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『体の贈り物』 レベッカ・ブラウン著 柴田元幸訳 (新潮文庫)
評価:
レベッカ ブラウン
新潮社
¥ 540
(2004-09)

<テーマは本当に重いのですが、淡々と語られているが故に読者に対すインパクトが大きいのでしょう。柴田氏の素晴らしいシンプルな訳文が作者のいいところを引き出しているのがよくわかります。いつでも読み返せるように手元に置いておきたい作品集ですね。そしてあなたも読書を出来る幸せを実感してください。>

原題"The Gifts of the Body"(1994)、柴田元幸訳。ラムダ文学賞、ボストン書評家賞、太平洋岸北西地区書店連合賞受賞作品。

文庫本の裏表紙のあらすじを引用させていただきますね。

食べること、歩くこと、泣けること・・・重い病に侵され、日常生活のささやかながら、大切なことさえ困難になってゆくリック、エド、コニー、カーロスら。私はホームケア・ワーカーとして、彼らの身のまわりを世話している。死は逃れようもなく、目前に迫る。失われるものと、それと引き換えのようにして残される、かけがえのない十一の贈り物。熱い共感と静謐な感動を呼ぶ連作小説。


レベッカ・ブラウンについてはこちらを参照してください。

私たち読者の誰もがいずれ訪れる“死”。
避けて通ることはできませんよね。
本作の登場人物はエイズで苦しんでいる人たちが綴られています。
余命はあとわずかのひとばかり。
死を目前にしたエイズ患者達が、自宅で少しでも快適に過ごせるように料理や掃除などをサポートするのが“私”の主な仕事です。

淡々と語られている本作は主人公である“私”の葛藤の物語でもあると思う。
“私”はそうですね、患者と世話人という関係というよりも、人として真摯に向き合っている姿が印象的です。
“私”がいかに葛藤しているかを噛みしめて読み込むことができれば、本作をほぼ理解できたと言えるでしょう。

本作が日本人作家の作品との大きな違いは次のように思う。
それはいわゆる日本人得意というか特有のこれでもかという“お涙頂戴的作品”とは全然違うんですよね。
読者自身もいずれ自分の身に起こる“死”を予期し感じつつも、生きるということの素晴らしさをあらためて実感する作品なのです。
読後、他人に対して今までよりも少しでも優しく接することができるような気がする、不思議な効能のある作品です(笑)

それにしてもレベッカ・ブラウンという人はまなざしが優しい人ですね。
語り手の“私”がまるで作者自身のような気がして読まれた方が多いのでしょう。
なんとか安らかに旅立たせてあげようと努力するひたむきな気持ちを描いた手腕に恐れ入りました。
元来、本作のようなテーマの話は絶望的な話になりがちなんだけど、勇気と希望を感じ取れる読後感のいい物語でした。
ブラウンはシアトル在住。
この作品はアメリカの社会というか世相を反映した作品とも言えるでしょう。
エイズ患者、ゲイの男もいれば老女もいます。
そして必死に死に抵抗している患者たちの描写はなくて、死を受け入れようとしている人たちを安らかに描いているのですね。
見守る人たちも素敵です。彼らは最後まで絆を深めようと努力しています。
一番の読ませどころは何と言っても、主人公の“私”が少しずつ仕事に対してやるせなくなっていくところでしょうね。
ここをいかに感じ取れるかが正直言って本作の評価につながると言えるでしょう。

作品の構成上、連作短編の形を取っているので登場人物たちが後半違った形で出てくる楽しみもあります。
とりわけマーガレットの存在感は絶大です。
冒頭では患者の恋人が肉親だと思ったのですが、いやいや違いました。
その後の彼女の変化に息を飲まずにいられなくなります。
そして彼女の存在がこの作品をより一層グレードアップしていることは誰もが感じることなのでしょう。
これは読んでのお楽しみということにしておきますね。

最後に言い得て妙かもしれませんが本作は読者にとって“精神安定剤のような一冊”と言えそうです(笑)
感動というよりも希望に満ちた物語です。
これから“死”が訪れるまで何回も読み返しては心を落ちつけたいですね。
あなたも是非お読みください。手元に置きたくなること請け合いです。

そして健康で読書を出来る幸せを実感してください。

オススメ(9)










posted by: トラキチ | 柴田元幸翻訳本 | 19:47 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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