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『明日の食卓』 椰月美智子 (角川書店)
初出「野生時代」。作者の魅力が十分に詰まった衝撃的な問題作だと感じる。昨今、国内外問わずにいろんな問題が起こっていて、平和というものについて一考せざるをえない状況であるが、本作を読むと平和と狂気は紙一重のものであると感じる。
女性にとって、子供というものの存在の大切さ・愛おしさを実生活で体験し、又これまでの作品で表現してきた作者の集大成的な本作はミステリーテイストも盛り込まれていて、最後にはハッとさせられる傑作である。

物語はまず冒頭でプロローグ的に描かれる母親が“ユウ”という男の子を殺めようとするシーンがあり、その後本編に入り3つの石橋家が交互に描かれている。共通するのは子供が小学三年生で“ユウ”という名前であるということ。家族構成や経済状況がそれぞれ違っているところが特徴であるけれど、一生懸命に生きていてそれなりに幸せであるというところが共通していて、読者としてはこのあとどう崩れてゆくのであろうか、どの家族が冒頭のシーンの家族であろうかと捲るページが止まりません。

どの石橋家の母親たちも、子供に対する愛情は並外れたものがあり、共感及び応援を強いられる読書なのだけれど、次第に崩れてゆく姿は目を背けたくなるほど苦しく、裏を返せば常に現実を直視している作者の想いが文章に乗り移って届けてくれているような気がする。印象的なのはフリーカメラマンをしている豊という名の駄目な父親、彼の子供に対する愛情の希薄さは滑稽さを通り越して、作者が世の子供を持つ男性に襟を正すように訴えかけているよにも感じる。
本作は前述したように冒頭の1ページのシーンがどの家族であるのかということが常に頭の中にあり、そのいわば謎解き要素が読者にとって目の離せない読書体験が楽しめる。いじめや認知症の問題にも言及していてとってもリアルであり、小学生のお子さんがいらっしゃる方が読まれたら、自分自身が3家族の中のどの石橋家に近いのかということを照らし合わせて読むことを余儀なくされるのであろう。私が感じるのはあくまでも3つの家族はモデルであって、作者は4つ目のモデルは読者自身の家庭なのかもしれませんと訴えかけているとも取れます。是非夫婦や友達同志で読みあって語り合って欲しいなと作者は願っているのでしょう。

作者はタイトル名にもなっている“明日の食卓”という言葉のように、世知辛い世の中だけれど常に幸せを模索して生きて行こうと私たちの代弁をしてくれているのでしょう。本作はとにかく心に響く物語であった。この夏素晴らしい本に出合えたことを嬉しく思います。

評価9点。
posted by: トラキチ | 椰月美智子 | 18:50 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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