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『太陽のパスタ、豆のスープ』 宮下奈都 (集英社)
評価:
宮下 奈都
集英社
¥ 1,470
(2010-01)

<婚約破棄された20代後半のヒロイン・あすわの再生物語ですが、男性が読んでも楽しめるので女性が読まれたら身につまされつつ大いなる共感を持って本を閉じることが出来るでしょう。>

初出“青春と読書”を加筆・修正。

宮下奈都さんの最新刊です。
よく男性を形容する言葉として“誠実な”人と言いますが、宮下さんの文章から類推するに“性別を超えて”誠実な人(女性)なんだなと感じますね。
読者として安心して向き合え、そして身を委ねられる作家というのはなかなか邂逅できないのですが、そういった数少ない作家だと言えそうです。

彼女の魅力はその文章から醸し出される“温かい眼差し”ですね。

本作においてもその温かい眼差しは如何なく発揮されていて、読者は堪能することが出来ます。

物語の冒頭で、主人公のあすわは婚約破棄されます。
いきなり大きなものを失ってしまい失意のどん底へ落ちちゃいます。

読者としたら何かあすわに欠点があるのではないかと思うのですね。

そこで自分を取り戻すために、個性的な叔母のロッカさんからの提案で“ドリフターズリスト”を作成します。
自分の今やりたいことを見つめなおしリスタートしたあすわ。

やはりリストを作ったことよりも、周りに励ましてくれる人がいるということがあすわを変えたのですね。
叔母の他には幼馴染、会社の同僚、そして弟などなど。

それに気がつくことによって再生が完了するのですね。

それにしてもタイトルにもある食べ物の描写が象徴的ですね。
やはり普段あんまりスポットライトの当たっていないというか身近なものを取り上げています。

そして何よりもロッカさんとあすわの会話が楽しいんですね。
特に引越してからの何気ない会話がクスッとさせられます。

少し総括すると、本作は男性読者が読むと身につまされることはないですが(笑)、性別・年齢を超えて“一日一日を懸命にそして後々に悔いることのないように生きなさい”と読者に教えてくれるような自分を見つめなおす機会を与えてくれる作品ですね。サブキャラの人たちが特に個性的であり、そのことにより、ヒロインの“平凡性がより強調されており共感度が高くなっている”ような気がします。
本作は読み終えて本を閉じるときに温かな気持にさせてくれます。そして婚約破棄した男性が後悔するであろうヒロインの成長に拍手を送らざるをえない気持ちになります。

素直な気持ちで手に取れる作家として宮下奈都さん、これからも目が離せません。
出来れば、サブキャラの人たちのサイドストーリーを書いてほしいですね(笑)

女性読者で未読の方は是非手に取ってほしいですね。
ちょっと落ち込んでる時に読まれたら自分自身を主人公に照らし合せることができます。

そう、本作は女性読者への作者からの心を込めた“応援物語”なのです。

面白い(8)
posted by: トラキチ | 宮下奈都 | 22:48 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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