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 『セシルのもくろみ』 唯川恵 (光文社文庫)
連ドラ化ということで約10年ぶりに作者の作品を手に取ったのであるが、思ったよりドロドロ感がなく爽やかな作品であったとも言える。
その要因として二つのことが考えられる。まず、連載が「story」という光文社の40歳ぐらいをターゲットとした月刊誌で、いわば業界内のことを小説化したものでありあまりな内容を書けばイメージダウンを避けることが出来ないであろう点。もう一つは唯川氏以降出てきた女性作家、いわゆるイヤミス系を得意とする面々はもっと人間の弱くて醜い部分の描写に長けていて、読者もそれに慣れていて唯川氏のドロドロ度が低く感じられる点。
ただ本作は文章の読みやすさは他の女性作家よりも一日の長があるように思える。

もちろん、女性の嫌な部分も描写されているが、読み方によってはサクセスストーリーという捉え方も出来爽快感が漂う背中を押してくれる作品であるとも言える。
男性読者の私は、その背中を押してくれる流れとやはり主人公であり専業主婦から雑誌の読者モデル、そしてプロのモデルへと変貌してゆく奈央の人柄と女性的魅力に惹かれて一気に読み切った感が強かったと言える。
それはやはり、少し控えめで容姿的にも飛びぬけていないながらも、現状に満足せず(現状も決して幸せでないことはありません)に前向きに生きて行こうという姿が可愛くもあります。

作者は、女性読者に対してタイトル名ともなっている“もくろみ”を持つように示唆しています。
このもくろみとはやはり前向きに生きる生き甲斐のようなものだ私には感じます。女性読者の心の内に届きやすい作品であると感じます
ドラマでは真木よう子が主人公を演じますが、脇役陣も豪華で楽しみにしてます。

評価8点。
posted by: トラキチ | 現代小説(国内) | 17:02 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー著 村上春樹訳 (ハヤカワ文庫)
本作は1953年に上梓されチャンドラーの長編七作品の内で最も有名な作品として知られている。
日本名のタイトルは『長いお別れ』(清水俊二訳)で1958年に翻訳され多くのファンの支持を受けてきた(村上氏もこの作品を清水氏の翻訳で楽しんできた)のであるが、今からちょうど10年前に村上氏の手によって新訳完全版として刊行された次第である。
ここで完全版と呼ぶのは、清水氏の訳がかなり原文が省略されたものであるということである。

村上氏が生涯最も影響を受けた三冊(本作以外は「グレート・ギャツビー」と「 カラマーゾフの兄弟」)の作品の内の一冊である本作は、村上氏の手によって選ばれた言葉や表現の古さをリニューアルし、格段と読みやすくなっているように感じられる。
村上氏は現在に至るまで、約70冊余りの翻訳を行っていて(その内私は20冊程度しか読んでいませんが)、小説と翻訳を交互に実施することによって自分自身をリラックスさせ、それにより自身の高みを極める創作活動を行って来たと言えるのである。
そのあたり、本篇のあとのあとがき(解説)約50ページに想いが込められていて圧巻である。

本作の魅力は村上春樹流にフィリップ・マーロウの魅力を十分に発揮できたことと、あとは普段ハードボイルドを読まない人でも入り込めやすい敷居の低さだと思います。
清水訳と両方読んで、清水訳の方が良かったと思われる方がいても不思議じゃなく、それも小説談義のひとつでもあると思われる。
翻訳小説はとりわけ文芸作品においては翻訳者の能力や知名度が読者に与える影響も大きいのだけれど、ミステリにおいてもその例外ではないと思われる。
現に、他の翻訳者が本作を新訳して同じぐらいの読者がつくかは甚だ疑問であり私自身も手に取ってなかったと思われる。

この小説は犯人は誰であったかというより、犯人が誰だったのかというよりも、登場人物それぞれの関係や気持ちを読みとるのが面白い小説である。
とりわけ、マーロウとテリーとの親しくなないのだけれど友情が芽生えます。タイトルの「ロング・グッドバイ」とは、長い 別れに対するさよならではなくて、さよならを中々言い出せない長い時間のことを指していると理解します。

作者のチャンドラーの長編には必ずフィリップ・マーロウが出て来て、その歯に衣着せぬ言い回しはハードボイルド小説における私立探偵の代名詞のようになっている。例えばフィリップマーロウばりのという言葉が沢山の小説で使われています。

本作を読むといかに村上氏 がチャンドラ―の影響を受けたかわかります。まるで村上氏が書いた(訳したではなく)ハードボイルド小説を読んでいる気がする。
小説は色々な楽しみ方があって然りであるけれど、本作の魅力はフィリップ・マーロウが演出する男の美学に尽きる。ギムレットでなくてもいい。ビールでもアルコールをお供にして夜に読んで欲しい。
ちなみにもっともキザなセリフは「アルコールは恋に似ている。最初のキスは魔法のよう、二度目で心を通わせて 、三度目で決まりごとになる。あとはただ服を脱がせるだけだ。」だった(笑)

評価9点。
posted by: トラキチ | 村上春樹翻訳本 | 16:10 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『ラジオ・ガガガ』 原田ひ香 (双葉社)
評価:
原田 ひ香
双葉社
¥ 1,512
(2017-05-17)

ラジオを題材とした短編集。学生時代はよく深夜ラジオを受験勉強の友として聴いたものだが、大人になるとめっきりお世話になることがなくなったのも事実であり懐かしい感覚で読むことが出来た。
六編からなりますが、いずれの主人公も人生において大切なものをラジオから得たり、影響を受けています。
よく言えばテレビよりも直にリスナーに語りかけてくれていて優しく感じられますよね。そう言ったラジオの利点をそれぞれの物語の主人公たちは、良い教訓や心の糧として生かしています。

良い意味で、ラジオを聴くことによって懸命に生きているところが切実に読者に伝わります。
ただ、すべての話が読者の琴線に触れるかは個人差があってしかりだと思われます。
個人的には、ラジオドラマのコンクールに応募し続ける姿を描いた「音にならないラジオ」、夫がM1グランプリのファイナリストの古くからの友人であり、売れない時の彼らに援助していたことがある夫の姿を描いた「昔の相方」あたりでしょうか。

伊集院光やナイナイ、そしてオードリーなど、実在する(した)ラジオ番組をも具体的に言及していて、作者の経歴などを鑑みて、尊大なラジオに対する作者の愛情を感じとりました。本作は作者にとって楽しい執筆であったことは想像に難くありません。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田ひ香 | 21:35 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『風の向こうへ駆け抜けろ』 古内一絵 (小学館)
書下ろし作品。映画会社に勤務の経験がある作者が精魂を込めて書かれた作品で映像を目に浮かべながら読むことが出来る感動的な作品であると言える。
舞台は寂れた地方競馬で、新人女性ジョッキーの瑞穂が潰れそうな厩舎に配属され、風変わりな面々と出会い最初は戸惑いながらも成長してゆく姿を描いています。
彼女の成長=厩舎の成長ということが読者にとって心地よさこの上ないのであるけれど、一頭の馬との出会いが物語に彩りを添えます。
その馬の名はフレッシュアイという名で、中央競馬をはじき出されたその馬が救世主的存在として厩舎の人達と心を通わせます。

地方競馬の現状や女性ジョッキーの扱われ方など、いろいろと勉強となることもあったのですが、壁に立ち向かって行く姿が清々しいと言えるのでしょう。
途中で厩務員や調教師の視点に代わるところから物語は一層深みが増したような気がします。そして読者は瑞穂はいい馬だけでなく、いい人達と出会ったのだと感じずにはいられませんでした。桜花賞まで出場できたので一応夢は叶ったのかもしれませんが、続編でその夢がどうなったのか楽しみでなりません。新たな試練を乗り越えてゆく瑞樹の姿が目に浮かびます。

評価9点。
posted by: トラキチ | 古内一絵 | 20:22 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『神様からひと言』 荻原浩 (光文社文庫)
13年ぶりの再読となる。再読のきっかけとなったのがNHKでのドラマ化であったのであるが、ご存知のように放映中止となったことは残念でならない。
昨年、念願が叶って直木賞作家となった作者がユーモア作家として人気を博していた初期の代表作と言って良い本作。
短気で喧嘩っ早い性分が災いして大手広告代理店を辞め、中堅食品メーカーに中途入社した佐倉涼平だが、新しい会社でもトラブルを起こしお客様相談室へ異動させられる・・・

広告制作会社勤務歴のある作者なので、主人公と作者がオーバーラップされた読者も多いはずです。自身の経験をいかんなく発揮した作品といえるでしょう。


単行本の帯にかつて“会社に人質取られてますか?”という言葉があり、それにドキッとした方も多いと思いますが、内容はそんなに深刻なものではありません。現代社会に起こりうる事を軽妙洒脱な文章で綴ってます。
コメディータッチながらもサラリーマンにとっては、結構真剣に読まざるをえない作品ですが、日頃のストレスの解消には恰好の1冊と言えそうです。
なんといってもお客様相談室のメンバーのキャラが素晴らしい。特に、上司のギャンブル(競艇)狂の篠崎さん、いい味出してます。篠崎さんを主人公とした小説も読んでみたい気になりますよ。

登場人物を自分の身の回りの人間に置き換えて読むだけでもストレスの解消となる本作は、現実では出来そうもない事を主人公がやってくれるので、その過程を楽しめるだけでも読む価値があるでしょう。

普段、“忍耐強く勤めてる人”に是非読んで貰いたい作品です。又、カップ麺やギャンブル好きな人、心して読んで下さい(^O^)
本書を読めば会社内における自分の位置づけや立場を再認識できるかもです。

最後にラストの終わり方もよく、“涼平とリンコの幸せを心から祈って本を閉じた”ことを付け加えておきます。

評価7点。
posted by: トラキチ | 現代小説(国内) | 18:47 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『想い雲 みをつくし料理帖』 高田郁 (ハルキ文庫)
シリーズ第三弾。このシリーズを読むと作中の料理だけでなく展開までもがそのさじ加減が読者にとって絶妙であると感じます。

まずは行方不明中の佐兵衛に情報が出ますが、それにしても富三って腹立たしいですよね。他の人物が基本善人ばかりだから目立ちます。あとは各編に最低一編出てくる野江がらみの話も見逃せません。
?作者はつる屋に様々な試練を与えます。途中食中毒事件にはハラハラしましたがそれらを乗り越えることによって澪だけでなく登場人物一人一人が成長してゆくのでしょう。りうさんの再登場も心が和みます。

最も印象深いのはふきと健坊姉弟の話ですが、それ以外にも意地らしい美緒の存在感も物語に彩を添えていますが、やはり読者にとっては澪が小松原を想う気持ちが心の中に閉じ込められているところがもどかしくもありますが、彼女の前向きに生きるエネルギーになっていると信じて本を閉じました。

評価9点
posted by: トラキチ | 高田郁 | 21:03 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『罪の余白』 芦沢央 (角川文庫)
評価:
芦沢 央
KADOKAWA/角川書店
¥ 648
(2015-04-25)

作者初読みです。スクールカースト制と言って良いのでしょう、そのイジメが原因で若き命を絶った女子高生。彼女の父親で娘を溺愛してた心理学者の安藤と彼女を死に追いやった女子高生二人(咲と真帆)とのそれぞれの心の動きが語られて行きます。父親の怒りと苦悩、そして女子高生の自分たちの保身が交互に描かれるのですが、最後まで緊迫感が途切れることがありません。

キーパーソンとなってくるのが安藤の同僚でもあり彼の世話をする早苗でしょうか。コミュニケーション障害がある彼女の視点のパートが本作をより深みのある作品としていることは明白であり、ラストのサプライズにも繫がります。母親が自分の命を捨ててまで生んだという設定は男手ひとつで育てたという加奈に対する愛情の深さと共に、早苗という存在をより際立たせるための計らいであったと感じます。それにしても咲の自分自身を守るために取った陰湿な行動は想像を絶するほどで許しがたいですよね。女性作家ならではの繊細さと力強さを併せ持ったセンセーショナルな作品だと思います。

読者サイドからすると、やはり加奈や真帆が咲からなぜ離れられなかったのだろうかという疑念が残りますが、これは当事者にとっては難しい問題なのでしょう。
本作読了後、映画化されたDVDを鑑賞しましたが楽しめました。咲役の吉本実憂の悪魔ぶりが原作顔負けで印象的でした。次期朝ドラ主役の葵わかなも脇役ですが出ています。

評価7点。
posted by: トラキチ | 現代小説(国内) | 10:52 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『鮪立の海』 熊谷達也 (文藝春秋)
評価:
熊谷 達也
文藝春秋
¥ 2,106
(2017-03-28)

作者のライフワーク的作品と言って過言ではない、気仙沼をモデルとした仙河海シリーズの最新作。
時代は昭和初期〜戦後と時系列的には前作にあたる「浜の甚兵衛」のあとであり、前作を読んでないのは残念であったけれど、名船頭であった父や兄を目標として生きる主人公の菊田守一が成長してゆく姿は読む者の心を和ませること請け合い。
海の男というロマンを感じさせる作品であることは当たり前であるけれど、作者の特徴とも言うべき繊細な男心の描写が売り物の作品であるともいえ、甚兵衛の妾の子として登場する征治郎との友情や真知子との恋の行方など恋愛青春小説として読んでもそのほろずっぱさは一級品であると言える。
 ちなみに仙河海サーガシリーズを備忘録的に記すと下記の通りとなります。
出版社の垣根を乗り越えて書かれていますし、登場人物に関連性のあるものとそうでないものがあります。
『リアスの子』 光文社

 『微睡みの海』 角川書店

 『ティーンズ・エッジ・ロックンロール』 実業之日本社

 『潮の音、空の青、海の詩』 NHK出版

 『希望の海 仙河海叙景』 集英社

 『揺らぐ街』 光文社

 『浜の甚兵衛』 講談社

 『鮪立の海』 文藝春秋

評価8点。
posted by: トラキチ | 熊谷達也 | 21:12 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『星がひとつほしいとの祈り』 原田マハ (実業之日本社文庫)
どうしても長編作家というイメージが付きまとう作者であるけれど、短編もなかなか読ませることを体感できる作品集。
旅好きの作者を反映したように全国津々浦々の地方が描かれます。
主役はすべて女性であって年齢層も20〜50代、読者を意識した作りとなっていると言って良いのでしょうか。
様々な困難や苦労に出会ってそれに向かって行く姿が描かれていて読者の背中を押してくれます。

特に印象的なのは30代のの売れっ子コピーライターが、四国のホテルで呼んだマッサージの老女から戦時中の悲しい話を聞かされる表題作と一年前に夫を癌で亡くした50代の女性が、かつて夫と一緒に旅した長良川を娘とその婚約者と共に訪れる「長良川」あたりでしょうか。
いずれにしても、人生の各年代において抱えているものを描いていて切ないながらも清々しくあるのは作者の良いところだと感じます。たまに短編集を読むのもいいものです。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 20:24 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『手のひらの音符』 藤岡陽子 (新潮文庫)
再読。作者は新刊が出るたびに手に取りたい作家の一人の代表作とも言える作品であり、初めて読まれる方にはこの作品を紹介している。
新聞記者の経験や看護師の資格を持っている作者は誠実に人間観察をし端正な文章に転換し、必ず読者に考えさせる機会を与えてくれる作品を提供してくれるということがあげられる。

本作は作者の5作目として新潮社から2014年1月に書下ろし作品として上梓され、その後2016年9月に文庫化され今回再読をした。
本作以降も、歴史小説をやタイムスリップ小説も含めて守備範囲の広さを読者に提供してくれているが、どの作品にも生きることの意義を問う部分が繊細かつ力強く読者に訴えかけるところが大いなる魅力であると言える。

タイトル名となっている『手のひらの音符』の“音符”という言葉がとっても示唆的な含みのある言葉だと考えます。笑顔、生きがい、夢、希望、愛、人生、青春、あるいは現実、いろんな意味合いが込められていて読者それぞれが当てはめる言葉が違って然りの。

主人公である水樹は45歳独身の服飾デザイナーであるが、会社の経営方針で転職を余儀なくされそうな状況であるのだが、貧しかった子供時代に共に生きた幼なじみの信也と音信不通になったままでいる。
恩師の病気をきっかけとして現在と過去を交錯させつつ語られていくストーリーと言えば簡単ですが、彼女ら(彼ら)を取り巻く家族、兄弟、友人、そして恩師たちの存在がとてつもなく大きいのですね。
信也以外にも憲吾という同級生も登場、彼の存在感も絶大であって主人公にとっては人生は信也の方、仕事は憲吾の方に影響を受けたと言っても過言ではないともいえましょう。
圧巻は信也の兄と弟、3兄弟の話です。彼らの兄弟愛には胸を打たれますし、あとは恩師の遠子先生の生徒たちに与えた影響の大きさも読ませどころですね、ラストもちょっとびっくりでしょうか。

本作は主人公の幼少期や学生時代、貧しかったり苦しかったりした場面が多いのが特徴で、そういった経験が主人公の岐路に立った今、前を向かせてくれる勇気を与えてくれているのでしょう。
ここで語るにはもっと奥が深いものがありますが、私は誠実に生きたものがちっぽけかもしれないけど幸せを掴むのであるというメッセージを作者から受け取りました。
、主要登場人物のそれぞれのいろんな誠実さが溢れた本作、ある一定の年齢以上の方(40歳ぐらいかな)が読まれればは心に響き勇気づけられる物語であると確信しています。
posted by: トラキチ | 藤岡陽子 | 17:14 | comments(0) | trackbacks(0) |-