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『家族のシナリオ』 小野寺史宜 (祥伝社)
評価:
小野寺史宜
祥伝社
¥ 1,620
(2016-06-14)

書下ろし作品。前作『近いはずの人』に続き作者の作品は2作目となるけれど物語の完成度は本作の方がまとまりが良いと感じ、遡って読んで行きたい作家のひとりとなった。

物語は一見普通に見えるのだけれど普通じゃない安井一家が描かれている。具体的に言うと、一家は夫婦と子供二人(男女)の4人家族なのだけれど、父親が離婚した元父親の弟(母親が離婚した夫の弟と再婚)であり、叔父→父親となった構図であります。
まあ一見平和そうに見えるのだけれど、母親がある日家族ではない男の人を看取りたいというところから物語が始まり高1で長男役の想哉が語り手となります。

通常、本作のような状態の家族はあくまでも家庭第一ということでしょうが、なかなかそうはいきません。元女優である血を引いた息子が難題を抱えつつも演劇に取り組み、見事成長を果たしてゆく姿は清々しく感じます。
読ませどころはやはり、母親が看取っている相手に息子や反抗期の妹が会いに行き交流を図るところなのでしょう。この交流が家族全体の結束を高めたことは明らかで微笑ましく感じられた方が多いのではないでしょうか。
一見いい人に見える叔父(現在の父親です)のAC/DCや息子のヒッチコックに傾倒している姿もユーモアと熱意に溢れていて、心地よい気分で本を閉じることが出来ます。作者の暖かいまなざしが十分に詰まった青春&家族小説を2冊読んだような気持にさせられる完成度の高い作品だと感じます。

評価8点。
posted by: トラキチ | 小野寺史宜 | 20:16 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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