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『ランチ酒』 原田ひ香 (祥伝社)
評価:
原田ひ香
祥伝社
¥ 1,512
(2017-11-14)

何冊か作者の作品を読ませていただいてますが、その都度次はどんなだろうかとその多彩でユニークな作風に胸を躍らせるのであるが、今回も期待を裏切られなかった。

今回は都会でしか成り立たないような「見守り屋」という仕事に従事するアラサーの祥子が主人公。彼女は離婚し子供を旦那に奪われた状況であるが幼なじみの亀山に誘われ見守り屋に従事する。見守り屋とは夜間帯専門の介護でもなくいわば付き添いの仕事であり、少なくとも眠ることは許されない。

彼女の元夫や娘との関わり合いとあとはそれぞれのエピソードで登場する依頼者たちのドラマが心地よい。そしてタイトル名ともなっているランチ酒であるが、まさに美味しい料理とお酒、これは主人公が深夜の仕事を終えてホッとリラックスが出来るひと時のことを表わしている。

彼女は自由に会うことが出来ない愛する娘への想いを育むひと時でもある。読者それぞれも抱えているものがあっても、本作を読むと主人公に共感し一緒にお酒を嗜む気持ちになることで人生ってそんなに悪くないよねと自問自答出来る作品に仕上がっている。続編希望します。

評価8点
posted by: トラキチ | 原田ひ香 | 21:17 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『シネマコンプレックス』 畑野智美 (光文社)
初出「小説宝石」。南部芸能シリーズが完結し、次のステージへと進んでいる作者の勢いが感じられる連作短編集。
タイトル通りシネコンが舞台となっていますが、作者が作家を志す前にシネコンでフリーターとして働いていたということで、作者の夢が登場人物ひとりひとりに込められた力作だと感じます。

シネコンにはいくつかの部署があり、シネコンの裏側もたっぷりと語られます。
各章それぞれの視点で語られますが描かれているのはクリスマスイブの一日というのがドラマティックでもあります。ただそれぞれの登場人物の過去が重ねられているところが物語に奥行きがあって読みごたえがあります。
バイト間の人間関係など、そのリアルさは他の小説では味わえないでしょう。

印象的なのは加藤君という小柄なイケメンの存在で彼がとっても魅力的に感じられ、彼をとりまく女性たち(映画女優も含む)の描写が巧いです。
作者のストロングポイントである、群像劇&恋バナモードが全開作品と言えそうです。
主人公格の島田さんと岡本さんとの五年前の出来事がミステリーテイストで、彼らベテランアルバイトの頑張りがあって10年間シネコンが続いてきたと思いますね。いずれにせよ、各読者にとって等身大の登場人物たちがリアルに描かれた本作、重めの作品も手掛けだした作者の王道的作品として語り継がれる日もそう遠くなさそうに思える。

評価8点
posted by: トラキチ | 畑野智美 | 21:26 | comments(0) | trackbacks(0) |-
 『たゆたえども沈まず』 原田マハ (幻冬舎)
評価:
価格: ¥ 1,728
ショップ: 楽天ブックス

アート小説と言えば作者の十八番であり、アート小説と言えば原田マハ、原田マハと言えばアート小説という言葉がしっくりと来ると読者の方も認識しているのだが、本作も代表作であると言える『楽園のカンヴァス』に勝るとも劣らぬクオリティの高い作品に仕上がっている。

『楽園〜』や『ゲルニカ〜』はミステリーを融合した作品であったけれど、本作はミステリーテイストは皆無であると言ってよく、史実に基づく正統派の文芸作品であると言って良く新たなステージに上り詰めたといってよいのではないのでしょうか。

物語の軸となっているのはゴッホとその弟テオ、そしてパリで浮世絵の販売に携わる日本人画商の林忠正と助手の加納重吉。おそらく重吉は架空の人物であると思われ、重吉とテオとの熱き友情の描写とタイトル名ともなっている当時のパリを形容した言葉の重みが、読者にとっていつまでも心に残る読書となる要因であると思え割れる。

有名画家というのは総じてドラマティックな生涯を過ごしている人が大半であるが、ゴッホもその御多分に漏れず波乱万丈の生涯であり、弟テオの支えがなければ歴史に残る画家として後世に名を残すことはなかったと思われる。
そして本作では二人の日本人の画商のパリで浮世絵を広めようと努力する心意気も熱く描かれ、ゴッホが浮世絵の影響を強く受けていることをも作者は伝えている。

作者の他のアート小説同様、ネットで絵を参照しながら読み進めてゆくと感慨深さが増す読書となるのであるが、ゴッホとテオも日本人同様、彼らにとっては異国であり生死をかけた戦いであったと思われる。
そうしてネット上ではあるが、ゴッホの作品を見ると少し理解が進んだように思えるが、作者の願いが読者に伝わった証であろうかと思うのである。
成功した人は苦難の道を歩んでいるのでしょう。読後表紙の『星月夜』を見た率直な感想である。

評価9点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 20:08 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『ツバキ文具店』 小川糸 (幻冬舎)
評価:
小川 糸
幻冬舎
¥ 1,512
(2016-04-21)

作者の新たな代表作と言えそうな究極の再生物語。舞台は鎌倉の文具店で副業として代々代書屋を営んでいる。
主人公の雨宮鳩子はすれ違った育ての親でもある亡き祖母の後を継ぐところから物語は始まる。
祖母のことを“先代”と呼ぶところが2人の隔たれた距離感を明確に表わしており、その二人のわだかまりがいかになくなりお互いの愛情がわかりあえるまでが克明に描かれているところは素晴らしいの一言に尽きます。
じわじわと読者に伝わるのはやはり登場人物ひとりひとりの個性的な魅力と心を込めて書かれるそれぞれの手紙に尽きます。

鳩子は代書をする機会毎に、何故代書を依頼してくるのであろうというそこにまつわる人間ドラマを考察することにより成長してゆきます。そしてその成長が祖母との距離感を縮めて行ったのでしょう。
読者にとって、本文中に挟まれる肉筆の文字が圧巻でありより感動度が増したような気がします。鳩子の境遇を自分に重ねて読まれた方も多かったと推測されます。続編も出たので是非読んでみたいと思いますし鎌倉にも無性に行きたくなりました。

評価9点。
posted by: トラキチ | 小川糸 | 17:12 | comments(0) | trackbacks(0) |-