-
『ボート』 ナム・リー著 小川高義訳 (新潮クレスト・ブックス)2010.03.30 Tuesday
-
新潮クレスト・ブックスは過去にジュンパ・ラヒリを筆頭にしてたくさんの新人作家を発掘し紹介して来ました。
その多くが短編集であることはご存じの方が多いことでしょうね。
作者のナム・リーはベトナムで生まれるものの生後3ヶ月めに両親とともにボートピープルとして国外へ脱出、マレーシアの難民キャンプを経由してオーストラリア・メルボルンで育ったのち、アイオワ大学に学んで作家の道を歩みはじめました。本作がデビュー作品集となります。
この作品の評価って正直本当に難しいですね。
ラヒリの訳者で有名な小川高義さんが訳しているのですが、たとえばラヒリの訳文のような静謐さも感じないし、そして文章の流暢さも感じないのですね。
共通点はやはり移民系作家ということなのでしょうが、やはり両者のあいだには“愛国心”ということでは大きな開きがあると思われます。
いわば、本作の作者は“母国を捨てた人”なのですね。
移民系作家の本質的な特徴としては、母国語ではないが故に書きたいことを書けるという部分は大きく、読者の共感を呼ぶのでしょうね。
ここで敢えて“共感”と“共鳴”という言葉を使い分けたいのですが、私なりには次のように解釈しています。
ラヒリの『停電の夜に』には“共感”を、そして本作には“共鳴”を覚えることが出来るのですね。
これは言葉では説明しにくくフィーリングで感じ取るものだと思うのですが、なんとなくふたつの言葉の違いが微妙にふたりの作家の特徴を表しているような気がします。
-
今日買った本、そして新ドラマ『八日目の蝉』。2010.03.29 Monday
-
『オー・ファーザー』 伊坂幸太郎 (新潮社)
伊坂さんの作品を刊行されてすぐに読むのは4年ぶりぐらいでしょうか。
この作品は新聞連載されてた作品で、どうやら氏の代表作と名高い『ゴールデン・スランバー』の前に書かれたみたいですね。
あとがきを読むとこの作品が“第一期最後の作品”で『ゴールデン・スランバー』からが“第二期”らしいです。
さっそくこれから読み始めます。
そして角田光代さんの『対岸の彼女』と並び評されている『八日目の蝉』が明日からNHKの新ドラマ枠で全6回でオンエアーされます。
キャストは檀れいに北乃きい。
角田さんの他の作品とは違ったサスペンスタッチがいかに映像化されてるか楽しみです。
NHK公式サイトはこちら
-
今日買った本、そして明日からの予定本。2010.03.26 Friday
-
文庫本6冊買ってきました。
★『サーカスの息子』(上・下) ジョン・アーヴィング著 岸本佐知子訳 新潮文庫
岸本さん唯一のアーヴィング訳です。インドを舞台とした内容みたいです。
★『ねじまき鳥クロニクル』(第1部〜第3部) 村上春樹 新潮文庫
★『想い雲 みをつくし料理帖』 高田郁 ハルキ文庫
好評の書き下ろし文庫で早くも第3弾ですが、2冊目まだ積んでます(汗)
新潮クレスト・ブックスの『ボート』があとラスト2編です。
野球も始まり忙しいのですが頑張って読んでいきたいです。
明日からの5冊ぐらいの予定は次のように考えてます。
本当にジャンルがバラバラですわ(汗)
『ポトスライムの舟』 津村記久子 (芥川賞受賞作)
↓
『さくらんぼの性は』 ジャネット・ウィンターソン著 岸本佐知子訳
↓
『風の歌を聴け』 村上春樹
↓
『50歳の恋愛白書』 レベッカ・ミラー著 中野恵津子訳
↓
『乳と卵』 川上未映子 (芥川賞受賞作)
-
『太陽のパスタ、豆のスープ』 宮下奈都 (集英社)2010.03.25 Thursday
-
初出“青春と読書”を加筆・修正。
宮下奈都さんの最新刊です。
よく男性を形容する言葉として“誠実な”人と言いますが、宮下さんの文章から類推するに“性別を超えて”誠実な人(女性)なんだなと感じますね。
読者として安心して向き合え、そして身を委ねられる作家というのはなかなか邂逅できないのですが、そういった数少ない作家だと言えそうです。
彼女の魅力はその文章から醸し出される“温かい眼差し”ですね。
本作においてもその温かい眼差しは如何なく発揮されていて、読者は堪能することが出来ます。
物語の冒頭で、主人公のあすわは婚約破棄されます。
いきなり大きなものを失ってしまい失意のどん底へ落ちちゃいます。
読者としたら何かあすわに欠点があるのではないかと思うのですね。
そこで自分を取り戻すために、個性的な叔母のロッカさんからの提案で“ドリフターズリスト”を作成します。
自分の今やりたいことを見つめなおしリスタートしたあすわ。
やはりリストを作ったことよりも、周りに励ましてくれる人がいるということがあすわを変えたのですね。
叔母の他には幼馴染、会社の同僚、そして弟などなど。
それに気がつくことによって再生が完了するのですね。
それにしてもタイトルにもある食べ物の描写が象徴的ですね。
やはり普段あんまりスポットライトの当たっていないというか身近なものを取り上げています。
そして何よりもロッカさんとあすわの会話が楽しいんですね。
特に引越してからの何気ない会話がクスッとさせられます。
-
『偶然の音楽』 ポール・オースター著 柴田元幸訳 (新潮文庫)2010.03.24 Wednesday
-
原題 “The Music of Chance”
構成的には前半と後半とでは全然違いますが、いろんな成り行きがあってこそ後半が生きて来るところが素晴らしいですね。
あとは、自分自身がナッシュに似てるのかそれともボッツイに似てるのかを常に考えながら読むと凄く付加価値のある作品だと言えます。どちらが人間らしいかを深く考察するだけでも奥行きがあるんですよね。
誰しもナッシュのような強い部分とボッツィのような弱い部分が表裏一体となって併せ持っていると思うのですが、この作品に関しては私的にはボッツィに似ている部分が多いと認識している人の方が本作を読んだ価値がよりあると言えそうですね。
物語の内容そしてスピード感はアメリカ文学ならではのものですね。
人生は偶然の繰り返しであってたまたま大金(遺産)を得た主人公で元消防士のナッシュなのですが、赤いサーブに乗りまくりほとんど使い果たしてしまいます。
そして運命の自称天才ギャンブラー・ボッシュとの出会いですね。
あとは彼ら2人との対比としてのフラワーとストーン。
彼らはやはり権力者としての意味合いが強いでしょうか、徐々に本性が浮かび上がってきます。
物語の後半でひたすら石を積んでいくナッシュとボッツィ。
これは忍耐力のいる労働ですが、やはり無力に感じるのはその労働をしなければいけなくなったいきさつがいきさつだからですね。
そう借金を返すために働かされるのです。
そこでの見張り役のマークスの圧倒的な存在感が印象的ですね。
彼が何を考えているのかは読者泣かせというか、オースターの術中に嵌った感じです。
そして読んでのお楽しみなのですが、ボッシュの取った行動は愚かだったのでしょうか?
私個人的には確かに愚かだったかもしれませんが、決して責められないことだと思ってます。
その答えとしてオースターが、彼がどうなったのか具体的に書いていないところが心中、ボッシュの行く末を案じていることを暗示しているように思えるのですね。
-
今週のトーナメントそして先週の結果。2010.03.12 Friday
-
今週は舞台を高地に移して(土佐カントリークラブ)ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGR レディスカップで今日から3日間開催されます。
今回が3回目の歴史の浅いトーナメントで、昨年は最終日天候不良で中止となり上原彩子選手がツアー通算2勝目をあげました。
初日の主なペアリングは下記のとおりです。
7 組 8:54 菊地絵理香 竹村 真琴 テレサ・ルー
8 組 9:03 飯島 茜 三塚 優子 全 美 貞
9 組 9:12 若林舞衣子 森田理香子 宋 ボベ
10 組 9:21 福嶋 晃子 不動 裕理 李 知 姫
11 組 9:30 朴 仁 妃 原 江里菜 服部 真夕
12 組 9:39 有村 智恵 上田 桃子 古閑 美保
13 組 9:48 アン ソンジュ 上原 彩子 横峯さくら
14 組 9:57 ヤング・キム 馬場ゆかり 諸見里しのぶ
先週の開幕戦の結果、予想はある程度してたのですが今季新加入の韓国選手のひとりアン・ソンジュ選手が2位に5打差を離しての圧勝となりました。
とにかくよくボールが飛びます。
スポンサー、そして女子プロゴルフファンとしては決して嬉しくない結果なのですが、第2戦も注目されます。
今の勢いから客観的に見て、全34試合中10試合ぐらいは外人プレイヤーの優勝となりそうですね。
問題は10試合以内に抑えれるかどうかですね、下手すれば半数以上というのも考えられます。
応援している有村智恵プロは先週2位タイでした。
今年は賞金女王宣言をしているのでなんとか頑張ってほしいです。
昨年は序盤調子が出なかったので滑り出しとしては上出来じゃないでしょうか。
有村プロは昨年33試合に出場。
唯一のカット(予選落ち)が昨年のこの大会なのですね。
コース相性はあんまりよくないみたいですが頑張ってほしいです。
ちなみに昨年は下記の通りです。
出場試合 33試合
優勝 5試合
トップテン 20試合(優勝含む)
獲得賞金 ¥140,804,810 3位
平均ストローク 70.7463 3位
パーセーブ率 87.3964 5位
イーグル数 2 19位
平均バーディ数 3.6 3位
平均パット数 1.7792 4位
パーオン率 70.6468 5位
リカバリー率 67.7966 2位
今年は獲得賞金と平均ストロークの2部門でトップを目指してほしいですね。
賞金総額8000万円の試合での6位での賞金は320万円です。
だから獲得賞金1億を超えようと思ったら平均で6位以上の成績を上げる必要があります。
いかにコンスタントに成績を上げれるかですね。
先週の初日トップに立った森田理香子プロ。
2日目以降は残念な結果となりました。
67,77,75と出入りの激しい3日間で結局は+3の32位タイに終わりました。
ロングヒッターであるがゆえにどうしても曲がりだしたら崩れますね。
思うように飛べばロングホールでは楽々バーディが取れるのですが。
今週は世界ランキング上位の宮里藍プロ、申ジエプロは出てません。
皆に優勝のチャンスがありそうです、地上波ではテレビ東京系列で明日・明後日(土・日)オンエアーです。
そして有村プロは日曜日放送のジャンクスポーツにも出演されます。
時間のある方は是非どうぞ。
-
今日買った本、そしてちょこっと女子プロゴルフ。2010.03.05 Friday
-
文庫本7冊買ってきました。
★『シルエット』 島本理生 講談社文庫(再読用)
★『リトル・バイ・リトル』 島本理生 講談社文庫(再読用)
★『生まれる森』 島本理生 講談社文庫(再読用)
★『大きな熊が来る前に、おやすみ』 島本理生 新潮文庫
島本さんの作品、最新文庫含め4冊買いました。
新潮文庫の著者近影の写真の島本さん、かなりおとなっぽくなりました。
薄い本が多いので出来れば少しずつ読み返して感想綴りたいなと思ってます。
★『均ちゃんの失踪』 中島京子 講談社文庫
なかなか手にとれないけど(汗)、今月ぐらいには『FUTON』をなんとかと思ってます。
★『つまみぐい文学食堂』 柴田元幸 角川文庫
食に関するエッセイ集ですね。いろんな海外の作品の情報が詰まっています。
★『幸福ロケット』 山本幸久 ポプラ文庫
好きな作品の文庫化ですね。ポプラ文庫なので小さな本屋では置いてないのが気の毒です。
文庫化に際してオリジナル短編が収録されてます。
現在ポール・オースターの『偶然の音楽』を読んでいます。初期のニューヨーク三部作はちょっとわかりづらかったけど、それ以外の作品は最高ですね。柴田さんの名訳とともに読書の醍醐味を堪能させていただいております。
明日は図書館に行って10冊ほど借りてきます。次に読むのは何にしようか選択肢が多くって(笑)。
予定では次の5冊ぐらい下記のようにと考えてます。
『太陽のパスタ、豆のスープ』 宮下奈都
↓
『オレンジだけが果物じゃない』 ジャネット・ウィンターソン著 岸本佐知子訳
↓
『ヘヴン』 川上未映子
↓
『ボート』 ナム・リー著 小川高義訳(新潮クレストブックス)
↓
『天地明察』 冲方了
女子プロゴルフ開幕戦、ダイキンオーキッドレディーストーナメント初日、新鋭森田理香子選手が5アンダーで単独トップに立ちました。
明日は最終組、プレッシャーがかかると思いますが、あと2日間頑張ってほしいですね。
今回は有村智恵選手(初日イーブンの29位タイ)よりも森田選手の応援に回りたいです。
本の右側の写真は、昨年11月ミズノクラシック(賢島カントリークラブ)にて初日ラウンド終了後に森田選手からサインをいただいたキャップです。
-
今週のトーナメント。2010.03.04 Thursday
-
いよいよ女子プロゴルフツアー(JLPGA)が明日3月5日から始まります。
11月末まで全34試合。
ほぼ毎週、試合が行われます。
まず開幕初戦は沖縄が舞台でダイキンオーキッドレディストーナメント。
賞金総額8000万円で、優勝賞金が1440万円です。
参加メンバーが豪華ですわ。
国内のシード選手ほぼ全員を中心にアメリカツアーを主戦としている宮里藍、上田桃子の両名が参加します。
そして昨年のアメリカツアー賞金女王の申ジエ選手も参加ですね。
この試合に限って言えば、宮里藍選手と諸見里しのぶ選手の両名の意気込みが違いますね。
どちらも地元沖縄での開催、そしてアメリカツアーで44年ぶりの開幕2連勝中の宮里選手が国内開幕戦を飾るか、そして諸見里選手はダイキン所属ですのでホストプロとなります。
アメリカツアーがスポンサー撤退が多く試合数が減っています。
この原因はもちろん景気の悪化が大きいのですが、もっと大きな理由は外国人の優勝者が多くって宣伝効果がないことが大きいと言われています。
宮里選手が2週間連続優勝しました。
日本の私たちにとってはとっても喜ばしいことですが、スポンサー側としてはアメリカ人に勝ってほしいみたいです。
皮肉なものですね。
日本ツアーもなんとか試合数をキープするために日本人選手に頑張ってほしいです。
今年の賞金女王争いを予想してみると現在の実力からして昨年の3強による争いが今年も続くと思います。
8割ぐらいの確率でこの3人のいずれかが賞金女王を取るんじゃないかなと思います。
昨年の賞金女王横峯さくら、同2位の諸見里しのぶ、そして3位の有村智恵を中心とした国内ツアー組ですね。
昨年は上記3名でちょうどツアー半分の17試合を制しています(横峯、諸見里各6勝、有村5勝)。
要するに2試合に1試合の割合で3人のうちの誰かが優勝しています。
おそらくスポット参戦してくるアメリカツアーの選手は実力もありますので何試合かは優勝するでしょうが、それ以外の国内ツアー選手はほとんど優勝出来ないような気がします。
少なくとも複数回数は厳しいんじゃないでしょうか。
これは近年の何人も優勝者が乱れ出た群雄割拠時代から大きな変貌を遂げたこととなりました。
個人的には有村智恵選手に念願の賞金女王を取ってほしいと思います。
有村選手は、凄く正確なショットが持ち味ですね。
特にアイアンショットの精度はトップクラスで安定したゴルフをしています。
パットの調子が良ければ必ず優勝争いに絡んできますね。
今年は昨年以上の躍進を期待したいと思います。
あと、応援しているのは森田理香子選手。
新人だった昨年、念願のシード権(年間賞金ランキング50位以内)を獲得しました。
プロゴルファーにとってはこのシード権をとれるかどうかが本当に天国と地獄の差なんですね。
シード権を取れるとほぼ翌年の試合全試合に優先して出場できます。
あとはトーナメントによるのですが、QTの上位選手、そして主催者推薦選手が出れます。
去年の新人選手でシード権取れたのは森田理香子選手(賞金ランキング27位)だけだったような気がします。
今年は出来れば7試合(10ラウンド)ぐらい観に行けたらなと思います。
主な明日のペアリング(組合せ)は下記のようになってます。
3 組 8:48 金田久美子 黄 アルム 服部 真夕
6 組 9:15 原 江里菜 ヤング・キム 佐伯 三貴
7 組 9:24 竹村 真琴 北田 瑠衣 米山みどり
8 組 9:33 馬場ゆかり アン ソンジュ 福嶋 晃子
9 組 9:42 森田理香子 朴 仁 妃 不動 裕理
10 組 9:51 @与那嶺真代 全 美 貞 古閑 美保
11 組 10:00 @山里 愛 有村 智恵 上原 彩子
12 組 10:09 @与那覇未来 申 ジエ 三塚 優子
13 組 10:18 @山口 春歌 上田 桃子 諸見里しのぶ
14 組 10:27 @澤田沙都子 横峯さくら 宮里 藍
3日間トーナメントは初日が主催者がペアリングを決めます。
2日目と最終日は成績の良い選手が最終で回ります(成績順で決まります)。
予選は2日目までで、約半分の選手が予選落ちとなります。
ちなみに予選を落ちれば賞金はゼロです。
さて開幕戦の優勝者は誰になるのでしょうか。
1年間じっくり楽しませていただきますね。
< 前のページ | 全 [2] ページ中 [1] ページを表示しています。 | 次のページ > |