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『オレンジだけが果物じゃない』 ジャネット・ウィンターソン著 岸本佐知子訳 (国書刊行会)
評価:
ジャネット ウィンターソン
国書刊行会
¥ 2,520
(2002-07)

<作者の自伝的作品。この物語の一番の読ませどころはやはり自立することの大切さと、そして親子の愛情の尊さを謳っている点でしょう。
日本人的な発想で見れば、通常書きにくいことをよく書いたなと思うのですが、作者の才能は陳腐なそういった見方を超越して、読者の心の中にいつまでも根ざすであろう勇気を与えてくれる作品です。さあ、未読の方、とりわけ女性の方是非ご一読あれ。>



原題 "ORANGES ARE NOT THE ONLY FRUIT"(1985)、岸本佐知子訳 。国書刊行会の文学の冒険シリーズの一冊。

まず単行本の裏表紙のあらすじを引用させていただきますね。

<たいていの人がそうであるように、わたしもまた長い年月を父と母とともに過ごした。父は格闘技を観るのが好きで、母は格闘するのが好きだった・・・>
熱烈なキリスト教徒の母親から、伝道師になるための厳しい教育を叩き込まれた少女ジャネット。幼いころから聖書に通じ、世界のすべては神の教えに基づいて成りたっていると信じていた彼女だが、ひとりの女性に恋したことからその運命が一転する・・・。
『さくらんぼの性は』の著者が、現代に生きる女性の葛藤を、豊かな想像力と快活な諷刺を駆使して紡ぎ出した半自伝的作品。
(単行本背表紙から引用)

“何もかも、わたしが間違った種類の相手を愛してしまったことに端を発しているらしかった。いや、わたしの愛した人たちに“間違った”ところなど一つもなかった、ただ一点を除いてはーーー女が女を愛すると、もうそれだけで罪になるのだ。”
(本文より引用)

<2010年3月 MONTHLY BEST作品>

またまた素晴らしい作家に邂逅しました。
ウィンターソンのことはこちらに詳しく書いてます。

この作品を私なりのとってもありふれた言葉で表現すると、“構成、内容ともにパーフェクトな作品”ということになります。
いわゆる国内のベストセラー作品は多少評判が悪くとも、情報量も多いがゆえに手にする機会が多いであろう。
だが本作のようにたとえイギリスのベストセラー作家であろうと、知名度に関しては国内作家のそれと比べて著しく劣ることは否めず、ましてや原書が刊行されて25年、邦訳されて8年も経つ作品となれば、ささやかながらでもインターネットいう便利な媒体を通じてその魅力を伝えたいと思うのです。

あらすじは前述したとおりなのですが、読んでいくにあたってポイントはありますね。
わたしがもっとも頭に入れて読み進めたポイントは、やはり主人公のジャネットと猛烈な母、このふたりの血が繋がっていないという点ですね。
私的にはすごくこのことを重要視しています、これは日本の作家が同じような内容を書けばそんなに共感出来ないのでしょうが、この作品における母親のシチュエーション(養母、そして猛烈なキリスト教の信者であること)からして、一部非難の声が上がることを認めつつも、深い愛情を持って育てているんだなという気持ちが伝わってくるのですね。

そして読まれたすべての方が同じように感じるであろう各章にちりばめられた寓話の数々ですね。
この構成は読む者の心を和ませるとともに、すごく印象深い読後感が強烈に残ります。
もし、この寓話の挿入がなければこの作品自体もっと堅苦しく感じたのだと私は推測しています。
明らかに本筋は自伝的な作品なのですが、寓話を挿入することによってユーモア性とそして作品の内容自体に深みを与えていますね。
作品全体を通していえば、作者自体の筆力の高さが素晴らしい岸本さんの訳文を通して読者に否応なしに伝わってくるのですね。

内容的には、少女が自我に目覚め成長し(といっても引用文の通り同性愛者になってしまい、平凡なものじゃないのですが)を語りながら、その自立と母親との確執を描きつつも深い愛情を読者に知らしめてくれる自伝的作品となっています。

邦題はタイトルからの直訳ですが、このタイトル自体が大きな意味をもたらしています。
これは私的には次のように解釈しています。
母親がもたらしてくれたオレンジは、これは優しさの象徴なのですが、オレンジのほろずっぱさは世間の厳しさをも示唆するのだと思います。

ラストあたりで母親が「オレンジだけがくだものじゃないってことよ」とジャネットに語るシーンが印象的です。
これは成長(というか自立)した娘に対して発した言葉ですね。

もちろん言葉通りのなのですが(笑)、作者にしたら母親の言葉をやっとわかるように成長して戻ってきたのですね。
そして“オレンジだけがくだものじゃない”という言葉を受け入れつつも“あなたのオレンジに勝るものはないのよ”と再認識した瞬間でもあったと思います。

読後感としてはオレンジのほろずっぱさよりも清々しさを感じましたが、それは男性読者だからかもしれません。

作者ジャネット・ウィンターソンの願いは、作中のオレンジのようにたとえほろずっぱくとも、本作が読者の心を少しでも救ってくれる一冊として届くことだと思われます。

どんな形かは読者によって違うと思います。しかしながら何かをつかみとれる作品であると確信しています。
特に女性読者には手に取ってほしい一冊です。
女性読者なら感動も共感もできますから。

超オススメ(10)
posted by: トラキチ | 岸本佐知子翻訳本 | 12:01 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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