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『また、桜の国で』 須賀しのぶ (祥伝社
評価:
須賀 しのぶ
祥伝社
¥ 1,998
(2016-10-12)

直木賞候補作&高校生直木賞受賞作品。惜しくも直木賞は受賞できなかったけれど、読んでいて過酷で息苦しいがゆえに読者の心に迫るものがあり一人でも多くの方に読んでもらいたい作品であると言える。
作者はコバルト系小説の出身であり、近年は高校野球を題材としたシリーズ物も人気を博しているが、本作のようなヨーロッパを題材とした歴史小説がもっとも本人の目指すところであるように思える。

私たち日本の読者は、唯一の被爆国として戦争の悲惨さは小説を通しても多かれ少なかれ手に取った方があると思われるが、ヨーロッパ(とりわけナチスドイツ)を題材とした日本人が書いた作品にはほとんど手にする機会 がないのであろうと思われる。たとえ翻訳物として海外で書かれた反戦小説は手にしたことがあったとしても。
私は本作を読み終えて、作者の博学多才ぶりに度肝を抜かれたことと、あまりにヨーロッパ(とりわけポーランド)の歴史に乏しかった自分自身に恥ずかしい想いをせざるをえなかったことを書き留めておきたい。

ヨーロッパの国は日本と違って陸続きであるがゆえに絶えず侵略される危機にあり、本作の舞台であるポーランドもドイツとロシアに挟まれているという気の毒なロケーションで、文字通り悲惨な歴史を刻んできたのであるが、本作はその中でもクライマックス的出来事である第二次世界大戦からワルシャワ蜂起までを中心に描いた究極の反戦物語であると同時に究極の友情の物語 である。

主人公を含めた三人の男たちがいずれも魅力的で物語を活性化させています。
主人公の棚倉慎は、国籍は日本人ではあるが、ロシア人の父を持ち、容貌はロシア人。彼がワルシャワの日本人大使館の書記官として赴任するところから物語が始まるのですが、悪化する状況にも関わらずポーランド人のために全力を尽くしワルシャワ蜂起に参加します。重要なことは主人公は日本人でありドイツと同じ同盟国側の人間であるにも関わらず、ポーランドに同調するところであります。
あとはユダヤ人カメラマンであり祖国ポーランドでも差別されるアウシュビッツから逃走するヤン・フリードマン、そして「愛国者」としてふるまう連合国側のアメリカ人記者であるレイモンド・パーカー。タイトル 名は大体流れ的に想像がつくのですが、民族とは、国籍とは、友情とは、信頼とはなどいろんな問題に対して方向性のある答えを導き出してくれている有意義な読書体験ができる作品です。

本作が描かれている時代は、たとえ個人がどんな信念を持っていても、国家の力によって捻じ曲げられた時代であったけれど彼らの行動の美しさは見習わなければなりません。
ショパンがポーランド人というのも知らなかった私が、ワルシャワを訪れたいという衝動に読後駆られました。作者の作品これからも読み進めていきたいと思っております。

評価10点
posted by: トラキチ | 須賀しのぶ | 07:56 | comments(0) | trackbacks(0) |-
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