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『西洋菓子店 プティ・フール』 千早茜 (文藝春秋)
初出「オール讀物」。西洋菓子店を舞台とした6編からなる連作短編集であるが、舞台は甘さが漂っているのに内容がビターであるところが特徴だと言える。
最初と最後が主人公格である亜樹が語り手となっているが、残りの4編は語り手が代っており、概ね亜樹を取り巻く婚約者である弁護士である祐介と亜樹の後輩である澄孝との三角関係を中心に読んでいくと面白いと感じる。
子供時代のトラウマが原因で尖ったというか可愛げのない女の子として描かれている亜樹ですが、手厳しく描かれている様が千早作品のお決まり事のようにも感じられる。読者に対して生きることに対してもがき苦しんでいる姿を敢えて描写しているかのごとく。

個人的には澄孝を追いかけているミカという女の子の章がもっとも意地らしくて印象的で、亜樹に対してはあまり共感できなかったけれど、客観的に見ると人生そんなに楽しいことばかりではないけれど、自分の人生に向き合って生きていく真摯な姿が祐介や澄孝にとって魅力的なのでしょう。
年齢を重ねるにつれ、亜樹はお爺さんにより似た存在に成長しそうですね。今までは不器用だけだったのかもしれません。澄孝やミカの将来の姿も読んでみたい気がする、続編希望。

若手女性作家では個人的には畑野智美さん、千早茜さん、彩瀬まるさんの作品は出来ればコンプリートしていきたいと思っていて、少し作風は違うところが却って新鮮であります。軽い順から畑野→千早→彩瀬ということなのでしょう。読みわけが楽しいです。書き忘れましたが、本作は空腹時に読むと無性にスイーツが欲しくなります、悪しからず。

評価8点。
posted by: トラキチ | 千早茜 | 09:31 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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