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『星がひとつほしいとの祈り』 原田マハ (実業之日本社文庫)
どうしても長編作家というイメージが付きまとう作者であるけれど、短編もなかなか読ませることを体感できる作品集。
旅好きの作者を反映したように全国津々浦々の地方が描かれます。
主役はすべて女性であって年齢層も20〜50代、読者を意識した作りとなっていると言って良いのでしょうか。
様々な困難や苦労に出会ってそれに向かって行く姿が描かれていて読者の背中を押してくれます。

特に印象的なのは30代のの売れっ子コピーライターが、四国のホテルで呼んだマッサージの老女から戦時中の悲しい話を聞かされる表題作と一年前に夫を癌で亡くした50代の女性が、かつて夫と一緒に旅した長良川を娘とその婚約者と共に訪れる「長良川」あたりでしょうか。
いずれにしても、人生の各年代において抱えているものを描いていて切ないながらも清々しくあるのは作者の良いところだと感じます。たまに短編集を読むのもいいものです。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 20:24 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『手のひらの音符』 藤岡陽子 (新潮文庫)
再読。作者は新刊が出るたびに手に取りたい作家の一人の代表作とも言える作品であり、初めて読まれる方にはこの作品を紹介している。
新聞記者の経験や看護師の資格を持っている作者は誠実に人間観察をし端正な文章に転換し、必ず読者に考えさせる機会を与えてくれる作品を提供してくれるということがあげられる。

本作は作者の5作目として新潮社から2014年1月に書下ろし作品として上梓され、その後2016年9月に文庫化され今回再読をした。
本作以降も、歴史小説をやタイムスリップ小説も含めて守備範囲の広さを読者に提供してくれているが、どの作品にも生きることの意義を問う部分が繊細かつ力強く読者に訴えかけるところが大いなる魅力であると言える。

タイトル名となっている『手のひらの音符』の“音符”という言葉がとっても示唆的な含みのある言葉だと考えます。笑顔、生きがい、夢、希望、愛、人生、青春、あるいは現実、いろんな意味合いが込められていて読者それぞれが当てはめる言葉が違って然りの。

主人公である水樹は45歳独身の服飾デザイナーであるが、会社の経営方針で転職を余儀なくされそうな状況であるのだが、貧しかった子供時代に共に生きた幼なじみの信也と音信不通になったままでいる。
恩師の病気をきっかけとして現在と過去を交錯させつつ語られていくストーリーと言えば簡単ですが、彼女ら(彼ら)を取り巻く家族、兄弟、友人、そして恩師たちの存在がとてつもなく大きいのですね。
信也以外にも憲吾という同級生も登場、彼の存在感も絶大であって主人公にとっては人生は信也の方、仕事は憲吾の方に影響を受けたと言っても過言ではないともいえましょう。
圧巻は信也の兄と弟、3兄弟の話です。彼らの兄弟愛には胸を打たれますし、あとは恩師の遠子先生の生徒たちに与えた影響の大きさも読ませどころですね、ラストもちょっとびっくりでしょうか。

本作は主人公の幼少期や学生時代、貧しかったり苦しかったりした場面が多いのが特徴で、そういった経験が主人公の岐路に立った今、前を向かせてくれる勇気を与えてくれているのでしょう。
ここで語るにはもっと奥が深いものがありますが、私は誠実に生きたものがちっぽけかもしれないけど幸せを掴むのであるというメッセージを作者から受け取りました。
、主要登場人物のそれぞれのいろんな誠実さが溢れた本作、ある一定の年齢以上の方(40歳ぐらいかな)が読まれればは心に響き勇気づけられる物語であると確信しています。
posted by: トラキチ | 藤岡陽子 | 17:14 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『R.S.ヴィラセニョール』 乙川優三郎 (新潮社)
評価:
乙川 優三郎
新潮社
¥ 1,512
(2017-03-30)

初出 小説新潮。フィリピン人の父と日本人の母との間に生まれ房総半島で染色工房を営むレイの生き様が描かれている。彼女の人生はフィリピンから日本に出稼ぎに来た父親の影響が多大であって、フィリピンの過去の独裁的内情が克明に描かれている。
どちらかと言えば読後感として、ノンフィクション的事実に対する驚愕感がありすぎてフィリピン人に対する同情感が強まった読書となった。

本作を読めばやはり血というものの大きさを感じずにはいられない。父親の深い愛情を心に留めながらメスティソという運命を受け入れている主人公に背中を押された読者も多いはずである。
正直、フィリピンの歴史のただ乙川文学は時代物も含めてその長編は奥が深すぎて一度では消化しにくいので、機会があれば再読したなと思う。また新たな発見があるであろうから。

評価7点。
posted by: トラキチ | 乙川優三郎 | 17:09 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『花散らしの雨 みをつくし料理帖』 高田郁 (ハルキ文庫)
シリーズ第二弾。舞台を九段坂に変えてのつる家での奮闘が描かれる。このシリーズは表題作だけでなくどの話もクライマックス的な感動を呼ぶ作品であり、妥協や息抜きを読者に許さないところが評価を高めている要因であると思える。
第一弾に登場していなかったふき、清右衛門、りう、美緒が現れ今後どのようにお話にからんでくるのか。とりわけ下足番として雇われ密告をしたのにも関わらず、それを許した澪。今後ふきを澪が自分の過去と重ね合わせてどう成長させててゆくのか目が離せません。

印象的なのは清右衛門に店の裏に住み替えるように打診されていた澪が麻疹で倒れたおりょう親子を介抱するうちに裏店の人たちの家族同然の繋がりを感じ、そのまま住み続けることを決意したことでしょうか。
あとは全編に貫かれている澪の恋の予感の話ですね。小松原よりも源斉の方が合うのではないかと思われた読者も多いと思いますが、これは作者が納得の行く答えを出してくれると信じて読もうと思っています。
“私の恋は決して相手に悟られてはならない。”一緒に小松原と花火を見ながら語った健気な澪の言葉が本シリーズが大きな共感を得ている証とも言えると思います。

評価9点。



posted by: トラキチ | 高田郁 | 16:29 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『八朔の雪 みをつくし料理帖』 高田郁 (ハルキ文庫)
満を持してNHKでドラマ化が決定したご存知作者の代表シリーズの第一弾。
苦労をしながらも成功を収めるであろう一人の女性の奮闘記と言えば簡単であるが、作者特有の細やかな描写が読んでいて頗る楽しいことが本作の成功を象徴していることのように思える。

ヒロインの澪は下がり眉が特徴であり、幼なじみで美貌が持ち主の野江とは対照的であるところが女性読者のハートを掴むのでしょう。外見はともかくその性格というか何事にもくじけない気持ちが素晴らしいの一言に尽きます。

本作では主な登場人物が一通り登場し、澪が江戸に出てきたいきさつ(大坂での出来事)が読者に披露され、江戸のつる屋という蕎麦屋で奉公しているところから描かれます。その時澪は18歳でした。全4編のサブタイトルともなっている料理名が拵えられる過程もほっこりしていますが、如何に荒波を乗り越えつつ主人公が成長してゆくか、周りを取り囲む人たちとの温かいふれ合いを感じながら読み進めて行きたいと思います。

武士の小松原や医者の源斉との恋模様も楽しみですが、第一弾の後半では、軌道に乗ってきたつる屋が何者かによって火をつけられて屋台から再出発します。苦労に翻弄されつつも健気に生き、立ち向かって行く姿は見習わなければなりません。

評価9点。






posted by: トラキチ | 高田郁 | 19:29 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『風雪の檻 獄医立花登手控え ◆戞‘B周平 (文春文庫)
全五話からなります。本シリーズの特徴は各編毎に勃発する牢に入っている人を取り巻く事件を登が解決し人間模様が浮き彫りにされる点と登の成長及びおちえとの恋愛の進行状況を見守る点と読者にとってなんとも贅沢なシリーズとなっている。二巻目に入り、おちえと登との関係が少し密接になります。一巻目でおきゃんぶりを見せていたおちえがしおらしくなり、登とよんでいたのが登兄に代わりラストでは急展開が待っていてますます三巻目以降が気になります。
ただ二巻目では冒頭から親友である新谷弥助の急変が勃発します。具体的には道場に来ないようになり用心棒まがいのことをやっているということが判明します。

各話、それぞれに登が大活躍するのは同じですが、彼の心の底にはいつも弥助に対する心配の気持ちがあって、読み進めていくうちにそれが読者にも伝わってきます。
個人的には彼を巡る友情話がメインであると思え、彼に対する緊張した気持ちがラストでのおちえとのご褒美的なシーンに繋がっていると捉えればロマンティックさが増すようにも思います。
ラストの余韻がたまらない一冊となりました。次巻ではもっと叔父の家での肩身の狭さが改善されますように。

評価9点。
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 22:09 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『出会いなおし』 森絵都 (文藝春秋)
評価:
森 絵都
文藝春秋
¥ 1,512
(2017-03-21)

初出「オール讀物」、6編からなる短編集。惜しくも大賞受賞はならなかったけれど本屋大賞第2位という高い評価を得た渾身の長編である『みかづき』の次の作品ということで注目された読者も多かったと思われるが、期待を裏切らないクオリティの非常に高い読者の胸に迫る作品集であると感じる。 女性読者にとって、本作のような作品集は心の琴線に触れ、背中を押してくれること請け合いだともいえる。 それは繊細かつ説得力のある変幻自在な内容及び題材を持って描かれていて、次の編はどうなのだろうかと期待を抱かずにいられず、身を委ねやすい作家の一人である作者の筆力の賜物である。

まるで処方箋のような作品集であり、読み終えたあとには背中を押してくれたり、肩が軽くなるのは作者の愛が詰まっている所以であると言える。 特に印象的なのは「カブとセロリの塩昆布サラダ」、デパートでカブと思って買ったサラダが実はダイコン、怯まずに立ち向かう主人公が痛快で、これは作者特有のこだわりが読者に伝わって来て励まされます。滑稽な話なんだけれど肝心なことは譲れないという主人公の気持ち伝わります。 自分の過去を振り返ることは自分の成長に不可欠であるということを噛み締めた方が多いと思います。

あと感動的なのはやはり「むすびめ」とラストの「青空」で、この2編は涙を誘うこと請け合いの傑作短編だと言える。 タイトル名ともなっている「出会いなおし」は本作のモチーフともなっていると捉えて読むと効果てきめんであり、私たち読者は後悔していることが多く、本作を読むことによって自己途上するきっかけとしたいですね。

評価9点。
posted by: トラキチ | 森絵都 | 19:33 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『海の見える理髪店』 荻原浩 (集英社)
評価:
荻原 浩
集英社
¥ 1,512
(2016-03-25)

初出「小説すばる」、直木賞受賞作。6編からなる短編集で貫かれているのは人と人との繋がりの大切さ。
直木賞受賞作ということで期待して読んだんだけれど、『明日の記憶』のようなインパクトは感じず、後年作者の代表作として語り継がれるような作品とまでは言えず、個人的には佳作だという評価であり、どちらかと言えば今までの功績を評価しての受賞のように感じる。

とはいえ、表題作と最後の「成人式」は特筆すべき作品であり、全盛期(と言えば失礼だろうか)の浅田次郎を彷彿とさせる高いレベルの作品であると言え、読者に対して読んで良かったと思わせるのは流石であると言えよう。
表題作は店主が海辺の小さな町にある理髪店にやってきた青年に、自らの人生を語っていきます。予定調和的作品ですが非常にまとまりのある作品であると感じます。

「成人式」は15歳で事故で亡くなった愛娘への悲しみをずっと引きずって生きている夫婦が娘の成人式(生きていたら出たであろうという意味です)に二人で代わりに出ようとします。滑稽にも見えますが、あの時こうしてたら事故が防げたのにと思い続ける父親の気持が身に沁みます。式での娘の友達の協力的な反応が涙物であり、夫婦としての結束がより強固になったと感じられた読者が多かったと容易に想像できます。やられたーと思い本を閉じました。

評価8点
posted by: トラキチ | 現代小説(国内) | 13:46 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『春秋の檻 獄医立花登手控え  戞‘B周平 (講談社文庫)
藤沢先生が亡くなられて今年で20年となるが、読み返してみると文章そのものは全然風化されていないことに気づく。

やはりこの人はずっと読み継がれていく作家なのだなと感慨もひとしおの読書となった。これからもずっと時代小説を書かれている作家達の目標となっていくのでしょう。

さて本作ですが、青春恋愛小説としても読ませますしミステリーとしても読ませます。舞台は江戸小伝馬町の監獄。
医者を志し、叔父を頼って羽後亀田藩より上京してきた立花登が主人公。
登は物語が始まった時には22歳、居候の身で肩身の狭い登は半ば強制的に叔父より獄医をさせられている。


藤沢作品の中ではミステリー度合いが高いような気がする。
なにせ舞台が獄中。なにせ相手は犯罪者。
でも藤沢さんの眼差しは暖かいですね。
内容的には人情と恋愛を交えた青春小説といったところでしょうか。

ポイントとなるのは主人公の登が剣術じゃなくて柔術(起倒流)の使い手であるということ。
これは前者だとやはり相手を斬ったりすることが起こるので敢えて柔術にしているのであろう。
主人公の人柄と凄く合っています。
でもこの登って好奇心旺盛なのですね。あとは全四冊の中でおちえとの仲がどう変化してゆくか、再読で読んでみても胸の高まりを抑えるのに必死です(笑)

ご存知の方も多いでしょうが、昨年NHKでリメイクドラマが放送されましたが、もうすぐその第二弾が始まります。
オリジナル版の放送が1982年ということで35年の日々が流れたけれど、主演の中井貴一の初々しい演技が今でも印象的である。
当時おちえ役だった宮崎美子がリメイク版で叔母役を演じているのは時の流れを感じるけれど、藤沢ファンの読者にとってはずっと藤沢作品に浸れる幸せをあらためて感じとられた方も多いのではないかと思われます。

評価9点
posted by: トラキチ | 藤沢周平 | 09:09 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『この世にたやすい仕事はない』 津村記久子 (日本経済新聞社)
評価:
津村 記久子
日本経済新聞出版社
¥ 1,728
(2015-10-16)

初出 日本経済新聞電子版。日経新聞に津村さんの小説と来れば、まさにお仕事小説の決定版と思われる方が大半だと思われますが、本作は半分当たっていて半分外れているというのが解答のような作品だと言える。
バリバリと働くOLが対象ではありません。燃え尽き症候群によりある職を辞した三十代半ばの女性が、風変わりというか読者がこんな仕事あったのかと思われるような仕事をこなすことによって自分らしさを取り戻して行く過程が読ませどころの作品ですが、それは通常の津村作品の定番ともいえる、個性的なれど等身大的なキャラの人物を描いているのではなくて、普通よりも悪く言えば精神的に弱いキャラの人物を描いている点が目新しく感じる。

それによりタイトル名ともなっている、“この世にたやすい仕事はない”という言葉がじーんと読者に伝わてくるような気がして、読者の常日頃持っている“労働観”が覆ったり、あるいは大きく変わったりするところが本作の一番魅力とも言えそうです。
基本的には、主人公が少なくとも全力かつ真面目にそれぞれの仕事に取り組んでいく姿を少しでも吸収して読むべき作品のように決定づけたいと思っている。

相談員でもある正門さんがとってもユニークであり、本作を読むきっかけともなったNHKでのドラマ化でどのように描かれているか楽しみである。

評価7点。
posted by: トラキチ | 現代小説(国内) | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) |-