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『いつかパラソルの下で』 森絵都  (角川文庫)
評価:
森 絵都
角川グループパブリッシング
¥ 540
(2008-04-25)
(2005/05/05)

前作『永遠の出口』から約2年の沈黙を経て森絵都さんが何と前作以上に“心に残る一冊”をもたらせてくれた。

『永遠の戸口』はジャンル的には青春小説だと言えそうだが、本作は少し恋愛面が加味された家族小説に分類される作品なのであろう。
前作は圧倒的に女性読者向けの作品だと言えそうだが、本作は性別・世代を超えて楽しめる作品に仕上がっている。

絵都さんの素晴らしい点は何はともあれ表現力の豊かさに尽きよう。
登場人物ひとりひとりの人物造型の的確さ。
読者は安心して作品に身を委ねられるのである。

この物語では過去に絵都さんが書かれた児童書では想像もつかない大人の世界を描写している。
いきなりの冒頭のシーンに驚愕された方も多いはず。
達郎には噛み癖があって、それは遠慮がちな甘噛み程度のものにすぎないけれど、達する一瞬だけは制御不能になるらしく、歯と歯のあいだを鋭い痛みが駆けぬける。それは私の痛みだ。
少なくとも私たちが本書に没頭する際には“児童作家の森絵都”という先入観を捨てなければバッターボックスに入れない。
性描写と父親の不倫問題、ひとつの作品に大きな2つの事件(と言った方が適切だと思う森さんの場合)を同居させたのである。
児童書からの絵都さんのファンの方にはヤキモキされた方がいらっしゃるんじゃないだろうか・・・

私は絵都さんの“挑戦”を支持したくと思う。
なぜなら、作家には“変化”が必要であるからだ。

青春のほろずっぱさが売り物だった前作『永遠の出口』の主人公紀子と、本作の主人公野々は似ている面もあるが実は全然描き方が違うのである。

ひと言で言えば紀子の方がずっと平凡な人生を歩んでいる。

本作の主人公である柏原野々25才。厳しい父親から離れていった過去を引きずって生きている。
実家を離れてからの五年間、私は東京やその周辺の町で自分の新しい生活を開拓するのに必死だった。ようやく手にした自由を一寸たりとも無駄にはしたくなかった。すべてを自分で選べるのなら、楽しいこと、明るいことだけを選んで、いつも浮かれていたかった。この世界をむさぼり、丸ごと受けいれて、愛していようと思った。

忘れてはならないのは亡き父との繋がりだけでなく、兄と妹、しいては佐渡島で出会う愛ちゃんとの繋がりまでも丁寧に描き、読者の気持ちを和らげてくれている点である。

本作の内容を語りだせば本当にいくら時間があっても語り尽くせないと思う。
端的な例を示せば、ただ単に予定調和的な終わり方だとがっかりされる方がいらっしゃるかもしれない。

しかしながら私達読者は絵都さんの見事な文章に身を委ねられた“至福の時”を忘れてはならない。
たとえば兄弟愛(野々、兄、妹)を強く感じるのもいいだろう。
親子愛(亡き父親)を分かち合うのもいいだろう。
主人公の恋人(達郎)に対する愛情に共感するのもいいだろう。

人は誰しも辛いことを背負って生きている。
長く生きれば生きるほど、過去を振り返り“あの時ああしてたら・・・”と思うことが多い。
本作における3兄弟での佐渡島行き(亡き父親の過去を調べるため)には小説を通り越して惜しみない拍手を送りたい。

絵都さんは人生を学び取る恰好の機会を提供してくれた。
私たちも期待に応えなければならない。
現状を踏まえながらも、明日から少しでも“現実打破”出来るようにまず身の回りの人、たとえば夫(妻)、子供、父親、母親、友人、恋人、先輩、上司、同僚、誰でもいい。

少しずつでも相手の気持ちをわきまえて接することが出来たら、日頃私が小説を読むに際して一番大切なことだと思っている“何かを感じ取ることが出来た!”と言えるんじゃないかな。

明日からの生活、少し主人公と同様に自分の人生を見据えれるような気がするのは気のせいであろうか・・・

この小説がもたらしてくれた大きな大きな収穫であるに違いない。
誰の娘であろうと、どんな血を引こうと、濡れようが濡れまいが、イカが好きでも嫌いでも、人は等しく孤独で、人生は泥沼だ。愛しても愛しても愛されなかったり、受けいれても受けいれても受けいれなかったり。それが生きるということで、命ある限り、誰もそこから逃れることはできない。


オススメ(9)

posted by: トラキチ | 森絵都 | 21:49 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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