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『ミスター・ヴァーティゴ』 ポール・オースター (新潮文庫)
 原題"MR.VERTIGO"、柴田元幸訳。文庫本の表紙から見るとファンタジー要素の詰まったほのぼのした作品であるように見受けられるけれど、そこはオースター、人生の厳しさをそこはかとなく教えてくれます。
但し他のオースター作品とは少し毛色が違った作品と言えばそれも当てはまりそうです。
かいつまんで言えば一人の少年(ウォルト)の波乱万丈な人生を振り返った作品であるのですが、人生は決して甘くなくアメリカ社会の厳しさと自由さが身に染みて来る内容はオースターのストーリーテラー振りが開花された作品であるともいえる。

時は1927年、セントルイスで、両親を亡くして孤児となり、情のない伯父夫婦のもとで暮らしながらも、 街で小銭をせびるような生活をしていた9歳のウォルトは、イェフーディ師匠と出会う。師匠は13歳までに空を飛べるようにしてあげるという。
何度も脱走しようとする彼だけれど、苦難を乗り越え、師匠のみならずイソップやマザー・スーとの親交も深め目的を果たす。子供は決して甘く見たらいけないものだけれど、本作を読むと本当の愛の大切さを体感できる。それは血が繋がっているか否かではなく、子供(主人公)自身が懐疑的になりながらも、本当に自分を想ってくれるものの大切さを理解し成長してゆくからである。
彼の成長はイェフーディ師匠の愛情なしではありえず、本作自身も師匠の愛情の深さを最大限に描写したいという気持ちの表れだと感じる。それはタイトル名のヴァーディコ(めまい)、主人公が空中浮遊をやめた原因なのですが、彼がその後成功を収める店の名前にもなっています。主人公は過去の苦しいことを糧にして頑張って生きてゆきます。
彼が師匠に対して当初、愛情を懐疑的にとっていたのが彼のコンプレックスですが、そのコンプレックスが運命に翻弄される彼の転落や再浮上を演出しているようにも感じられます。

ただ本作は主人公が77歳まで描かれていて、過去を振り返る作品となるのですが主人公のような壮絶な人生だけれど決して不幸ではない人生にも酔いしれます。

余談ですが、オースター作品には作者の野球好きのシーンが頻繁に出てくるけれど、本作はその最もたる作品だと言え、主人公が後半、自分と実在の野球選手とを重ね合わせるところが、ラストでウィザースプーンとの再会とともに印象的なシーンとなっているが、いずれにしても、イェフーディ師匠の悔やまれる死を無駄にしなかったところが本作の一番の読ませどころで、決してアメリカンドリームではないけれど、アメリカンフリーダムを巧みに描いた佳作だと言えよう。

評価9点。
posted by: トラキチ | 柴田元幸翻訳本 | 19:41 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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