Search
Calendar
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
<< February 2020 >>
Sponsored links
徘徊ブログ
読書メーター
トラキチの今読んでる本
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
最近読んだ本
トラキチの最近読んだ本
鑑賞メーター
トラキチの最近観たDVD
New Entries
Recent Comment
Recent Trackback
Category
Archives
Profile
Links
mobile
qrcode
RSSATOM 無料ブログ作成サービス JUGEM
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

posted by: スポンサードリンク | - | | - | - |-
『さぶ』 山本周五郎 (新潮文庫)
評価:
山本 周五郎
新潮社
¥ 704
(1965-12)

昭和38年週刊朝日に連載後、新潮社から刊行。

学生時代以来の再読。
ひとことで言えば、若い時は感動したんだけど感銘を受けませんでした。
そして今は逆というか両方ですね、感動しそして感銘を受ける作品です。

以前読んだ時は熱い友情を描いた青春物語だと単に思ったのですが、再読してみて栄二の成長物語だなと強く感じました。
言い換えれば、さぶを必要不可欠とする栄二の再生物語ですね。
そして男性読者の視点で言えば、読者自身が栄二的かさぶ的かによって捉え方が違ってくると思います。
とりわけ若い読者はそうだと思います。
年齢を経て人生達観するようなるとやはり懐も深くなり視野も広がります。
だから今回はいろんな観点から読むことができました。

まずは栄二とさぶ、瀬尾まいこの『図書館の神様』での話ではないですが、主人公は栄二のほうです。
二人は同じ年で小舟町の芳古堂という経師屋に奉公に来ています。
栄二は男前で何をやらせても器用で女にもてます。一方さぶはいつになっても糊の仕込みから抜けだせない、愚鈍だが
真面目で誠実、でも女にもてません。
性格は反対なのですが実は孤独なのは栄二の方で、さぶには実家が存在しています。
物語の冒頭、さぶが実家に帰ろうとするところを栄二が引きとめるシーンが印象的です。

女性の話が出たのでつけ加えますが 本作は側面的に見ると女性の熱い恋物語だとも言えます。
女性によって栄二の人生が狂わされるというか試練を与えられるというか、このあたりは読んでのお楽しみですね。
おすえとおのぶ、どちらがより栄二を想っているのだろうか考えながら読むと奥が深いです。

ストーリー的には栄二は得意先にて身に覚えのない無実の罪を押し付けられます。
そしてあげくの果ては石川島の人足寄場へと送り込まれます。
物語の半分以上がこの石川島でのお話となるのですが、そこで自暴自棄となって心を閉ざしていた栄二が徐々に心を開いて行きます。
人足寄場にて個性的な人達と知り合い成長して行きます。

初読の時はどうしてもラスト付近の秘密の種明かし部分があっけないというか軽いなと感じました。
私も若かったのですね。
おすえの告白により栄二とおすえの絆が深まったことに気づきませんでした。
というか認めたくなかったのでしょう、若い時は。
まるで若い時の私自身が無実の罪に陥れられて、復讐に燃えていた前半部分の栄二のようだった気がします。
結局、栄二だけでなくおすえやおのぶも成長したのですね。
黙っていてもよかったのですが、成長した栄二をみて告白することが出来たのでしょう。

ここはその前のあたかもさぶを犯人だと疑った栄二を払拭する形で種明かしが披露されているんだと思いました。
まさかさぶがと読者も思ったはずです。
作者が最もさぶらしいところを演出したんだと思います。

この物語は人間ひとりでは生きていけないということを読者に教えてくれます。
栄二にとってはさぶだけでなくおすえやおのぶ、人足寄場の人達に支えられて成長しました。
ただ栄二にとって一番必要不可欠なのは妻のおすえではなくさぶなのですね。
さぶは妻のおすえよりも献身的なのですから。
もっとも重要な点というか読み落としてはいけないところは、あたかも栄二がさぶの面倒を見ているように見えます。
事実冒頭なんかはそうなのですが、それ以上にさぶに支えられているのですね。
これはほとんどの読者が気付く点だと思います。
妻より友人と言うのは男にとってどうなんだろうと思いますが、この作品のタイトル名ともなっている所以だと思います。
人それぞれ良いところ悪いところがあります、栄二とさぶの関係は良いところ悪いところを補える最高のパートナーの関係なのです。
同じ年だけど、栄二は兄貴分、さぶは弟分、誰も異論はないはずです。

本作は作者の人間と言うものを巧みに描いた晩年の傑作だと言えそうです。
私はこの作品から人を信じ、人を許すことを学び取った気がします。
心に響く名作、作者に感謝したいです。

評価9点
posted by: トラキチ | 山本周五郎 | 22:22 | comments(0) | trackbacks(0) |-
スポンサーサイト
posted by: スポンサードリンク | - | 22:22 | - | - |-









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック