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『麦屋町昼下がり』 藤沢周平 (文春文庫)
初出 オール読物(1987〜1989)連載後文芸春秋より1989年刊行。

海坂藩が舞台の武家ものの4編からなる円熟期の中編作品集。
通常の藤沢作品の短編の倍ぐらいの長さがあるので、それぞれの登場人物の人生が意外と克明に描かれています。
確かな伏線が敷かれていて、かつそれぞれ決闘シーンがありハラハラし緊迫感があります。
その決闘シーンも、読者は“避けられなかったんだな”と納得して読めます。
全編通して静謐な文章の中に潜む、葛藤しつつも力強く正義を貫く生きざまを堪能できます。

本作は武家ものなんだけど、私たちの日常に通じるテーマが描かれていてとても他人事とは思えません。
いつの時代も不正ってありますよね(笑)
いずれもがそんなに身分の高くない人物が主人公なので、読者も低い位置からまるで自分のことのように物語の中に入っていけます。

最もハラハラするのは表題作の「麦屋町昼下がり」ですね。自分より明らかに強い弓削新次郎との対決が迫る緊張感。相手との決闘がいつになるやらと思わずにいられません。
婚約相手がたまに見え隠れするところも意地らしく感じました。
意地らしいのはドラマ化もされたラストの「榎屋敷宵の春月」、女主人公・田鶴の強い生き様と彼女の主人の頼りなさのコントラストが印象的です。作者が天国より男性読者に叱咤激励してくれているみたいに感じられました。
インパクトの強い作品です。亡兄を理想とすることによってより激しく芽生えた友人三弥との競争意識。でも主人公は感服するほど力強く生きています。
あとは「三ノ丸広場下城どき」の重兵衛と茂登との恋の行方も物語のサイドストーリーですがほのぼのしてて楽しいです。
「山姥橋夜五ツ」の離縁した孫四郎と瑞江との行く末も気になりました。

藤沢作品の中ではミステリー仕立てでエンターテイメント性も高い方だと思うのですが、もちろんそれだけではありません。
結構友情が描かれていて、その中には純粋なものもあれば、妬みや競争心を煽られている話もあります。
そしてどの話も結果はどうであれ主人公たちの正義が貫かれているのですね。
決して勧善懲悪的な話ではありません。
かなり清々しく読めますので感動すると言うより作者の手だれぶりを十分に味わうべきですね。
理不尽なことに対してどう対処して生きたらよいのかという処方箋となりうるというか方向性を読者に示唆してくれていると言ったらよいのかな。

巧みなストーリーテリングに身をまかせながら楽しくて人生の勉強になる読書タイム、藤沢作品の真髄を味わえる贅沢な作品集です。

評価8点
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 21:25 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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