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『ほかならぬ人へ』 白石一文 (祥伝社)
評価:
白石一文
祥伝社
¥ 1,680
(2009-10-27)

<中篇2篇からなる直木賞受賞作。直木賞の“大衆作品”という主旨に基づく側面的な意味合いにおいては読みやすい作品でぴったしの受賞作かもしれませんが、いかんせん主人公に共感が出来なかった。
むしろデビュー作『一瞬の光』のインパクトの方がずっと印象的で切ないながらも首尾一貫しているところが個人的には受け入れれたのだけど。
テーマ自体は愛で深いのですが、私にはそれほど深遠な作品には感じられなかったのが残念です。>


第142回直木賞受賞作品。

前作の『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を受賞、そして本作で直木賞を見事受賞。
これで文壇のスターダムへとのし上がった白石さんですが本作を読む限り、果たして直木賞の受賞が妥当だったのかどうか甚だ疑問を感じた私である。
過去の直木賞の受賞作を振り返ってみても、なぜこの作品が選ばれたのだろう、なぜあの作家じゃなくてこの作家が選ばれたのだろうともちろんいろんなタイミングが合るのでしょうが。

もちろんいろんな作風があってしかりなのであるが、やはり内省的で思慮深いのが白石さんの登場人物への共感が白石さんの一番の魅力なんだなと思ったりするのですね。
たとえ少し道をはずれていようが。

本作は全体的に焦点がぼやけている印象は拭えませんわ。薄っぺらいというか。

本来の白石作品というのはあくまでも個人的な意見ですが、10人が読めば2〜3人の人に大きな共感を得てもらうというところ。
前作でも強く感じたのですが、やはり作者の倫理観・世界観がちょっとはずれているような気がするのですね。
本作で言えば女性の容姿に対する人生における損得が生じる描写。
女性読者が読まれたらどう感じるのでしょうかね。

思えば以前の直木賞は良かったです。
かつて金城一紀がデビュー作の『GO』で受賞されたのが約10年前ですね。
本作が直木賞受賞できるなら、デビュー作の『一瞬の光』でもよかったのじゃないかなと強く思いました。
読者が少なくともどっぷり嵌れるレベルの作品かどうかで言えばデビュー作の方が上だったと思います。

逆に本作は普段あんまり本を読まない人は読みやすくっていいかもしれません。
少なくとも言えるのは白石作品は直木賞は取れても本屋大賞は取りにくいでしょうね。
そこら辺りが一番の直木賞の現状の問題点じゃないかなと思ったりします。
2篇ともコンプレックスを持った人が主人公ですね。
「ほかならぬ人へ」の明生は名家の三男に生まれますが、優秀な父母や兄弟に対してコンプレックスを持っています。
家からも断絶された状態で、家族の反対を押し切ってキャバクラ勤めの女性と結婚するのですがなかなか上手くゆきません。
主人公の曖昧さというか判断力のなさにイライラしつつも、3人の女性のコントラスト(美人妻のなずな、許嫁の渚、そして上司で不美人の東海)をそれなりに楽しめる作品でもあります

「かけがえのない人へ」の主人公はみはるという女性で容姿に少しコンプレックスを持っています。
彼女も良家の出で父親が会社社長ですね。エリートの男性との結婚が近いのですが、かつての不倫相手の黒木と関係を復活させてます。

エンディングどちらも悲しいです。
悲しいんだけど胸がいっぱいになって本を閉じることとなることはなかなか出来ません。

表題作はやはり親の言うことを聞かなかった主人公のなれのはて的な流れですね。
“やっぱりこうなったか”的な。

そして後者は男性作家が描くから余計にそう思うのでしょうが、みはるが真実の愛を模索しているというよりも黒木にとっての都合のいい女のように見受けれるのですね。

深みのある恋愛というよりも、人生に迷いを生じている男女の活写という作品のような気がしました。
小説を読んでいて、たとえ間違っていても突き進んでほしいという作品と、間違っているのでイライラする作品があるのですが、完全に後者に分類できる類の作品だと思います。

私は良い意味で“理屈っぽい白石作品”前者的な作品の方が好きですわ。
生き方を模索しているよりももっと自分の生き方を貫く主人公がいいですね。
2篇とも私の観点で言わせていただいたら“必死に恋愛していない”ような気がします。

その一因として少し作者を擁護させていただくとやはり“枚数が足りなかった”のでしょう。
白石さんは根本的に長篇作家だと思います。

逆を言えば、これは出版社の巧みさだと思うのですが、他の白石作品と比べて行間も広くて読みやすいです。
まるでライトノベルを読むような感覚で読めますね。文章自体は以前よりも読みやすいと思います。

少し苦言を呈したいのは、登場人物の出身大学名に実名を使っている点ですね。
よりリアルになるのは間違いのないところでしょうが、フィクションの世界ではどうなんだろう“掟破り”なんじゃないでしょうか。
その大学の出身の方が読まれたらあまりいい気はしないでしょうね。
具体名を出すことによって却って類型的に感じられ、小説としてのインパクトに欠けているように感じました。

皮肉なエンディングになりますが本作はその読みやすさにおいては直木賞に相応しい作品であると思います。
ただ個人的にはデビュー作のように10人が読めば2〜3人の人に“大きな共感”をもたらせることもないと思います。
一番この作品に欠けている点は“主人公に感情移入出来ない”ことなんですね。

心に響く作品を書ける作家なのになという残念な気持ちで本を閉じました。

この感想を読まれたあなたも確かめてほしいなと思いますね。
そしてできれば『一瞬の光』も合わせて読んでください。

期待はずれ(6)


posted by: トラキチ | 白石一文 | 19:23 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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