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『我が家の問題』 奥田秀朗 (集英社文庫)
柴田錬三郎賞を受賞した『家日和』に続く家庭を題材とした6編からなる短編集。この人の特長はやはり読者にとって安心して身を委ねられるところなのでしょう。
どの編もどこの家庭でも起こり得る話ですが身につまされるというよりも面白さを感じる度合いの方が高いと思います。

滑稽さの中にも相手に対する思いやりが包まれているので夫婦で回し読みをすれば理解を深めることが可能だと感じます。「里帰り」なんかにはそのヒントが多く詰まっていると感じます。
特に印象深いのは『家日和』でも登場した夫婦が再登場する「妻とマラソン」でしょうか、これは夫役が奥田さん自身を彷彿されて読者にとって心に残る作品となりました。少し文壇を揶揄しているところがあってこれはクスッと笑えます。

いずれにしても、どんなに切実な問題でも気持ちの持ち方で軽くなるということがわかります。そこに行きつくには本作で作者が見せつける視点というか目線の違いが上げれると思います。家に帰るのが嫌になる夫目線、主人が仕事が出来るのかを疑う妻目線などなど。決して泣ける話ではありませんが心が満たされて本を閉じることが出来ること請け合いの一冊だと言えそうです。

評価8点。
posted by: トラキチ | 奥田英朗 | 23:45 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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