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『風のマジム』 原田マハ (講談社文庫)
作者の“沖縄物”は意外にも初挑戦だったけど、原田作品の特徴のひとつでもある読後の爽快感が堪能できる一冊であった。
実話を下にしたサクセスストーリーとあって、読者サイドも人生そんなにうまい事いかないとわかっていながらも夢を持つことの素晴らしさを味わせてくれる作品である。
分かっていても作者の作品を手に取る衝動に駆られるのは、おばあさんを筆頭とした登場人物のキャラの安定感はもちろんではあるが、作中に出てくる沖縄のラム酒のように、他の作家とは一線を画したリーダビリティの高さを併せ持った作者のすでにブランドとして完成された世界(“マハ節”という言葉がやはり適当か)が存在することを認めざるをえないのである。

男性読者視点で書かせていただいたら、主人公のまじむと作者をオーバーラップさせて読んでしまった。正しい読み方かどうかは自信はないのであるが、紆余曲折がありながらも一歩一歩階段を駆け上ってゆくさまが似ているようにも感じる。
あとがきにも書いてあるように、モデルとなった金城さんとの約束を果たして本作は実現した。金城さんからの厚い信頼が作者の成功のバックボーンとなっているかのように感じる。これからももっともっと良質の作品を書いてほしいなと切に思う。

余談であるが、文庫本の帯に読書メーターの感想が掲載されているのには驚いた。作家そして読者の皆さんの励みとなるような感想をこれからも綴って行きたいなと思う。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 15:18 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『翼をください』 原田マハ (毎日新聞社)
評価:
原田 マハ
毎日新聞社
¥ 1,836
(2009-09-16)

初出「本の時間」。総じて読まれた人の評判が良いということは知っていたものの、原田作品の中では文庫化もされていないし2009年の作品でかつ分厚めということで手に取るのは後回しにしていたのであるが、作者の才能が全面的に開花された作品だと感じずにいられない大作かつ傑作である。
史実でもある“ニッポン号”の世界一周の話をベースとして、作者得意のロマンティック&サクセスストーリーと言ったら良いのでしょうか。創作部分の構成の妙が本当に素敵で非の打ち所がない作品に仕上がっている。

エイミーのモデルであるイアハートの話は知っていましたが、ニッポン号の話は全然知らなかった。アメリカでかなり歓迎されたことやあるいはヨーロッパの航路を変えざるを得なかったところであるとか、リアルでもあるのですが、読み進めていくうちに戦争に対してもう少しなんとかならなかったのかという気持ちにもさせられました。
小説内では8人目の乗組員の役割を演じるのはエイミーですが、実際は読者が8人目の乗組員と言ってよいのでしょう。力が入ります(笑)エイミーの行動が読者の期待する方向にほぼ取られたところが作者の本作に対する思いいれの強さと出来栄えの良さを反映しているものだと感じます。

フィクションでしか語れない感動というものがあると思うのですが、私たち読者も本作を通して大きな翼(勇気)をもらえたと思います。世の中平和になりましたが山田を含めた乗務員とエイミーとのヒューマンドラマが、戦争が勃発する直前に起こったとはある意味残念なことですが、彼らが戦闘機として飛行機が使われることを最も嫌がっていたということが良く伝わった。この作品の価値を一層高めることとなっている。

余談ですが、本作の版元である毎日新聞社が自社文庫がないことが文庫化が遅れている原因だと感じますが、一人でも多くの人に手に取って欲しい作品です。
自社(ニッポン号のモデルは毎日新聞社である)の偉業を知らしめることにもなるのであるから1日も早い文庫化を望みます。

評価10点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 15:51 | comments(2) | trackbacks(0) |-
『まぐだら屋のマリア』 原田マハ (幻冬舎文庫)
再読。人間誰しも持っている悲しみをいかに乗り越えていくかを読者に知らしめてくれる作品。
物語は主人公と言っていい紫紋が死を決意し尽果という地に辿り着き、まぐだら屋のマリアと出会うところから始まります。
お馴染みの作者のテンポの良い文章も相まって、マリアと女将との関係を中心にミステリー仕立てでページを捲る手が止まりません。
途中で出てくる弟分と言ってよい丸弧も含めて読んでいる途中で最も訳ありなのはマリアであることが次第に分かってゆきます。

感動的なのはやはりマリアがまぐだり屋を切り盛りしている理由が明らかにされるところでしょう。かなり重い話なのですが、作者が書けばどこか清々しさが漂ったものとなっているところが凄いです。
実際いろんな贖罪のパターンがあると思いますが、究極の“贖罪”を見せつけられ心が動かされます。女将の気持ちもわかりますが、与羽が少し善人として描かれすぎなような気もしました。

印象的だったのは物語にとっても季節感が表れていることで、四季の移ろいとともに登場人物が再生されそして成長します。
そして待っている人がいる限り私たち読者も努力しなければならないということを教えられ、感動とともに心地よい余韻を残し本を閉じることが出来ます。
紫紋の母親の気持ちを理解できる度数がこの本を読んでの印象に比例することだと思います。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 20:27 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『太陽の棘』 原田マハ (文藝春秋)
評価:
原田 マハ
文藝春秋
¥ 1,512
(2014-04-21)

初出 別冊文藝春秋。個人的な読者サイドからの見解ですが、ここ数作の著者の作品はその筆力からして物足りない感があったように思えたのであるが、本作では本来の著者の持っているものが十分に作品に投影されその結果として読者に対しても大いなる感動をもたらせてくれる傑作であると言える。
やはり絵画というもっとも得意なジャンルの作品は読者自身も安心して身を委ねることができるのであると考えるのであるが、著者の代表作と言われている『楽園のカンヴァス』と比肩することが出来る“王道”作品であると言えよう。『楽園〜』が”恋愛”であれば本作は”友情(心の交流)”ということが大きなテーマとなっていて作品全体を貫いているところがポイントであり、戦後間もない沖縄が舞台となっている本作は友情以外にも日本人読者として、沖縄の人々の苦難、すなわち我が国の辿ってきた歴史を学ぶ機会を与えてくれていて有意義な読書を約束してくれます。

そのあたり巻末の参考文献の多さ、そして重厚で趣深い表表紙と裏表紙の2人の画像がもたらしているものが読者に大きく伝わってくるのである。そして最も大きいと考えるのであるが、本作は単なるフィクション作品ではなく、実話を下として作られた作品であるということ。作者の本作に対する意気込みが否応なしに伝わってくるのですね。

本作は短い作品ですが凄く感動シーンが詰まっています。少し備忘録的に記すと同じ精神科医である主人公エドとアランとの友情やアランのメグミに対する淡い恋、メグミがバーで働いているシーン、そしてヒガの敵を討ちに行くシーンなど。少し祖国に残された婚約者が可哀想でしたが(苦笑C)
もちろん、ラストシーンは感涙必至なのですが、それはラストに行き着くまでの過程が実に入念に構成されているからだと感じます。その背景として、アメリカ人の精神科医とニシムイの人たちとが心の交流を図れたのは絵画(芸術)を通してであるとという絶対的な自信が作品に乗り移っているように感じます。また主人公をアメリカ人とし、日本人(沖縄)側の心情吐露の部分がほとんどないところが却って読者にとってスムーズに入って来れたような気がします。

評価9点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 13:08 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『翔ぶ少女』 原田マハ (ポプラ社)
評価:
原田マハ
ポプラ社
¥ 1,575
(2014-01-10)

初出「asta」、加筆訂正あり。原田さんらしい作品とは言えないかもしれないが、非常にポプラ社らしい作品だと言える。現実的な要素とファンタジー的な要素をミックスさせて読者に生きることだけでなく夢を持つ大切さを思い起こさせてくれる作品であり、そうですね、小学校高学年ぐらいから読めるんじゃないでしょうかね。
だから敢えてその年代の子供たちが生まれていない時代の阪神大震災を題材としたのでしょうか、私たち大半の大人は誰しもゼロ先生のように人間が出来ていないのだけど、誰かのために一生懸命生きている姿は心を打たれます。
大人目線で読むとゼロ先生と息子の裕也先生との確執がとってもリアルであって楽しめました。

震災を通していろんなことを経験し、大半の方にとって人生において苦しくて辛くて悲しい事柄なんだろうけど、本作ではその悲しみを通り越して誰よりも強い絆というものが描かれて、実際それに近い現実というものがあったのだということをひとりの読者として信じたい気持ちになります。
逆に本作のゼロ先生のような“命の恩人”的な人がいなくて、その後不遇の人生を送られている方のことを考えると心苦しい気持ちにもなる。

“羽”のシーンは賛否両論あって、必ずしも賛成派ではないのだけど、大切な人を想う気持ち=三兄妹の幸せの象徴だと思います。
原田マハさんの作品としては異色な作品に分類され、感動度ではさもあれ、胸の高鳴る他作と比べて今一つという見方もあるのだと思いますが、児童向けに書かれた逆境に負けずに成長を遂げたストーリーとして読めば必ず子供たちとって心の糧となる作品であると思います。

そして大人読者にとって総括すると、タイミング的には古い題材なのかなと思って読み始めてたのだけど、街の復興だけでなく見事に3兄妹の心の復興も描かれていて、あれから3年経ったばかりの東日本大震災のことを忘れてはならないと肝に銘じた読書であった。

評価8点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 22:54 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『総理の夫』 原田マハ (実業之日本社)
評価:
原田 マハ
実業之日本社
¥ 1,785
(2013-07-11)

初出「ジェイ・ノベル」。日本初の女性総理が誕生し、その日々を夫であり鳥類学者でもある日和が日記に書き記して行くというスタイルで物語が進んでいきます。
本作の魅力はやはり総理が身近に感じられるところでしょうね。政治の話も素人目線で語られるために堅苦しくないのですね。凛子が素晴らしい政治を行うのは日和による強くて深い愛情によって支えられているからなのです。
現実的かどうかは別として、誰しも彼女のようにクリーンに生きたいのですがなかなかそうは問屋が卸してくれません。そういった意味合いにおいてはビターさがなく、ただひたすらに夢見心地に浸らせてくれる原田作品としてはOKなのでしょうが、やはりラスト付近でのあたかも予定調和的な展開はどうなのかなとは思いました。一国の総理として他の職業のように育児休暇が許されるのでしょうかね。まあこの夫婦の真っ直ぐな気持ちの表れとして描かれたのだとは思いますが、少し現実離れしているようにも感じられました。

個人的には政治の話よりも2人の馴れ初めを描いているシーンがもっとも印象的でもっと読みたいなと思いました。
凛子さんの魅力がやはり抽象的過ぎて、これは仕方がないのでしょうが逆サイドの苦労話と交互に語られたらもっと面白かったんじゃないでしょうか、読者って勝手なものですね(笑)
政治家と言えばどうしても腹黒いという辟易したイメージがあるのですが、本作でもそう言った裏側の世界が描かれていて、それに対して見事に立ち向かっていきます。
歯切れが良い文章は健在、少し出来過ぎな流れは原田作品のお約束事のようです。

あとは原田マハファンにはお馴染の伝説のスピーチライターの久遠久美さんが登場します、是非他の作品でもお目にかかりたいですね。
先入観と言うのは怖いもので、他の国では実現している女性総理も、日本において描かれればファンタジー小説の範疇を超えないということですね。
作中で消費税等で国民に訴えかける総理の姿が夫の日記を通して描かれますが、どうしても現実と対比してしまいますね。

評価7点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 22:43 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『夏を喪くす』 原田マハ (講談社文庫)
単行本『ごめん』を文庫化に際し改題。ひと言で本作品集を形容すれば“原田マハらしくない”短編集だと言えよう。
私達が作者に求める“爽やかでハッピーな読後感”、本作ではほとんど得ることが出来ないと思われます。
ただし作者特有の読みやすい躍動感のある文章は健在です。
全4編からなる大切なものを喪くした女性たちの物語ですが、すべて重くて暗い話がベースとなっていて、中には主人公に対して受け付けない部分を見出された読者も多かったような気がします。
どうしてこの人たちは“踏みとどまれなかったのだろう”と逆にイライラされた読者も多いのでしょう。
どうなんだろう、作者サイドから見れば他作に見られる読者を意識して作られた作品たちと比べると、自分の書きたいように書けているといっても過言ではないような気がします。

そうですね、本作のような作品集を通して読者自身の過去を振り返って欲しいと言う作者の願いなのかなと思ったりします、ただし決して真似はしないでくださいというアドバイスつきで。
決して読者が作者に求めている内容ではないと思いますが、幸福と不幸は紙一重だと読者に教えてくれているのだと思います。

特筆すべきはラストの「最後の晩餐」でしょうか、作者の代表作と言われている『楽園のカンヴァス』に繋がるアートをベースとしたお話で舞台もニューヨークで9:11がからんだ友情の話、他の3編と比して前向き感のあるお話で唯一感動的であったと思います。
視点をガラッと変えれば本作は女性ってこんなに強かったのかと驚愕必至の物語だと断言出来そうです(笑)

評価6点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 22:27 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『旅屋おかえり』 原田マハ (集英社)
評価:
原田 マハ
集英社
¥ 1,470
(2012-04-26)

初出 レンザブロー。
主人公であり元アイドルの“おかえり”こと岡林恵理子、今はスポンサーから契約を切られ“旅屋”にと成り下がってしまうのですが、彼女には旅が好きであるという信念があるのですね。
これは故郷にも戻らないほどの強い信念であって、彼女の崖っぷちの人生を助けます。
原田さんの作品って読者に“気持ちよく本を閉じさせること”を念頭に置いて書かれていると思ったりします。
正直、ご都合主義的な部分も否めませんが、それを承知の上で読者がページを捲ってくれていると信じて作者は執筆しているのでしょう。
よく“極上のエンターテイメント”という褒め言葉がありますが、ちょうどその言葉が作者の作品、とりわけ本作には似つかわしいと思う。
そして他の作家との違いは、伸びやかな文章と正統派と言って良い王道的な着地点のつけ方。
心地良く本を閉じれること請け合いです。

本作は二部構成と言っても過言ではないのですが、どちらも甲乙つけ難い素晴らしいお話です。
前半は“旅屋稼業が始まる最初の依頼の話ですが、カメラ好きで東京に出て年上の女性と知り合い田舎に戻っている玉肌温泉の主人の話が結構泣けます。
そして後半の話はスポンサー再契約を試される話で、何と言っても社長の気持ちがとっても切なく、過去の娘の死のいきさつやラスト近くで露わにされる彼の行動は理解できます。

原田作品の登場人物は読者自身の現実を見つめなおす機会を与えてくれます。
たとえば男性読者が読めば社長の気持ちもよくわかりますし、前半部分の真弓さんの父親の気持ちもよくわかります。
そして男性心理を巧みに演出して見せる作者の腕前にも“ヤラレタッ”とにんまりさせられるのですね。
本作に関しては、特に病気や死に直面し、いわゆる命”に関与した話も多いので感動しながらも胸のすく結末を堪能できます。
作者の凄いところは“泣けるんだけどもそれ以上に爽やかな作品を書ける”点であると思います。

(読了日2月27日)

評価9点
posted by: トラキチ | 原田マハ | 10:25 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『生きるぼくら』 原田マハ (徳間書店)
評価:
原田マハ
徳間書店
¥ 1,680
(2012-09-13)

初出 日本農業新聞。
読者にとって今度はどのような物語に浸れるのであろうという期待感がとっても大きい原田さんの作品。
それはクセのない流れるような文体と読者の心を満たせてくれる内容が伴っているからでしょう。
本作は典型的な自己再生の物語ですが、私たちが日頃当たり前のように食べている主食である“米”の大切さも謳っています。
特筆すべき点は現代日本の抱える両極の問題を描いている点ですよね。
主人公である人生の“いじめ→ひきこもり”問題と、マーサに息子と間違われる大学生純平の就職難の問題ですよね。
これらの問題をさりげなく小説の中でクロスさせて読者に対して納得した結末を提供してくれる原田さん、目が離せない作家です。

米作りが登場人物達の抱えたわだかまりを解きほぐしてくれますが、その過程が素敵です。
後半純平が人生に影響を受けて行く姿は本当に微笑ましいですよね。
多様化する価値観の下、損なわれがちな深い愛情を気づかせてくれます。
人生にとっては自分を育ててくれ、そして一見見離されたように見えた母親の深い愛情がおにぎりの中の梅干しのような存在であるということを成長した人生は気付きます。

最後に人生とつぼみの幸せを願って本を閉じた方、多かったと思います。2人は血が繋がってなくて良かったですよね。
人生がつぼみに魅せられて行くのは男性読者として本当に身に沁みるほどよくわかります。
それは人生よりも苦しいはずなのにその素朴な気持ちで克服していこうとしているからでしょう。
それはまるでつぼみが自分と血が繋がっていない継父方の祖母を大事にした結果、そのご褒美として神様が将来実を結ばせてくれるものだと信じています。

(読了日2月10日)

評価9点
posted by: トラキチ | 原田マハ | 12:32 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『楽園のカンヴァス』 原田マハ (新潮社)
評価:
原田 マハ
新潮社
¥ 1,680
(2012-01-20)

初出 小説新潮。山本周五郎賞受賞作品。
素晴らしい小説に出会った時の喜びは本好きにとっては至福の瞬間ですよね。
事実、この作品を読み終えしばらくは余韻に浸ってしまい次に読む作品にとりかかることが出来なかったのです。

作中で「永遠に生きる」という言葉がモチーフとして使われています。
何回も表紙のルソーの絵(「夢」)を見ながらそこに永遠に生きているヤドヴィガを観てため息をつきました。
読者ひとりひとりにとってもこの物語は作者の息づかい、すなわち作者の情熱がひしひしと伝わって来ます。
最終的には物事をまっすぐに見つめた人が勝利をつかむみたいな着地点のつけ方が心地よく、月並みな言葉ですが“胸を打つ”小説です。

この物語を通して人を愛することの尊さを学ぶのです。

ルソーとヤドヴィガ、ティムと織絵、そしてバトラーと孫娘そして亡き妻・・・
物語はルソーの最高傑作と言われている「夢」に似た「夢をみた」の真贋を鑑定するためにMoMAのアシスタントキュレーターとルソー研究者オリエ・ハヤカワが対決します。
こんな素敵なラブストーリー、作者から幸せをお裾分けされた気分に浸れた読書となりました。
あとは読んでのお楽しみですが作中に出てくる小説が素敵で若きピカソも出てきます。
史実に基づいたフィクションというのが凄く親近感があっていいですよね。

普段、美術には疎くてほとんど興味がなかったのですが、この物語を通してネットでルソーやピカソの主要作品を観ました。
300ページ弱の作品ですが、倍ぐらいの時間がかかりましたが読みごたえはもちろん十分。
作者の原田さんは以前MoMAでキュレーターをしていました。その時の情熱が乗り移った作者の“作家冥利に尽きる最高傑作”と言えると思います。

(読了日12月11日)

評価10点。
posted by: トラキチ | 原田マハ | 16:32 | comments(1) | trackbacks(0) |-