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評価:
葉室 麟
文藝春秋
¥ 605
(2010-02-10)
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再読。直木賞受賞作品である『蜩ノ記』に負けず劣らずの代表作だと言える。作者の作品は何作か読ませていただいていますが、読み終えた後の感動度やインパクトの強さはやはり本作は抜きんでているように思える。
それはやはり時代は江戸時代なれど、現代に通じる何かが読者の心に貫かれるからであろう。
三人の身分が違う男の生き様が描かれています。その時々の過程においてお互いの気持ちがわかっていつつも、相手に通じずに苦悩に苦しむところが読者にも通じるのであるけれど、やがて読者にとってお互いへのリスペクトした気持ちが高まりつつ受け入られるところが本作の最大の醍醐味であると言える。
とりわけ、十蔵の娘と一緒に暮らしている源五、彼の献身的な姿勢は読者の気持を高ぶらせ、作者の十八番でありタイトル名ともなっている銀漢(天の川ですね)が友情の深さの象徴として読者の心に突き刺さります。
読者にとっては死後も十蔵や小弥太が銀漢で待ってくれていることが余生のある源五にとってどれだけの活力となるか、理解できますし大きなエネルギーを注入してくれる一冊だと言えそうです。
評価9点。