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『青い野を歩く』 クレア・キーガン著 岩本正恵訳 (白水社)
<8編からなるアイルランド人女性作家の短編集、岩本正恵訳。
表題作と「森番の娘」は印象的なのだが、全体を通して同じ訳者でエクス・リブリスシリーズの『ヴァレンタインズ』と比べてしまいどうしても満足感が得られなかった。>


粉々になった心を抱き、静かに生きる人々がいる。荒々しい自然と人間の臭み、神話の融合した小説世界は、洗練とは逆を向きながら、ぞっとするほどの、透明な悲哀を抽出する。放心した。すばらしい小説だ”(詩人の小池昌代さんの言葉:帯より引用)



作品集全体を通して、国境を越えても普遍的なものがあるとわかりながらも理解しづらい点があり、どれだけ訳者が読者に読みやすいように訳しても作者の意図が伝わらないような気がした。
たとえば母国(アイルランド)人が読まれたら、それぞれの孤独な登場人物に自分も置き換えて物語に没頭できるんじゃないかなと思います。
逆を言えば、日本人の読者が読まれ共感できたら、その方は登場人物が語る以上のことを吸収できる方で、すごく研ぎ澄まされた感受性の持ち主だと思われ羨ましく思います。

読書に何を求めるかやあるいはその時の読者の気分によって受け止め方も違ってくるのであろうが、全体を通して絶望的すぎて希望が少ないような気がする。

ただ、日本人が想像でしか体感できないカトリック社会が根底にあり、ほとんどなじみのないアイルランドという国のことや、あるいは同じ英語圏内であるアメリカと言う国への思い(アイルランドから見たアメリカです)も理解できたらきっと作者の思いももっと通じるのでしょうが。
でも私自身は自分の乏しい読解力をフルに活用して読んでみてもそれぞれの物語の着地点があいまいなものも見受けられるのですね。
そしてかすかにわかったことと言えば、アイルランド人って“古い慣習にとらわれてつつましくかつ静かに生きているんだな”ということです。
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posted by: トラキチ | 白水社エクス・リブリス | 11:17 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『Waltz for Debby』 Bill Evans Trio
評価:
Bill Evans,Scott LaFaro
Ojc
¥ 515
(1987-01-01)

まさしく歴史に残る名盤と言っても過言ではないのでしょう。実はこの1年間というか10カ月ぐらいのあいだに200回ぐらい聴いてます。
このアルバムを聴いたおかげでソニーのウォークマンを買い、仕事の休憩中もよく聴きました。
そして、率直な感想をひとことで言えば“so romantic”ということですね。
たとえば、自分が若い時に戻れた場合、恋人をこのアルバムを聴きながら口説き落としたい衝動に駆られる名盤です(笑)
はるか昔に青春時代を終えた今となっても、体力は無理ですが気分だけは青春時代に戻れますね。
50年経った今もその素晴らしさは色褪せずというかさらに輝きを増し、リスナーが幸せな気分に浸れること請け合いの名盤ですね。

ビル・エヴァンスと言えば表題曲となっている“WALTZ FOR DEBBY”ですが、私のもっともお気に入りの曲は冒頭の“MY FOOLISH HEART”。
この甘ったるさはたまりません、彼女と一緒にまどろみたくなります(笑)




このアルバムの特徴は次の3点でほぼ表せると思われます。

★ビル・エヴァンスの絶頂期と言われるリバーサイドレーベルの作品である。
 ちなみにリバーサイドレーベルでは4枚のアルバムが出ていますが、本作がもっとも有名ですね。

★それまでの常識を覆した“インタープレイ”を実現している。
  piano・・・BILL EVANS
bass・・・SCOTT LAFARO
drums・・・PAUL MOTIAN
 とりわけベースのSCOTT LAFAROとのコンビはLAFAROの突然の死も助長したのかもしれませんが、今や伝説となっており語り継がれております。
 事実、LAFAROのベースソロも随所に織り込まれており、素晴らしいです。お互いがお互いの良いところを引き出している感じですね。

★ライブ録音であり臨場感がある(ニューヨークのヴァンガード・ヴィレッジです)

収録は全10曲ですが、BONUS TRACKSも入っており実質は7曲ですね。

1 MY FOOLISH HEART
2 WALTZ FOR DEBBY(take2)
3 WALTZ FOR DEBBY(take1)
4 DETOUR AHEAD(take2)
5 DETOUR AHEAD(take1)
6 MY ROMANCE(take1)
7 MY ROMANCE(take2)
8 SOME OTHER YIME
9 MILESTONES
10 PORGY(I LOVE YOU,PORGY)

好きな曲を3曲ほどあげるとちょっとベタですが(笑)
1 MY FOOLISH HEART
2 WALTZ FOR DEBBY(take2)
3 MY ROMANCE(take1)

理想とすれば恋人がいる方は一緒に聴いて人生を語り合い楽しんでください。
それが無理な方は(笑)、コーヒーを飲みながら読書でもしながら聴くというか、聴きながら読書するというか、そう“読書と音楽がインタープレイ”なのですね(笑)

録音が1961年と50年前なのですがデジタルリマスタリングしてあり音質は良好です。
あなたの部屋も是非50年前のニューヨークのライブハウスの熱気で一杯にして、名演奏を堪能して下さい。
posted by: トラキチ | ジャズ名盤 | 21:45 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『ヴァレンタインズ』 オラフ・オラフソン著 岩本正恵訳 (白水社)
<アイスランド人作家によるOヘンリー賞受賞作を含む12編からなる恋愛短編集。特筆すべきなのは、いずれも甘い内容じゃなくって身につまされる内容であるということ。 恋愛をモチーフにして“人生を描いている”っていう感じですね。>

“オラフソンの作品を読んでいると、ひんやりとした希薄な空気と透明な光が行間に広がるのを感じます。それは抑制のきいた文章だけでなく、登場人物たちが感情を胸にしまい、行動を慎みがちなところからも生まれています。(中略)この抑制のきいた端正さは、荒涼とした自然のなかに人間が点々と点在しているアイスランドの風土と深く結びついている印象を受けます。”
(訳者あとがきより)

白水社の《エクス・リブリス》シリーズの一冊、岩本正恵訳。

タイトル名の『ヴァレンタインズ』(Valentines)、日本語に訳すと“恋人たち”ということですが、敢えてカタカナとしているところが作品の内容を如実に表しているのですね。
そう、この作品の内容はそんなに甘酸っぱい恋愛模様を描いたものではありません。
愛の破滅というか破綻、そして終焉を描いてます。
そうですね、辛い話がほとんどです。

でも内容が内容であるだけに郷愁感が漂っています。
女性作家だともう少しドロドロ感があるか、それとも男性を滑稽に描くんでしょうが、本作には緊張感が漂ってます。
だからどちらかと言えば共感できるという意味合いにおいては男性向きの作品なのかもしれません。
抱えているものが多い人ほど共感できると確信しています。

事実、社会的に地位のある職業につく主人公たちがほとんどで、まわりから見たらどこに不満があるのって感じなのでしょうが、やはり隣の芝生は青く見えるのですね。
すべての登場人物に共通して言えるのは、人間の脆弱性を持ち合わせていることですね。だから他人事と思えずに共感できます。 タイトル名が1月から12月までで季節感が端的に表れていて、日本人には受け入れやすいです。
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posted by: トラキチ | 白水社エクス・リブリス | 15:09 | comments(2) | trackbacks(1) |-
『うつくしい人』 西加奈子 (幻冬舎文庫)
<他の西作品からは想像のつかないと言っていいほどの新境地作品でしょうか。本作は本好きの女性読者が読まれたら必ず共感できるような内容の自己再生作品で、読み終えたあとの清々しさとタイトルの素晴らしさは記憶に残る読書となったと言えるでしょう>

久しぶりに西さんの作品を手に取った。
この人の作品の特徴は飾らない文章で飾らない人を描写し、読者に共感を呼ぶ点だと思うのですが、
いつも読後に自分自身と向き合わせてくれるところは凄い手腕だなと思います。

本作は関西弁じゃなくって標準語バージョンですね(笑)

さて本作、ひとことで言えば“自己再生の物語”と言えるのでしょう。
主人公は32歳の独身女性・百合。単純なミスがきっかけで会社を辞めて一人旅にでます。
その舞台は瀬戸内海の高級リゾートホテル。
数日間の滞在ですが主人公はバーテンダーの坂崎とドイツ人マティアスと出会い大切なものをつかみとるのですね。
彼ら2人は風変わりな人物ですが、風変わりゆえに主人公にとって“癒しの存在”となるのです。
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posted by: トラキチ | 西加奈子 | 21:52 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『生きてるだけで、愛』 本谷有希子 (新潮文庫)
評価:
本谷 有希子
新潮社
¥ 340
(2009-02)
コメント:人間誰しも自分のことをわかってもらいたいと思いますよね。その孤独感を上手く描いた恋愛小説という範疇を超えたニート小説。

<人間誰しも自分のことをわかってもらいたいと思いますよね。その孤独感を上手く描いた恋愛小説という範疇を超えたニート小説。>

“あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ。25歳の寧子は、津奈木と同棲して三年になる。鬱から来る過眠症で引きこもり気味の生活に割り込んできたのは、津奈木の元恋人。その女は寧子を追い出すため、執拗に自立を迫るが……。誰かに分かってほしい、そんな願いが届きにくい時代の、新しい“愛”の姿。芥川賞候補の表題作の他、その前日譚である短編「あの明け方の」を収録”
(文庫本裏表紙より引用)


劇作家、演出家、女優、声優としても活躍されている本谷有希子さん、初読みです。

中年読者の感想として多少の斟酌をお願いしたい。
とにかく最初はこのメンヘルの主人公である25歳の寧子にはイライラさせられます。
そこから作者の本谷有希子さんの術中にハマっているのでしょうが(笑)、なかなか一筋縄では収まりません。
最初は説教をしたくなるようなキャラの主人公が、知らぬうちに必死に生きている様に応援したくなる気分にさせられるのですね。

同じぐらい強烈な個性の持ち主である、津奈木の元恋人の登場で話の展開は面白くなります。
元恋人がきっかけでイタリアン・レストランでバイトするようになる主人公。
このイタリアン・レストランで働く人々が本当に普通の人々で(笑)、否応なしにホッとさせられるのですが、そのあとの展開が強烈です。

結局、男性読者としては恋人であり同棲相手の津奈木の魅力が浮き彫りにされた形で終わるこの作品に対して、ホッとしたような気持ちにさせられます。
彼がすごく寛大な人のように描かれてるのですね。
本来はあんまり魅力ある人物ではないように感じられるのですがやはり“等身大”と感じるのでしょうか。
少し胸をなで下ろしたのも事実です。
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posted by: トラキチ | 本谷有希子 | 20:31 | comments(2) | trackbacks(0) |-