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『さよなら渓谷』 吉田修一 (新潮社)
評価:
吉田 修一
新潮社
¥ 1,470
(2008-06)
<本作で“運命”の怖さを私たち読者は知ることになる。>

「週刊新潮」に連載されたものを単行本化。
ひさびさの“よっしゅう”こと吉田修一作品。

ご存じの方も多いと思うが、吉田さんは2002年に『パークライフ』で芥川賞、『パレード』で山本周五郎賞を受賞。
当時純文学とエンタメ系の両方の賞を受賞したことで話題となった。
その後、どちらかといえば若者の都市生活を描いたエンタメ系作品を中心に活躍、2007年に殺人事件を題材とした『悪人』を上梓し新境地を開拓、ますますその作品の幅が広がってきている。
本作は『悪人』と同系統のクライム系の作品。

物語は息子を殺害した疑いで、立花里美という名の若い母親が逮捕されるところからはじまる。
しかし主人公は彼女ではなくその隣人夫婦である尾崎俊介とかなこ。
彼らの過去に起こった事件から物語が動いていくのである・・・
吉田さんは人間の根底に潜む心の葛藤をさりげなく描写する力に長けた作家である。
本作では“性犯罪”というやり切れない題材を敢えて使って、男性読者が読めば女性の気持ちが、女性読者が読めば男性の気持ちがわかるいわば大人の教科書的な作品である。
上記のように述べるのは簡単であるが、やはり納得いかないと思われる方(特に女性読者)が多いのであろうとは容易に想像できる。

本作は展開的には多少ハラハラドキドキし、まるで桐野夏生さんが書いたような作品であろうと感じた。
どちらかと言えば、社会風刺作品というより究極的な恋愛を描きたかったのであろうと作者に代わって代弁したいのであるが。
どうしても女性の方が大変というところを女性作家が書いたように描き切るのは無理があったようにも思えるのである。

吉田さんも欲張り過ぎたのかもしれませんね。
レイプ事件のあとの長い道のりの険しさ、とりわけ女性側の悲惨さ。
男女お互いに人生を引きずるのだがその重さには雲泥の差がある。
やはり男性側の都合の良さがどうしても浮き彫りになって、恋愛感情が湧くとは思えないかな、一般的に。

ちょっと脱線しますが本作において再認識した点もあります。
それは吉田さんのところどころに出てくる風景描写の巧みさ。
これは他の作家では味わえないほど卓越していると思うのである。
吉田さんの風景描写が上手ければ上手いほど、いいスパイスとなって登場人物の心情の変化が余計に読者の胸に焼きつくのである。
現在・過去あるいはいろんな視点で物語は語られます。
とりわけ記者として登場し、過去を暴いていく役割を演じる渡辺とその部下の小林の存在かつ描写が物語全体をピリリと引き締めている。

少しネタバレとなりますが、正直言ってあの二人が一緒に住むこと自体考えられないという気持ちは強い。
本作の評価が分かれるポイントだが、私的にはそれぞれの心の動きの描写を評価すべき作品であると考えています。
ただし、欲張りな読者にしたら納得が行かないという烙印を押されても仕方ないかなと思ったりもするのである。

ほとんどの読者はやるせない気持ちで本を閉じることになります。
だから余計にテーマが重いだけにドラマティックに描こうと挑戦した吉田さんをファンのひとりとして讃えたいと思います。

初期の作品と比べて吉田さんの成長を窺うことができたのは、吉田作品を読むと読者は必ず何かを考えさせてくれるようになった点であろう。

確かにわずか200ページの中でこんなに内容の詰まった作品、滅多に出会えませんよね。
あなたも是非ご一読して一緒に考えてください。

面白い(8)

ショートさんの感想

posted by: トラキチ | 吉田修一 | 15:47 | comments(12) | trackbacks(5) |-
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当ブログへコメントとトラックバックをありがとうございます。

あの二人が一緒に住むことについては、私は理解できる気がします。女性には大変辛い過去があり、それを知った人は必ずしも女性に同情や理解を示してくれるとは限りません。むしろあの男性とダラダラした同居を続けているほうが、女性にとっては楽なのだろうと思いました。
| pandora | 2009/02/08 5:30 PM |
濃い内容のお話でした。
やるせない気持ちのまま本を閉じたひとりです。
これからどうするのでしょう?
| | 2009/02/08 8:06 PM |
恋をするたびに自分が犯罪被害者であることがいつか知られてしまうのではないかとおびえて暮らす。
そんなことも思って、辛くやるせない物語でした。

また一番下になりそうですね。
問い合わせの件、よろしくお願いします。
| 藍色 | 2009/02/09 2:21 AM |
>pandoraさん、こんばんは♪
正直、この作品の感想はかなり書きにくかったです。いまだにどうなんだろうって思ったりしてますね。
現実的にはありえないんだけど、理解はできるということですね。
それだけ辛い境遇だということなのでしょうね。

>花さん、濃すぎて濃すぎて読者泣かせな面もありますよね。
凄くインパクトの強い作品だったと思います。
あのふたりはもうだめなんじゃないかなとは想像してますが、どうなんだろう(笑)

>藍色さん、こんばんは♪
凄く吉田さんの意欲がうかがえる作品でした。
掲載元が「週刊新潮」で吉田さんの初の週刊誌連載だったらしいです。
だから男性読者を意識して書かれた部分もあるのかなとも感じるところがありました。
逆に女性雑誌には連載しにくいでしょうが・・・
吉田さんらしいといえばそうなるのですが、着地点がはっきりしないとは思いました。
問題提起はできてるのですが。
そこがちょっと複雑ですよね。
| トラキチ | 2009/02/09 8:48 PM |
こんばんは。
お返事遅くなりました。
たしかにこれほど短いなかにギュっと内容が詰まっていて、色々考えされられて。
吉田さんすごいです。
| なな | 2009/02/09 9:23 PM |
トラキチさん、こんばんわ。
私もあの二人が一緒に住むというのはショッキングなことだとは思うんですが、読んでいくうちに、ありえるって思えました。そのあたり、男性読者と女性読者の違いがあるんですかねぇ。
この本、薄いのに読み応えがあるって思ったんですけど、200ページだったんですね。それでこの内容。本当にすごいですね。
| june | 2009/02/09 9:43 PM |
トラキチさん、こんばんは。
読み応えのある作品でしたね。

恋愛って、決まった形があるわけではなくて。この二人の結びつきは、この二人だけのものなのでしょう。普通なら憎みあうはずの二人が、なぜ共に暮らし、お互いを必要とするのか・・。私には、それがわかるような気がします。事件の後の人生の中で、まっこうから向き合うことができた唯一の存在だったからではないのかな・・。そのあたりの複雑さを描いた筆は見事だったと思います。
| ERI | 2009/02/09 9:44 PM |
>ななさん、こんばんは♪
そうですね、無駄な文章が一切ないというか寄り道せずに書かれた作品だと思います。
デビュー当時は若者たちの兄貴分的な要素もあったと思うのですが、私がネット離れてる間にどんどん作家としての腕を上げているように思います。

>juneさん、こんばんは♪
この作品の女性の方の感想は繊細で本当にまるで自分のことのように書かれていて吉田さんも幸せだと思います。
私はちょっと読み取れてない部分があるというか、肝心なところ(恋愛部分)が理解できていない感じですかね。
中身のある200ページだったのはわかっておるのですが(汗)

>ERIさん、こんばんは♪
ERIさんのおっしゃってることが吉田さんの本意だと思います。
私は男性読者だから、かなこが罪を押しつけててそれを否定しなかった俊介に優しさを感じる部分があるんですよね。
そこが甘いところだとはわかってはいても。
| トラキチ | 2009/02/10 7:43 PM |
TBさせていただきました。
| short | 2009/02/10 11:38 PM |
ショートさん、こんばんは♪
TB届いてないみたいなので記事の最後にリンク貼らせていただきましたよ。

ありがとう。
| トラキチ | 2009/02/11 1:24 AM |
TBが遅れてました。
こちらとオーデュボンの祈り、返させていただきました。
記事の移設、うれしいです。
こちらから、ラッシュライフ、アヒルと鴨のコインロッカー 、TBさせていただきました。
あれ?重力ピエロは?です。

オススメ本、私もさせてください。
・ヘルマフロディテの体温 小島てるみ
・ほしのはじまり―決定版星新一ショートショート 新井素子編
・リプレイ  ケン・グリムウッド
とりあえず三冊です。図書館本でぜひ。

余談ですが、ちえこあさん、お元気なのですね。
ブログが止まってたので心配してましたが、たぶん、SNSでご活躍なのでしょう。
私はSNSまで手を広げられないです。

ではTBお待ちしていますね。
| 藍色 | 2009/02/16 10:39 AM |
藍色さん、こんばんは♪

本のオススメありがとうございます。
これからリストにアップさせていただきますね。

『重力ピエロ』はちょっと文章が稚拙すぎてやめました。再読したらまたアップします。

ちえこあさん、元気ですよ。

TBありがとうございました。
| トラキチ | 2009/02/16 8:43 PM |









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2009/02/08 5:14 PM
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