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『よるの美容院』 市川朔久子 (講談社)
評価:
市川 朔久子
講談社
¥ 1,365
(2012-05-23)

第52回講談社児童文学新人賞受賞作品。児童書というジャンルにはあんまり馴染がなかったのですが、『紙コップのオリオン』を読んでデビュー作も読みたい衝動に駆られました。簡単に言うと大人が読んでも十分に琴線に触れる作品を書きはるということですね。
瀬尾まいこさんの『図書館の神様』等が好きな読者には是非手にとって頂きたい作品です。
主人公のまゆ子は小学6年生の女の子です。自分の何気ない言葉のせいで友人のタケルを交通事故に遭わせてしまい、そのショックのために言葉を発せない状態となり、親元を離れて親戚で“ひるま美容院”を営むナオコ先生と一緒に暮らしています。

そこでまゆ子は自分自身を取り戻して行きます。その過程が見事に描かれているのですが、何と言ってもまゆこの読者サイドからみても思わず応援したくなるキャラの描写が素晴らしいですね。
サワちゃんや颯太やダジャレ好きな古本屋の主人など、まゆ子を取り巻く人物も凄く和める人ばかりなのですね。
とりわけ颯太の登場の仕方とまゆ子に与えるインパクトの大きさは称賛に値しますし、大半の読者が同意見だと思います。
そのあたり、作者の人となりがまゆこの人格にも乗り移ったかのように見受けられ、とっても感動しました。

後半の物語の真相が明らかになってゆく過程は心地良さこの上ありません、それはやはり親元を離れて環境が変わっても前向きに生きてゆくことの大切さを失わず、充実した生活を過ごした日々のおかげなのですね。
タイトル名にもなっている“よるの美容院”という言葉も読者にとっては印象的であります、それは定休日である火曜日の前日(月曜日)の夜にまゆこがナオコおばさんにシャンプーしてもらっている光景から由来しています。
まゆ子にとって、美容院での想い出はこの言葉に凝縮され、今後の長い人生にとって大きなプラスとなりました。私は少しギクシャクしている母親との関係も必ず修復されると信じて本を閉じました。

評価9点。
posted by: トラキチ | 児童書 | 14:17 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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