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『誰もいない夜に咲く』 桜木紫乃 (角川文庫)
桜木さんの独立した短編集は初めて読みますが、長編及び連作短編同様ひしひしと読者に訴えかける内容は健在です。桜木作品は本作で6作品目となりますが、どの作品を手にとっても並みの作家ならそのどれもが代表作と言えそうなクオリティの高さが味わえます。決して爽快感を味わえる読書とならないことはわかりながらもむさぼるように読む桜木作品。やはりその魅力はひたむきに生きる人間というものを他の作家よりも深く描けているからだと思います。

さて本作ですが全7編からなりますが、桜木作品のご多分に漏れず北海道が舞台となっています。異色なのは冒頭の「波に咲く」で嫁不足に悩む農村で中国人の女性を嫁とした男性主人公が描かれています。嫁の花海の芯の強さももちろんのことストーリー展開は本作中もっとも面白かったし男性をも巧みに描いていることに舌を巻かれた読者も多いだろうと思います。あとの6篇は女性主人公が続きますが冒頭の花海から引き継いだような力強い女性のオンパレード。3編目の「プリズム」がもっとも救いのない話でぐったりさせられますが各編の女性の生きざまを比べて読むとどっぷりとした読書を楽しむことができます。誰もがしたたかさとは縁遠い女性たちなのが桜木作品の特徴でもあると思われ唸らされます。
その中でも書き留めておきたいのはラストの「根無草」の主人公の母親の生きざまのすさまじさ。これはもう客観的に見て物悲しい人生なのですがドラマティックを通り越して力強すぎます。彼女の芯の通った生きざまが最後に娘であり主人公でもある六花の未来を明るくしたエンディング、印象に残りました。さて読み残しが少なくなってきた桜木作品、なんだか寂しくなってきました(苦笑)

桜木作品を読むと幸せと不幸せは背中合わせというか紙一重だということにハッとさせられ、そのハッとさせられるところが桜木作品が読者を虜とする所以であると思います。
尚、本作品集は単行本『恋肌』を大幅に加筆修正を施し「風の花」を追加して文庫化されたものだそうです。

評価9点。
posted by: トラキチ | 桜木紫乃 | 09:02 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『ワン・モア』 桜木紫乃 (角川書店)
評価:
桜木 紫乃
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,575
(2011-11-29)

初出 「野生時代」&書き下ろし。6編からなる連作短編集。

桜木作品の力強さは数作品読まれた方なら誰しも感じられることだと思い、改めてこの場で説明の必要のないものだと思われますが、本作は他の作品では味わえないような爽やかさを堪能できる作品だと言えそうです。
最も重苦しいのは冒頭の「十六夜」で離島の診療所で働くヒロインと言える柿崎美和の姿が描かれているのであるが、自堕落と言ったら良いのでしょうか他人を傷つけやりきれない毎日を過ごしていますが、旧友であり不治の病に冒されている滝澤鈴音からの一本の電話で物語が動き始めます。本作を2人の女性の“究極の友情の
物語”そしてヒロイン美和の“再生の物語”として読めば二倍楽しめるのではなかろうかと思います。

2編目からは語り手が変わります、再生されるのは美和だけでなく鈴音の周囲を取り巻く人々が登場し読み手を飽きさせません。レンタルショップの店長の話は少し特殊ですが、それ以外に登場する(看護師、レントゲン技師、鈴音の元夫など)は大人としての立場をわきまえつつも前を向いて生き運命を切り開いて行きます。

本作において最終章の役割は大きく、爽やかなラストが胸を打ちます。他の桜木作品ほどどっしりと響く作品ではないのかもしれませんが読後感の良さは際立ったものだと思います。タイトル名も読者の背中を押してくれる作品であるのですが、鈴音の死を迎えるものの最終章の大団円は、鈴音の死を悲しむ以上に残されたものの幸せが目に焼き付いて離れないのですが、それは鈴音の人徳のなせるわざであることは明らかです。その最たるものはやはり美和の読者サイドからみた変化でしょう。自分を取り戻した美和の人物造形の巧みさを未読の方も是非味わってほしいなと思う次第である。

評価9点。
posted by: トラキチ | 桜木紫乃 | 22:47 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『ラブレス』 桜木紫乃 (新潮文庫)
評価:
桜木 紫乃
新潮社
¥ 662
(2013-11-28)

島清恋愛文学賞受賞作品。『ホテルローヤル』が記録に残る作品であるなら、本作は読者の記憶に残る骨太で重厚な作品である。 ある一人の女性の激動の半生を綴った作品と言えば簡単であるが、そこで描かれているいろんな形の人生や愛が読者の胸に迫って来るのであるが、それが息苦しさを通り越して心地良いのである。  三代にわたる女性たちの生きざまが描かれていて、冒頭で出てくる百合江・里実姉妹の娘たちである理恵と小夜子それぞれの出自が明らかになってゆく過程が本当に印象的である。

いたって人並な感想かもしれませんが、2人の姉妹の人物描写が頗る巧みだと感じました。流されやすい姉、しっかり者の妹という感じですが、お互いがお互いを支え合っているところが素晴らしかったです。
そして本作が読者を飽かせずに一気に読ませてくれる要因のひとつとして、途中で姿を消す綾子の存在が大きいのでしょう。

最後まで読み終えて綾子は幸せだったという見方も出来るし、そうではないという見方も出来ると思います。そのあたり一番作者の筆力の高さの表れだと思ったりするのですが、私的には作中に出てくる主人公たちにとって前向きに生きる妨げになっている人物、例えば百合江の父や弟たち、そして宗太郎や高樹親子たち。読んでいる時は腹立たしいと思いましたが、読み終えた時にはそれぞれの人生があってという達観的な気持ちになりました。
それはそれぞれが宿命めいたものを背負っているからなのでしょう、とりわけ母親であるハギさんには強く感じました。
タイトルはラブレスだけど、いろんな人を通して流転しながらも愛に満ちた人生だったと言えるのでしょう。位牌を握りしめている百合江の人生は彼女の人生の充実ぶりを示していると信じ本を閉じました。
男性読者目線で言えば、百合江と巡り合った宗太郎や高樹さん、それぞれ弱いところもありますが決してそれぞれの人生後悔していないと信じています。

本作は『蜩ノ記』が直木賞を受賞された時に候補作としてノミネートされた作品である。
『蜩ノ記』も素晴らしい作品でるが本作も負けず劣らずの名作であると思う。
昨年『ホテルローヤル』が受賞されたのは記憶に新しいのであるが、最高傑作という観点では本作をあげたいと思う。
ひとりでも多くの方、とりわけ女性読者に読んでもらいたいと願ってやみません。
この本に出会えた喜びをひとりでも多くの方とわかちあえたいと思っています。

(読了日2013年12月22日)
評価10点。
posted by: トラキチ | 桜木紫乃 | 17:58 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『蛇行する月』 桜木紫乃 (双葉社)
評価:
桜木 紫乃
双葉社
¥ 1,365
(2013-10-16)

初出「小説推理」。直木賞受賞作品を含めて3作品目の桜木作品。わずか200ページ弱の作品ですが個人的には本作が最もクオリティの高い作品であると思ったりします。
最初は女性の幸せを問う作品なのかと思って読みだしたのですが、もっと奥が深いような気がします。
そうですね人間としての尊厳を問う作品といったらよいのでしょうか。
6編からなる連作短編集となっていますが6編の間にはちょうど25年の歳月が流れています。高校の図書部で仲良しだった女子グループ5人を中心に各編ごとに視点が変わって語られるのですが、仲間のひとりで駆け落ちした須賀順子という一見不幸な人生を歩んだように見受けられる女性の生涯を各編の語り手たちの人生とを対比させて読むと凄く充実した読書となると確信しています。
何人かが順子に会いに東京を訪れるシーンが印象的です。最初は自分の方が幸せなように感じていたのが年月を経るにしたがい変わって行きます。

まるで作者に女って実はこいういう生き物なのよと教授された気持ちにさせられました。
身が引き締まる思いのできる読書となった。
一見悪戦苦闘しているように見えるのだが決してそうではない。
必死に幸せを模索しているのである。孤独なように見えるのだがやはり繋がっている部分と言うのが見え隠れするのである。自分自身の居場所を死守している姿が力強く描かれている。

男性読者視点で語らせていただけば、読み終えて生涯を閉じようとしている順子が凄く幸せに感じたお子さんのいる女性読者はきっと自分自身のお子さんに対して精一杯の愛情を注いでいるのであろうと思ったりします。
幸せって決して相対的なものじゃなく、絶対的なものなのですよね。
作者に大切なことを教えていただいた気持ちにさせられました。
読み終えてタイトル名が凄く秀逸なのには驚愕の感すら漂います。

評価9点。
posted by: トラキチ | 桜木紫乃 | 23:47 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『無垢の領域』 桜木紫乃 (新潮社)
評価:
桜木 紫乃
新潮社
¥ 1,575
(2013-07-31)

初出「波」加筆修正あり、直木賞受賞第一作、連載時「モノトーン」を改題。桜木さんの作品は『ホテルローヤル』に続き2作品目ですが読み応えと奥行きの深さという点では本作の方が優れた作品であると個人的には考えます。
舞台は北海道の釧路、主人公は書道家と高校の養護教諭という秋津夫妻と民間委託された図書館長である林原信輝の3人と言ったところでしょうか、タイトル名ともなっている無垢の領域である信輝の妹、純香が重要な役割を演じます。

それぞれの視点で語られるのですが、夫婦のあり方、人生の価値観、介護問題などいろんなことを考えさせられる物語です。やや閉塞的な内容ですが、作者の文体とはかなり合っていて読書という行為に安心して浸かれるところが確かな筆力だと感じました。
印象的だったのは途中で出てくる女子高生の君島、決して正しい生き方であるとは思いませんが、伶子に強く生きると言うことを悟らせたキーパーソンとなっています。

あとは全体に漂っている恋愛模様がやはり興味深いでしょうか、それぞれが胸に抱えている嫉妬心、それを持つことによって希望というものを見出しているように捉えるべき物語なのでしょう。そうすることによって、純香への喪失感と言う悲しみの気持ちが緩和されるような気がします。
少し捉えどころが難しい話かもしれませんが、それだけ作者の目指すところが高い位置にあるような気がしました。じっくり読んでもらいたい作品であります。
男性目線で語らせてもらえたら、里奈が可哀そうで是非幸せになって欲しいなと強く願って本を閉じたことをつけ加えておきます。

評価9点。
posted by: トラキチ | 桜木紫乃 | 18:50 | comments(0) | trackbacks(0) |-
『ホテルローヤル』 桜木紫乃 (集英社)
評価:
桜木 紫乃
集英社
¥ 1,470
(2013-01-04)

初出 小説すばる、加筆修正あり。直木賞受賞作。桜木さん初読みです。
そうですね、人生を切り取った作品と言ったら良いのでしょうか。
舞台は北海道の小さな町にあるホテルローヤルと言う名のラブホテルが背景となっていまして、7編からなる悲喜こもごもの話が繰り広げられています。
正直、直木賞受賞作という観点で読むと物足りなさもありますが、逆に本作のような地味で小ぢんまりとまとまった作品が受賞したというのが直木賞の裾野を広げているようにも感じられました。
そのあたりもう少し語らせてもらいますと、各編いろんな人たちが出てきます。ホテルの経営者はもちろんのこと、中にはホテルが廃墟となる直接の原因となる、これから高校生の教え子とホテルのある釧路方面に旅行に出かけようとする担任の先生の話などエピソードの作り方が秀逸な作家だと思います。

ホテルローヤルは登場人物達の“人生の象徴”なのですが、ある人にとっては失敗の象徴という物悲しいものでもあるのですが、その中には地道に生きることの難しさを本作を通して教えられたような気がします。
中にはコミカルな内容もありますが読ませどころの最たるポイントは、それぞれの物語の時系列がほぼ逆になっているところです。先のことが分かった上で読んでいるやるせなさが逆に印象的な読書を約束しているような気がしました。

各編それぞれ個性的なのですが、最も印象的なのは「本日開店」、住職の妻の話なのですが本作中もっともやるせなく生々しい話です。そして全体を通してほとんどの読者が幸せな人を見出せなかったのではないであろうかと推測します。だからこそ幸せについて今一度考察するチャンスを与えてくれた本であると思って読むべきだと思います。
作者の桜木さんの実家がホテルローヤルという名のラブホテルを経営されているということで、本作での直木賞の受賞は念願だったと思われます。傑作と言うより秀作を連発出来うる作家だと私は思っています、これからも目が離せませんし未読の作品は読み進めたいなと思っています。なにわともあれ直木賞受賞おめでとうございます。

評価8点。
posted by: トラキチ | 桜木紫乃 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) |-