、いろんな出来事が登場します。
服部時計店の時計台、チャップリンの無声映画、本当に懐かしいですよね。
もっとも印象的だったのは表題作でしょうか。
これは北村さんらしからぬと言えば失礼かもしれませんが、女性の悪意を描写している部分がありハッとさせられますね。
私的には主人公の英子ちゃんじゃなかってよかったと胸をなでおろしたのですが、他の読者の方はどう感じたのでしょうか。
英子=素直な少女、同級生の道子=したたかな少女、2人のコントラストが見事だと思います。


本作においてはどちらがホームズでどちらがワトソンかといえばちょっと微妙ですよね。
ベッキーさんの方が、立場上控え目で助言的な役割を演じていることには変わりないと思いますが。
物語はベッキーさんといろんな経験をすることによって英子が成長して行くと言えるのでしょうね。


付け加えておきたいことがあります。
それは巻末に記されている参考文献の多さです。
これには正直驚きました、作者に敬意を表したいと思います。


そしてなにより清潔な文章が特徴である北村さん、安心して読めますよね。
次作も2人の活躍を楽しみにしております。

まあまあ(7)

posted by: トラキチ | 北村薫 | 17:27 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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