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『ツバキ文具店』 小川糸 (幻冬舎)2017.12.05 Tuesday
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主人公の雨宮鳩子はすれ違った育ての親でもある亡き祖母の後を継ぐところから物語は始まる。
祖母のことを“先代”と呼ぶところが2人の隔たれた距離感を明確に表わしており、その二人のわだかまりがいかになくなりお互いの愛情がわかりあえるまでが克明に描かれているところは素晴らしいの一言に尽きます。
じわじわと読者に伝わるのはやはり登場人物ひとりひとりの個性的な魅力と心を込めて書かれるそれぞれの手紙に尽きます。
鳩子は代書をする機会毎に、何故代書を依頼してくるのであろうというそこにまつわる人間ドラマを考察することにより成長してゆきます。そしてその成長が祖母との距離感を縮めて行ったのでしょう。
読者にとって、本文中に挟まれる肉筆の文字が圧巻でありより感動度が増したような気がします。鳩子の境遇を自分に重ねて読まれた方も多かったと推測されます。続編も出たので是非読んでみたいと思いますし鎌倉にも無性に行きたくなりました。
評価9点。
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スポンサーサイト2018.04.15 Sunday
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