Search
Calendar
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
<< February 2020 >>
Sponsored links
徘徊ブログ
読書メーター
トラキチの今読んでる本
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
最近読んだ本
トラキチの最近読んだ本
鑑賞メーター
トラキチの最近観たDVD
New Entries
Recent Comment
Recent Trackback
Category
Archives
Profile
Links
mobile
qrcode
RSSATOM 無料ブログ作成サービス JUGEM
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

posted by: スポンサードリンク | - | | - | - |-
『赤ひげ診療譚』 山本周五郎 (新潮文庫)
昭和33年オール讀物三月号〜十二月号まで連載後、昭和34年文芸春秋より刊行。
作者55歳の時の作品。

学生時代以来の再読。

一般的には本作と『さぶ』そして『樅の木は残った』の3作品あたりが代表作となるのでしょう。
本作は8編からなる連作短編集と言えそうです。

もっとも読ませどころは、やはり登こと保本登が初めは不貞腐れて医師見習いとして小石川養生所に住み込みとして働くようになったのですが、赤ひげこと新出去定をやがて慕っていく過程が登の人間的成長とあいまって読者の共感を誘わずにいられないところです。
これは衆目の一致するところですが、それ以外にも他の時代小説の作品よりもインパクトの強い要素が盛り込まれています。
初めは婚約者のちぐさに裏切られ、失意の底にあった登で初めは赤ひげに反抗的な態度をとります。
そして徐々に(話が進むに連れて)心を開いて行きます。

やはり他の登場人物もそうですが赤ひげ先生の個性の強さが際立っているような気がしました。
しかしながら学生時代に読んだ時は赤ひげ先生の言葉があまり心に響きませんでした。
ちょっと距離の遠い存在だったというか読み込みが浅かったのですね(汗)
今回は自分自身、登より赤ひげの年齢に近くなったのでズシンと心に響きました。
彼は一見達観しているように見えます。事実そういう面もあると思います。
でもそれだけじゃなく、世の中に憤りを感じているのですね。
その憤りは私的には登以上に赤ひげが感じていると思います。

その憤りを作者は結構容赦なく物語の中にいろんな心に病を持つ人を登場させることによって読者に知らしめようとします。
そしてそれぞれの話(事件と言った方がいいのかな)を赤ひげと登で対処して行きます。
もちろん登のフィルターよりも赤ひげのフィルターの方が厳しい視点ですわ。
それを確かめれただけでも再読の価値があったと言えますね。
何冊周五郎作品を読んだかにもよると思いますが、作者の哲学の集大成が語られていると言っても過言ではないような気がします。
読みこめば読みこむほど、赤ひげ先生が一見とっつきにくい存在からカッコよくて立派な存在に変わるのだと思います。
病院(診療所)を舞台としているだけに、単なる人情話だけでなく命の大切さや人間の本質を問うより厳しい物語となっています。
作者は天国から読者に対して、現代においても人間は精神的に貧乏であってはならないと読者に諭してくれているのだと思いますね。

逆に主人公・登の成長はサイドストーリーともなっている恋物語の行方で読者に通じるところが楽しいですね。
登がちぐさからまさをに対して理解するところは本当に心地よくほっと胸をなでおろせます。
まるで作者がコツコツやれば人生いいことがあるものだと教えてくれているようですね。

読者にとって本作は主人公登の恋物語も含めた成長物語としても楽しめ、また世の中というか人生と言うか両方ですね、その厳しさを学ぶこともできます。
いわば一粒で二度おいしい作品で噛めば噛むほど味わうことが出来ると思います。
なぜならたとえ内容が分かっていても再読すれば自分の成長と達観度を窺い知ることが出来るからです。

それぞれの話、泣かせる話が盛り込まれていてそれだけでも感動的なのです。
個人的には登が赤ひげ先生をリスペクトして行く過程がもっとも感動的だと思います。
そういった気持ち、現代人は忘れがちですよね。
人間、“誰しもこんなはずではなかった”ということがあります。
そういう逆境に陥った時に本作を思い出すと必ず読者の味方となってくれる一冊であると確信しています。

私は3回目はもっと早く読もうと思っています。
次に読めば今回以上に登が赤ひげ先生の人格に魅せられていく気持ちがわかると思いますから。

評価10点。
posted by: トラキチ | 山本周五郎 | 20:02 | comments(0) | trackbacks(0) |-
スポンサーサイト
posted by: スポンサードリンク | - | 20:02 | - | - |-









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック