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『霧 ウラル』 桜木紫乃 (小学館)
評価:
桜木 紫乃
小学館
¥ 1,620
(2015-09-24)

初出「STORY BOX」加筆修正あり。釧路がホームグラウンドの作者が釧路よりもっと道東である国境の町根室が舞台の三姉妹の物語で作者の繊細かつ力強い文章を堪能できる作品である。
時は昭和三十年代、他の桜木作品と毛色の違うのは三姉妹がその土地の有力者と呼ばれるべき河之辺家の出であるところでいわば貧困感が一切ないところであろうか。
主人公格で次女の珠生は三姉妹の中で最もアウトロー的な生き方をしていて、花街の世界に飛び込みその後ヤクザに嫁ぐのであるが、小説の世界とは言え夫である重之の描かれ方は職業は別として魅力的に描かれていて彼の成り上がりストーリーとして読んでもそれなりに楽しめそうである。

一方、長女の智鶴は政界入りを目指す運輸会社の御曹司に嫁ぎ、珠生とは逆に計算高い人生を進んでいるが、やはり次女が家を飛び出したから抑圧されてる面も根底にあるのであるが、次第に男性(とういか嫁いだ家庭)を翻弄してゆく姿が珠生の翻弄されている姿と対照的である。三女の早苗は2人の姉の愛憎を両睨みして生きている姿が健気なように見えるけれど実は選択肢のない人生を歩んでいて儚いと感じる。

舞台が根室なのは根室半島の前に国後島が聳えて見え、登場する男たちの出自や根室を支配する人たちとの利権に関わるところが凄くタイトル名ともなっている霧のようであり、登場人物たちの運命に翻弄されそうであっても迷いながらも自分自身の意志で生きて行こうとする姿の象徴のように感じるのである。

物語全体として、他作に漂う貧困さが滲み出ていないために決して悲しくはないけれど、終盤に明らかになる珠生の夫や夫の愛人の行く末を受け入れながらも夫の愛人の娘を育てようとする珠生に、強い夫に対する愛情を感じた。要領の悪い人生だとも言えるかもしれないけれど、三姉妹の中で一番好きな人生を選んだのも事実で後悔はしたくないのであろう。
彼女の選んだ人生を応援してあげたい気がする。
彼女の人生は儚いけれど力強い。

評価9点。
posted by: トラキチ | 桜木紫乃 | 18:24 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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