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『海鳴り』(上・下) 藤沢周平 (文春文庫)
再読。単行本の刊行が1984年ということですでに30年余りの年月が経ているが、今回改めて手に取って、大体の粗筋はわかっているものの、作者の達者と言えば失礼かもしれないが、端正この上ない文章の心地よさに酔うことが出来た。やはりこれは読書の醍醐味に浸ることが出来たということであろう。藤沢作品は海坂藩の存在もあって武家物の方が市井物よりも著名な物が多いけれど、本作のように少し隠れたところで佳品とも名品とも言うべき作品が隠れている。それはやはり登場人物の地味が故に読者が心揺さぶられる物語が展開されているということが要因ではなかろうか。上巻では主人公である紙問屋の主人小野屋新兵衛が46歳になり老いを意識し始めるところから物語がスタートする。あくせく働いてきて今の地位を築いた彼であるが、妻とは不仲であり頼みの息子が放蕩者で悩みが尽きない彼は、あるきっかけで他の紙問屋のおかみであるおこうという魅力的な女性と知り合う。商いの方でも策略にはめられ孤立してゆく新兵衛は、いけないこととはわかっていながらおこうに逢いたいという気持ちが募るばかりとなります(下巻へ)

本作の魅力はやはり現代にも通じる部分が読者に伝わるところだと感じる。家庭、夫婦、親子、仕事、そして男と女(人生と言った方がベターかな)について深く考えさせられます。男性読者目線で言えば、新兵衛の心情がとってもよくわかり共感できます。そしてほとんど間接的にしかわかりませんが、おこうという女性、やはり魅力的です。「蝉しぐれ」のふく、「三屋〜」の里江と並び称したい。

下巻に入り、新兵衛のおこうに対する気持ちはとどまることは知りません。私たちの住む現代社会においての不倫と江戸時代におけるそれとには、許されないという意味合いにおいては同じかもしれないけれど、江戸時代においては表ざたになれば死罪にもなるというほど命がけなことがらであった。上巻で口止め料を払った彦助が再び脅しを始めたり、あるいは長男が命を落とそうと試みたり、商いにも窮地に落ちていくのですがやはり読ませどころは新兵衛とおこうが密会を重ねるたびに交されるさりげない会話が、これで終わりかもしれないという緊迫感を含んでいてとっても印象的であるところです。ラストは賛否両論があってしかりですが、藤沢氏が描くとどうしても2人を応援したくなってきます。無事に水戸に着いたのでしょうか。犠牲が大きく前途多難だとは言え、2人の選んだ道に拍手を送りたいと思います。
タイトル名となっている海鳴りは主人公の心の不安を表現した言葉だと思いますが、読み終えて上巻の2人の出会いのシーンのページをめくると、やはり2人の出会いは運命であったということを強く感じた。人生に後悔なしということであろう。

評価9点。
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 22:51 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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